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アンジェサイド
紹君から連絡が入ったが授業が有ったので出る事が出来なかった、こちらから連絡を入れてみる
「紹、今大丈夫?」
そう問いかけると
「ああ、大丈夫だよ、さっきはタイミングが悪かったのかな、ごめんね」
そう言ってあやまってくれた、あやまる必要は無いのだけれど、なんと言えばいいのだろうか
「授業がもう少しで終わる所だったの」
「ああ、そうかこの時間だと授業が有るんだね、後15分程ずらすようにするよ、その時間なら大丈夫かな?」
そう聞かれたので自分の都合の良い時間帯を伝える、
そして私も聞いてみる事にした
「紹もこれくらいの時間の方が都合がいいのかしら?」
「そうだね、時差がだいたい・・・・14時間くらい有るのか、先にメールを入れる方がいいかな、僕が仕事の事も有るし、アンジェが授業の時も有るからね」
その方がお互い負担が少ないと思ったので賛成した
「そうね、解ったわ、紹も無理して取っちゃダメだよ」
私は多分寝てても取ってしまいそうだった。
時間調整を少し話した後は、紹君の仕事が明後日から始まる事やスケジュールの事、日本の仕事が少し落ち着いたら、アメリカでの仕事も入りそうだという事を伝えてくれた。
そろそろ休まないといけない時間だろう
「そろそろ切るわ、また連絡するわね」
そう伝えて携帯を切った。
時差が有るのだ、気軽に連絡できなかった、何故そんな簡単な事を思い出せなかったんだろう?
紹君の事になると、気持ちばかりが先になって、本当に些細な事も忘れてしまう、私の記憶力や、判断力は何処へ出かけてしまうんだろう?
そう考えるとため息しか出て来ない、とりあえず次の授業は無いので、先生に今後の大学課程の相談に行こう。
紹サイド
復帰後の仕事は順調に進んでいる、体力もほぼ戻った、生見さんには伝えてある、事務所にも生見さんが報告しているので、今後はスケジュールを調整しないといけなくなりそうだ、。
前のクライアントとは契約が切れた所が幾つも有るが、様子見をされているようで、次の契約が決まらない所が何件か有る。
長い間休んでいたんだ、仕方無い。
美和の動画のおかげで、話題性は結構認められているみたいだ、新しい仕事も数件入っているが、未だにアメリカからの問い合わせが結構有るので、そろそろそれも受ける事になると、生見さんが話していた。
向こうに行ったらアンジェに会えるだろうか?
そろそろ迎えが来る時間だ、出かけないとと思っていると玄関の呼び出しが鳴る。
インターホンから生見さんの声が聞こえる
「紹、準備できたか?そろそろ行くぞ」
僕は玄関を開けて生見さんに挨拶をするとそのままドアを閉める
「大丈夫です、行きましょうか」
そう伝えるとエレベーターに向かう、生見さんもついて来る
「今日の仕事は、撮影とドラマの打ち合わせでしたね?」
「ああ、そうだちょい役だからそんなに時間かからないだろう」
車の待つ駐車場に向かいながら、そう話す
「役者の仕事が久しぶりなので、少し緊張しますね」
そう生見さんに伝えると彼は
「そうか?緊張してる風には見えないな、以前のお前に戻ったみたいだよ」
生見さんはそう言うが、本当にそうなんだろうか?
