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今月から毎日更新が出来なくなります、申し訳有りません。
新しい物語を書き始め時間が足りなくなったためです。<(_ _)>
アンジェ&紹
紹君がやって来る日になった、ドキドキしながら到着を待つ
紹君の乗った車が到着する、車を降りる紹君
こちらを見つけて手を振ってくれた、松葉杖を使って歩いてくる、
「紹、いらしゃい」
「アンジェ、出迎え有難う」
「皆家の中で待っているわ、どうぞ」
「お邪魔するよ」
アンジェに促されるまま家に入る、資産家だとは聞いていたが大きな家だな。
少し緊張しながらドアを抜ける、玄関の先には広めの部屋が有りソファが置いてある、壁には暖炉が見える、さすがアメリカの家だ、暖炉には火が入っている、外はそろそろ本格的に冬がやってくる。
居間に家族が並んでいる、紹君は少しづつエドに近づき握手を求める。
「柏木 紹です、今日は僕のお願いを聞いていただき有難うございます」
そう言った紹の手を握りエドが言った
「良く来てくれたね、コンサート以来だから君に会うのは久しぶりだね」
「はい、今日は宜しくお願いします」
「家族を紹介するよ、僕の隣の女性が妻のソフィアだ、そしてその隣が息子のノアだよリオンには会った事が有るよね?」
「はい、アンジェさんと一緒に病院に来てくれました」
「ソフィアです、どうぞ宜しく、東洋的で素敵な方ね」
「ノアです、宜しくお願いします、アンジェから聞いています」
「柏木 紹ですどうぞ宜しくお願いします」
「家族は以上だ、どうぞ掛けてくれ」
「有難うございます」
「それで、アンジェからは、色々聞いているが、僕はアンジェが幸せなら、それでいいと思ってるし、彼女を応援したいと思っているんだよ、アンジェに対する対応から、君の誠意は感じられるが、今日は色々話を聞きたいな」
「はい、僕の考えてる事をエドさんや家族の皆さんに聞いて頂きたいと思ってお邪魔しました」
紹君がそう言うとエドは頷く、それから紹君は、簡素に自分の経歴や芸能活動の事を話す。そして
「僕はアンジェさんに出会えて幸運だと思っています、彼女を大切にします、彼女と結婚を前提にお付き合いする事を許して頂けませんか?」
いきなりな彼の発言に私は一瞬固まる、エドも少しびっくりして、紹君に訪ねる。
「2人はまだ付き合い始めたばかりだろう?人間というのは気持ちが変わるものだ、何故君はこんなに早くそういう結論になった?」
紹君が答える
「僕は世間的にはいい年ですし、彼女に出会って、なんと言えばいいのか・・・そうですね例えばですが、欠けていた魂の片われが戻って来てぴったりと嵌ったような、そんな気がするんです。彼女の手を離す気は全く有りません、ただ彼女はまだ若い、大学にも進学したいと言っていたし、彼女の希望は叶えてあげたい、僕も今すぐは事務所の契約が有る以上は結婚は無理なので時間がかかると思います。ただ僕の気持ちに嘘は有りませんし、この先ずっと大切にします、家族の皆さんにもアンジェにも僕の気持ちを知っていてほしいんです、すいませんいきなりで驚かせてしまったと思います」 紹君は皆の顔を見てそう言ったのだった。
「そうか、君の思いは良く解るよ、僕もソフィに出合った時同じような気持ちになった」
「あら、そんな話し聞いてないわ?」
ソフィがそう言う
「プロポーズの時に一生守ると言ったじゃないか」
「あの言葉の意味が柏木さんが言ったような気持ちだったのね!嬉しいわ」
そう言ってエドのほっぺにキスをするソフィ
「相変わらずだね」
そう言って笑い出すノア
「エドとソフィはとてっも仲良しなのよ、見てる方が恥ずかしくなるくらいね」
そう紹君に告げると思わずと言った様子で彼も笑い出す
「理想の夫婦だよ、素敵だ」
そう言われたエドが照れるように笑う、珍しいエドが見れたのだった。
その後は穏やかに話しは続き、私の子供の頃の話しやノアの話し、エドとソフィの話しが続くのだった。
夕食を一緒にと誘われた紹君は、申し訳無いが、マネージャーがホテルで待っているのでと言って戻っていった。
家族の紹君への印象はかなり良かったようだ、それにしても将来の事まで・・・とちょっと恥ずかしくなった。
エドに呼ばれ話をしに行く
「アンジェ、今日の話どう思ってる?さすがに彼のいる場所では聞きづらくてね」
「はい、出来れば将来、その時が来れば彼と結婚したいです」
「そうか・・・君の気持ちも彼と変わらないとそう思っていいんだね?」
「はい」
「そうか、アンジェは少し早いが結婚を考えるような年になったんだな」
エドはそう言ってしみじみと過去を思い出すように目をつぶる、そしてそっと言葉を夜の静寂に乗せるように囁く
「エミリー・・・・アンジェはすっかり大人の女性に育ったよ、見ているかい?」
私の瞳から涙が零れ落ちる
「エド・・・・・いいえお父さん、有難う」
そう伝える
「アンジェ今、お父さんと・・・初めて呼んでくれたね?」
そう言ったエドの瞳にも涙が溢れて来た、私はエドに抱き着いてきつく抱きしめる
「お父さん、本当はずっと心の中ではお父さんだった、ソフィもノアもリオも皆私の大切な家族なの、タイミングが悪くって呼べなかったけれど、心の中では何時もそう呼んでいたわ」
そう伝える
「そうか・・・有難う・・・本当に有難う」
エドからお礼を言われた。