「そうですか?半年のブランクが無いように見えるのは、嬉しいですけど」
「ああ、そう見える」
有難い事だ、順調に仕事が進んでいる、以前ほど忙しく無いのも僕としては、嬉しいかもしれない、このペースで仕事を熟せれば、そう思った
車は、あるスタジオの駐車場に入る、今日はとある雑誌の撮影と軽いインタビューからだ。
撮影は結構順調に進んだ
「柏木さんお疲れ様でした、撮影は、終了です、インタビュー用の部屋があちらに有りますので移動お願いします」
「はい、有難うございました」
スタッフの方達に挨拶をして部屋を移動する。
部屋に入るとテーブルとイスが数脚置いて有るので生見さんとそちらに腰掛ける、すぐにドアがノックされスタッフの方が入って来る。
「こんにちは、宜しくお願いします、すぐに飲み物用意します、マネージャーの方にも何を飲まれますか?」
席に付きながらインタビューする方がそう聞いて来る
「有難うございます、お茶をお願いします、マネージャーにはブラックのコーヒーを」
そう伝えると生見さんとインタビュアーの方で打ち合わせが始まる、今日の内容の確認だ、インタビューは事前に決まっている場合が多い、飲み物が運ばれインタビューが始まる
「まず、復帰おめでとうございます」
「有難うございます」
「復帰後のお仕事は、少し制限されているようですが、体調はいかがですか?」
「はい、すっかり体調も戻りました大丈夫です、ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
「そうですか、ファンの方も心待ちにしていらしたと思います、所で復帰後の最初のお仕事がアメリカと言う事で話題になりましたが、意図的にあちらでのお仕事を決められたのですか?」
「そうですね、リハビリ途中だったので、軽い仕事は探してもらってたんですが、本当に幸運な事に美和さんの動画に出る事が出来ました」
「動画の発表当時はすごい話題になっていましたね、美和さんってどんな方なんですか?」
ほら来た、そう思った、打ち合わせと少し違うが、今まで話したのと同じ事を伝えるだけだ。
「そうですね、お話した事は無いんですよ、事前にプロデューサーの方からも説明が有りましたが、彼女は撮影現場では一言も話さないし、打ち合わせもしないんです、ほんの少しだけプロデューサーの方と話しをしていたようですが、僕のいた場所からは聞き取れませんでした、撮影が終わったらすぐに現場から出ていかれましたので、本当に誰なんだか解らないんです、スタッフの方にも聞いたんですが、プロデューサーの方と2人のフタッフ以外は顔を見た事も声を聴いた事も無いそうです」
僕は何処でも同じ話を伝える、美和の事を聞かれればこの話しで通す事になっている。
「そうなんですね、そんなに・・・・・謎の女性と言う事ですね」
インタビュアーの方が残念そうに言う
「そうですね、僕もファンだったので少し残念でしたね」
僕は、本当に残念だったように伝えた
「仕方有りませんね、それでは今後のお仕事について」
インタビューは進む、この後は打ち合わせ通りに進んで終わった。
午後からは、ドラマの打ち合わせだ。
生見さんはちょい役だと言っていたが、台詞だって有る主役とだって絡むし、以前はこういう役は回って来なかっただけ。
試しと言う事で事務所も受けたみたいだが、ちゃんと台本は入ってるし、問題無いだろう。
「こんにちは、宜しくお願いします」
数人だがすでにテーブルについている人がいるので、挨拶をして自分の席に腰かける。
「紹さん!元気になったんだ」
見覚えの有る女優さんから声がかかる
「神奈さん、お陰様でご心配おかけしました」
「ニュースでは復帰したって聞いたけど、ドラマご一緒できて良かったわ」
今回のドラマでは主役もヒロインも知らない名前だった、他の役者さんの名前は聞いて無いので、知り合いに会う事も有ると思っていた。
「はい、僕の方も久しぶりなので、宜しくお願いしますね」
そう言って営業スマイルで対応しているとドアが開いて他の方が入って来た。
「宜しくお願いします」
そう言って入って来た男性は後ろに人を連れている、後ろの女性が、小さくペコリと頭を下げて、席に着く、どうやらヒロイン役の人のようだ。
僕も席に座り他の人を待つ事にした。
暫くするとほぼ役者は揃い、監督と他スタッフが入って来る
スタッフから声がかかる
「お待たせしました、今から打ち合わせに入ります、私の方から、それぞれの方のお名前をご紹介させて頂きます、皆さんどうぞ宜しくお願いします」
それぞれの役と役者さんの名前が呼ばれる、僕の番になった
呼ばれたので立ち上がり軽く挨拶をする
「柏木 紹です、宜しくお願いします」
少しだけザワつく、名前だけは知られているらしい。
スタッフの方は続けてどんどん紹介を進める、スタッフの紹介を終えてから、撮影に入る日時を伝え、監督の挨拶が有り、終了した。
終わったので、生見さんと部屋を出ようとすると、先程のヒロイン役の女性が近づいて来る、何か有るのかな?そう思ったら声をかけられた
「こんにちは、柏木さん」
「こんにちは」
何だろう?そう思って彼女の顔を見る、若そうに見えるが主役だ、売れているんだろうな等と考えていたら
「この後お暇ですか?時間良かったらお食事でも行きませんか?」
いきなりそう言われ困惑する
「えっと・・・すいません、お食事はお断りします」
生見さんもびっくりしている、一緒にいた男性が困ったような顔をしている、マネージャーかな・・・何とか言ってほしい
「えーすぐ断わるって・・・もう少し考えてくれてもいいのに」
おっと・・・これは、あんまりお付き合いしたくない種類の人かもしれない
「すいません、この後事務所で会議が有るので、時間的に無理なんです」
そう言って生見さんが助け舟を出してくれた、横からマネージャーらしき男性が言う
「麗香さん、柏木さん困ってるだろう?」
「解ったわよ、柏木さんまた時間有ったら行きましょうね」
そう言って彼女は帰って行く、隣の男性が僕に頭を下げてから、彼女を追いかけていった。
「何なんだ、今売れてるアイドルグループらしいけど、性格どうなってんの、要注意人物に指定しとくかな・・・」
「生見さんいきなりそれは、でもいきなり食事に誘われたのは初めてですね、びっくりしました、彼女の名前何でしたっけ?」
「ぶっ、さっき紹介有ったよね?」
笑いながら生見さんが言う
「えっと・・・他の事考えてて、後で調べればいいかなって・・・」
「紹、珍しいね、考え事って絶対アンジェちゃんの事だろう?」
僕は目を逸らす、まぁ生見さんにはバレるよね
「ええっと・・・」
「やっぱりな、後あの女の名前、檜 麗香、今売れてるアイドルグループ、月桂樹のメンバーだそうだ」
そう教えてくれた
「へえ、また変わった名前のグループだね今時珍しい」
「今は色々有るからな、漢字のグループ名も珍しいから人気の一つらしいぞ、若い子に人気らしい」
「僕・・・知らなかったよ、この半年で売れたんだね」
「ああ・・・グループは以前から有ったようだが、丁度お前が事故した後に出たシングルが売れて、今じゃ人気者らしい」
「そうなんだ、ドラマで会うから、気をつけておこうかな」
「そうだな、あまり近づかない方がよさそうだ」
生見さんも僕に賛成してくれた、彼はあまり関わらない方が良い人が解るみたいだ気を付けよう。
アンジェサイド
「エド、相談が有るの」
今日は早い時間からエドが自宅にいたので、少し前から考えていた事を相談する事にした。
「なんだいアンジェ?」
「実は大学の事なんだけど、今までは色々考えてゆっくり進学すれば良いと思っていたんだけど・・・」
「ああ、そうだね、スキップを考えてるんだね?」
さすがエドで有る、言わなくても解ってくれている
「ええ、春が来る前に進学したいの、その後の計画も有るわ」
「そうなのか、君の進む道だ、君が決めればいい、どんな道でも僕達は応援するよ、ところで何処の大学かは決めてあるのかい?」
エドったら・・・気になってるのね
「ええ、ミシガン大で言語学をやるわ」
「言語学?それはまた・・・日本語が好きだとは解ってたけれど、まあミシガンなら近いから、休みには帰って来れるね」
少し安心したようにエドがそう言った、私は何時もの感謝を込めてエドに伝える
「ええ、何時も応援してくれて有難う、愛してるわエド」
そうして、何時もの答えが返って来る
「知っているよ、皆には伝えておくよ」
エドには相談済みだし、提出した論文はすでにOKをもらっている。
先生には、すでに相談済みなので、明日には必要書類と推薦状を受け取れる、後はネットで必要単位を調べて、大学でアドバイザーに相談して、これからの必要な手順を確認して行く。
暫くは忙しくなる、そうだアパートメントの契約もしなくちゃ、1度現地にいかないと、そうだ書類は直接大学に持って行こう、それがいい。
アパートメントの方は今から業者に連絡しておこう、明後日現地で見て決めてしまおう。
順調に進んでる、やりたい事を頑張る、力一杯。
「有難うございました、先生」
深く頭を下げると、にこにこと笑顔が返ってくる
「どういたしまして、頑張ってね」
「はい!」
そう伝えて私は、11年と少し通った学校を後にした、有難う色々な思い出が出来た場所、かけがえのない友人達に出会わせてくれた場所、今からは力いっぱい頑張ってきますそう告げた。
友人達には予め伝えて有る、少しだけ先に行くと、理解の有る友人達は笑顔で送り出してくれた。
駐車場に行くとロビンが待っていた。
「ハイ、ロビン」
「ハイ、アンジェ」
ロビンにも大学の事は伝えて有る、明日は一緒に行ってくれるそうだ。
「今日も来てくれたのね、明日も宜しくね」
「ああ、今日も送って行くよ、良ければお茶に行かないか?」
そうロビンが聞いて来た
「特別に予定も無いので、かまわないわよ、少し待ってね」
そう伝え、護衛の人に戻ってもらうよう伝えた
「お待たせ、行きましょうか」
車に乗り込む、ロビンはすぐに車を出した。
「この間は、少し急ぎたい理由が出来たと言っていたけど、理由を聞いてもいいかい?」
ロビンが尋て来る、聞かれるかなと思っていた
「これからは、自分がやりたい事に力一杯挑戦するって決めたのよ」
「ふ~んそうなんだ、直接の理由は教えてもらえないんだね?」
ドッキとしたが、知らないふりをする
「直接の理由って?」
「いや・・・気にしないで」
「そう、何処でお茶するのかしら?」
話を変えたくて私はそう聞いた
「この間行った所だよ、結構良かったからね」
その後は少し沈黙が続いた、カフェに着いて個室に入る、注文が揃ったのでロビンが口を開く
「そういえば、美和の動画、今後どうなるの?」
「ああ・・・・忙しくなるから、どうかな・・・1度ジムと相談してからになると思う、私なりの計画が有るから、出すとしても夏より早くなる事は無いかな」
そう伝える
「そうか、忙しくなるって、勉強がって事だね」
「もちろん、計画もちゃんと立てあるし」
「そうなんだね、将来の事とかも?」
「ええ、あんまり先の事はまだ解らないけれど一応ね」
そういって微笑むとロビンも同じく微笑み返して来た、なんだかちょっと申し訳ないような気になる、ロビンがじっと手元を見てくる、今日はリングを着けているんだった。
じっと見てる割には何も聞いて来ない、知らないふりをしておこう
「ロビンは、将来はどうするの?」
「僕?僕は今の仕事が気に入っているので、このまま続ける、大学は一応行くつもりだけど、専攻はまだ決めて無いかな、今の仕事に必要な知識はすでに習得済みなので」
「そうなのね、経済学とかそれこそ、私のように他言語を学んでみるとか?」
私はそう勧めてみる
「そうだね、考えておくよ、僕の方はまだ時間が有るから」
ロビンはそう言って笑った
「明日、9時に迎えにくるね」
そう言ってロビンは帰って行った。
とりあえず今日はごまかせたけれど、必要なければ2度は聞いて来ないだろう、そう思ったが、やはり断われば良かったかもしれない、もう遅いけれど、ロビンはどう思っているんだろう。
翌日迎えに来てくれたロビンの車に乗りミシガン大に向かう、とりあえず書類の提出と手続きを先に済ませる。
移動中はあまり話さなかった、美和の音楽が流れている、何度聞いてもなかなか慣れない、ぼ~っと外を眺めながら違う歌を口づさむ
「それ日本の歌だね?」
突然そう質問されて気が付いた、うっかり日本語で歌っていたのだ、それに音楽も何時の間にか止まっている。
「ええ、私の好きなアニメの歌なの」
そう答えると
「そういえば、日本のアニメの曲を歌ってたね」
以前のCDの曲の事を聞かれた
「ええ、同じ歌手の人が歌っている歌なの、すごく好きなの」
私は前世からこの人の歌うアニメ曲がすごく好きだった、子供の時に憶えていた曲は全て歌詞を書き出していた、歌もネットで調べれば、解るのでほぼ全て憶え直した。
前世ではこの人の歌は難しくて、上手く歌う事ができなかったのだ、私は歌が好きだった、嫌いな人はあまりいないと思うが、自分の思うとおりに歌う事が出来るようにゆらぎの声と絶対音感を手に入れた、喉だけは、生まれつきの要素が絶対に必要だった。
その歌を口づさむ事ができている、すごい事だ、改めてそう思った。
そして、私はまた歌を続ける、ロビンはそれっきり何も聞いてこなかった。
大学に到着した
「時間がかかりそう?」
そうロビンが聞いて来た
「解らないわ、どうする?」
「とりあえずキャンパスを見学してくるよ、終わったら連絡して」
「OK、それじゃ後で」
そう言ってロビンに別れを告げると、事務室の有る場所を探して移動するのだった。
ある程度の場所は頭に入っている、少し歩くと事務所の有る棟についた
事務の受付の人に声を掛け要件を伝えて暫く待つ。
「アンジェリーナ・クレインさん」
「はい」
呼ばれたのでそちらへ向かう
「書類は受け取りました、午後には結果が出るので、このまま待たれますか?それとも一旦戻って別の日に来られますか?」
そう聞かれた
「午後の何時頃に来れば結果が解りますか?」
「2時には、結果が出ています、早ければ1時過ぎには」
そう言われたので
「2時以降に確認に来ます、午後は何時まで大丈夫ですか?」
「午後5時までは職員がいますので声を掛けて下されば大丈夫です」
「解りました、宜しくお願いします」
そう言って事務所を後にしロビンに連絡する。
「OK駐車場で待ってるよ」
そう言われたので私は駐車場へ戻る事にした
こちらの業者に連絡を取る、
「こんにちは、先日お電話したクレインです」
「はい、今日は物件の見学ですね」
「はい、少しお願いしていた時間より早いんですが、お願いできますか?」
「はい、今日は平日なので大丈夫です、こちらの場所は解りますか?」
「はい、予め調べていますので、20分ほどでお伺いします」
「お待ちしています」
携帯を切った、駐車場に着くとロビンはすでに車にいた
「お待たせ、業者に連絡とれたので、今から見学に行く事にしたの、宜しくね」
「OK」
そう言って車を出すロビン、予め場所はナビに入れて有る
そうして私達は借りるアパートメントの見学に行く、何件か見たが、割と新しく立地も良く、学校に近い所が2件あったので、そのうちの1件に決めた。
業者の方は鍵をすぐに渡してくれた、賃貸の契約と、電気とガスの契約も済ませので、必要な物を揃えるため街に買い物に出る、とりあえず食料品以外の物や細かい物を揃えている間に午後2時を回った。
「一旦大学へ戻らないと」
ロビンにそう伝え車を回してもらう、そうして無事手続きを終え、来週から通う事になる。
借りたアパートメントに荷物を置くために戻る、まだ日が有るので、シーツと布団を干す、細かい物は少しづつ片づける事にしよう、少し掃除をしてやっと落ち着く事が出来た。
「ロビン有難う」
「どういたしまして、それで何時こちらに引っ越すの?」
「来週から通うから今週末には引っ越して来るつもり、自転車を買わないと!」
そうはりきって伝える、そろそろ戻らないと遅くなってしまう
「シーツを入れてベッドを整えたら、戻りましょう」
「OK」
そう言ってロビンも手伝ってくれる
「有難う、後は引っ越してから、少しづつ片づけるわ」
「そうだね、それじゃ戻ろうか?」
戸締りをして車に戻り、自宅へと戻る、なんとなく話すのが億劫になり、車の外を眺めているとロビンから声がかかる
「疲れた?」
「ええ、少し」
「週末からは、暫くアンジェには会えなくなるんだね」
ロビンがそう問いかけて来る
「そうね、さすがに今までみたいにすぐに会う事は出来ないけれど、長期の休みには戻るから、会おうと思えば何時でも会えるわよ?」
私はそう答える
「そうだね、所で彼氏が出来たの?」
いきなりそう聞かれて思わず心臓が飛び出すかと思った、なんとも言えない間が開いた。
「えっと・・・どうして?」
「昨日リングしてたろ?今日は外してるみたいだけど、それに・・・言動がちょっと不自然なんだよ、少し前からね、もしかして僕に遠慮してるのかなと思ったんだ」
「以前にも言ったけど・・・好きな人はいるの、でもそうね・・・ロビンには少し遠慮してたのかも、気持ちの整理は出来た?とは聞きづらいし」
そう正直に答えると
「僕はアンジェの事友達だと思ってるから、遠慮する事は無いし、ずっと友達でいられると思ってるんだよ、美和の事も有るしね」
そう言ってロビンは笑う、有難うロビン、気を使ってくれて、本当に大切な友達だ、そう思った。
「そうなのね、安心したわ、色々有難う」
私は今まで感じていた罪悪感から解放された。
紹サイド
ドラマの撮影が始まった、僕の出演は数回程の脇役だ。
撮影の有る日、午前中は空いていたので、事務所で少し打ち合わせをするためにやって来た。
ロビーで声を掛けられる
「やあ紹、元気になったんだね、良かった」
そう言って声を掛けて来たのは、一番会いたくなかった正則先輩だった
「お陰様で、ご迷惑をかけてすいませんでした」
そう言って頭を下げる、一番聞かれたく無い事を聞かれるんだろうな
「そうそう、美和ちゃんの動画、出演おめでとう!で、どうだった?」
「どう?とは・・・・何がですか?」
どう?とか聞かれても答えられないし・・・
「美和ちゃんだよ!本物に会ったんだろう?」
「はい、会いましたね、思ってたより小柄でしたよ、解ったのはそれくらいです、それにあっちの事務所からも美和に関してはシークレットだと言われているので」
「へ~やっぱり、顔も見て無いんだね?」
「はい、そうです、生見さんも一緒にいたので聞いてくれれば解りますよ」
「うん生見さんには聞いた~声すら聞いて無いって言ってたよ」
ちゃんと聞いてるんだ。
「いくら近くを通ったからって、あれじゃ顔も見えませんでしたよ」
「そうか~次は僕にオファー来ないかなぁ~紹繋がりでとか無い?」
「さあ、解りません」
そう伝えると残念そうに先輩は言った。
「そっか~」
「それじゃ、僕打ち合わせが有るんで」
そう言って早々に僕はその場を後にした。
打ち合わせの後撮影待ちで他の出演者の人と話していると声がかかる
「こんにちは~」
以前食事にいきなり誘って来た主演の女優さんだ
「こんにちは」
挨拶を返す、話しの途中だったので他の俳優さんと話してるといきなり隣にイスを持って来て話しかけて来る、若いからか、少し礼儀がなってないなと思ったが無視する。
「柏木さんったら、話し聞こえてますよね?」
仕方ないので話していた俳優さんに目くばせすると、彼は仕方ないと行った顔で苦笑した。
「なんでしょう?」
そう彼女にこたえる。
「先日のお話考えてくれました?」
先日って何だったかな?そう思った僕は素直に聞き返す。
「えっと先日って、何か有りましたっけ?」
そう答えると彼女は少しびっくりしたような顔で
「お食事に行く話ですよ!」
そう言って来たのだ。約束した覚えは無いので、そう答える。
「えっと、お約束はしてませんよね?」
「ええ?考えて下さいってお願いしましたよね?」
彼女はそう言って詰め寄って来る。
「えっと・・・個人的にお食事に行くのはちょっと、事務所からの通達も有りますし、無理だと思います、すいません」
そう言って丁重に断わった。
「え?何で無理なの?」
この子頭悪いのかな?ちゃんと理由も言ったんだけど、聞いて無いのか???
「えっと・・・事務所の方針ですから、他の女優さんとの個人的な付き合いは控えるよう言われているんですよ、解ってもらえます?」
僕ははっきりそう伝える。
「は?アイドルじゃあるまいし、おかしく無いですか~?誰も付き合ってほしいって言ってる訳じゃ無いし、まぁ付き合ってくれるならそれは、それでOKなんですけど、私、昔柏木さんのファンだったんですよ~」
そう言って来た。
何で過去形?と言うか付き合うとか、あり得ないし・・・困った子だな、どう言えば諦めてくれるんだろう?そんな風に考えていると、隣で話していた俳優さんが、話しに入って来る。
「檜さん、そんな話ししてマネージャーにでも聞かれたらどうするの?事務所に報告されちゃったら、困らないかな?」
そっと遠回しに言ってくれた、有難い。
「え~マネージャーに聞かれても構わないんですけど、事務所から色々言われるのは、ちょっと面倒かな、今の話は無かった事にして下さい、それじゃ、食事何時行くか、考えておいて下さいね~」
そう言った彼女は、席を立って監督の方へ行ってしまったのだった。
「ハア、藤田さん有難うございました、助かりました」
僕は最初に話していた藤田さんにお礼を言う。
「柏木君ちょっと困った子に気に入られちゃったね」
「そうですね、なるべく近づかないようにします」
「そうだね、いつの間にか食事に行く事になってるしね・・・」
「ええ、事務所の方から、迷惑してる旨伝えてもらいますよ・・・疲れた」
「ふふ、若い子の方がいいって人もいるのに、君はあんまり興味は無いのかい?」
そう聞かれた、彼になら話しても大丈夫だと思い伝える。
「僕、好きな子がいるので、他の人には興味が無いんですよ、おっとこの話しは内緒にしておいて下さいね」
「そうか、そうか、ついに柏木君にも春が来たんだね~解ったよ、聞かなかった事にしておくよ」
そう言って藤田さんは笑うのだった。