「いいえ、いいえ、クレインの家族に会えた私は本当に幸運だった。ママのお兄さんで有難う、私を見つけてくれて有難う、そして、私を肯定してくれてずっと味方でいてくれて、本当に有難う、愛しているわお父さん」
エドは声を詰らせながら、それでもこう言う
「知っているよ」
思わず私は笑い出す、そしてエドも笑っていた。
アンジェサイド
あれから急速に季節は冬に入った。何をしても素早いエドは着々と私と紹君の婚約を進める、公には発表できない、家族以外には知らせてはいけないからだ。
勿論紹君にもいなやは無い、そうして私達家族と紹君と生見さんだけの婚約式が静かに執り行われた、婚約指輪は用意しなかった。
以前紹君にプレゼントされた桜の指輪が気に入っていたので、それを使う事にした。
紹君も実はお揃いで少し形の違う物を買っていたので、他の人に気づかれにくいと言う私の意見を聞いてくれた。
「これで無事婚約式は終わった、本当に身内しかいないけれど、要は2人の気持ちの問題だからね」
家族全員から、お祝いの言葉をもらう、今日はリオも参加している。
皆が喜んでくれて私も本当に嬉しい、紹君はリハビリを頑張っている、婚約式が終わった後、皆でくつろいでいる時に紹君から話しが有ると言われた、皆にも聞いてほしいとの事だ。
僕は、アンジェの家族のいる場所で、この話をしようと決心した。
「実は、再来週くらいで足の治療は、終了する予定なんです。再発する可能性はほぼ無いとの事で、残っているのはリハビリだけとなります。日本の事務所からは、リハビリは日本で行うようにと連絡が有りました」
沈黙が流れた、それがどういう事を指しているのか、皆が解っているからだ、真っ先にリオが訪ねる
「なんとかならないの?せめて新年くらいまで、一緒にいる事はできないのかな?」
「すまない、事務所の方針で、復帰に向けての準備に入りたいとの事なんだ、契約している事務所の意向なので、断わる事ができない・・・長い間事務所には迷惑をかけている、僕も本当はきちんと完治するまでこちらにいたかったのだが・・・本当に申し訳無い」
そう言って紹君が私達に頭を下げる。
「でも・・・・後2週間なんて」
エドがリオを止めて言う
「契約がどういう物かリオ、君が一番良く解っているよね?」
そう言われ黙り込むリオ
「申し訳ありません、僕の力も足らず、知り合いにかけ合ったのですが、やはりこちらで仕事する事も難しくて」
そう生見さんが皆に謝る。
「こちらで仕事?こちらで仕事が出来れば、戻るのを遅らせてもいいのかい?」
エドの問いに生見さんが答える
「絶対とは言えないですが、紹の日本でのスポンサー契約は、ほとんど白紙の状態なんです、なので事務所も早く戻って、出来る仕事から試したらどうか?と言う事だったので、こちらで何か少しだけ大きな仕事が有れば、なんとかなるかなと・・・甘かったです、知名度は日本より低いし5か月も休業しているしで・・・」
エドとリオが互いに顔を見合わせた後私を見る・・・・・これって・・・
「アンジェどうだい?」
そう聞かれたので私は頷く
「そうか、ジムに連絡してみるよ」
そう言ってエドが部屋を出る、リオが私を見て頷く。
アンジェの兄のリオさんから改めて話が有ると言われた。
「柏木さん僕達からもお話が有ります」
僕はそれに頷いて答える、生見さんが彼らを見る
「お茶を入れなおすわね」
そう言ってソフィさんが席を立つ、今日はメイドさん達もお休みだそうだ
「実は、僕ある芸能事務所に所属しています」
「ええ、知っています、エンジェルプライムですね?」
生見さんがそう答える、僕は黙って聞いている
「その事務所に美和が所属している事はご存じですね?」
「ええ、知っていますが?」
生見さんがそう答える。
「今エドが美和のプロデュースをしている方に連絡を取っています、こちらでの滞在を最大限に伸ばすために、動画に参加しませんか?」
「え?」
生見さんが一瞬固まる、そして大きく息をすって深呼吸している。
「そんな事が出来るんですか?」
僕はたまらず問いかける
「ええ、多分プロデューサー側からは良い返事が返って来ると思います」
リオが少し笑う、私は心の中で、そうよね、ジムは何時だって動画を撮りたいのだもの、ジムの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
「本当に?それは大変ありがたい申し出ですが」
生見さんが言い淀む
「本当ですよ、実際僕は1度ですが、彼女の動画に出演しています」
リオがそう伝える
「そうでしたね、その後事務所を移籍されている、でも紹は事務所の移籍は無理ですよ?」
生見さんはそう訪ねる
「それは大丈夫ですよ、彼女の秘密さえ守ってもらえれば、問題は有りません、僕は都合が良かったので、移籍しただけですので」
そうリオン君を見て、僕は少し考えて・・・こう告げる
「しかし、アンジェの家族に迷惑を掛ける訳にはいきません」
「待って、待って、別に迷惑なんてかからないから、柏木さんは本当にアンジェを大切に思ってくれているのですね」
そう言ってリオンは微笑む
「それでも、当のご本人は?あれ程身元を出したがらない彼女が承諾してくれるのですか?身元を知られたく無いからずっとあのスタンスなのでしょ?」
僕がそう訪ねるとリオンは笑いながらこう答える
「ええ、勿論身元を隠すのは最初からのスタンスです、でも彼女も大人になったので、それに本人が良いと言っているので」
やはり彼女は子供だったのかと妙に納得した
「え?何時の間にご本人と連絡を?」
生見さんがびっくりして問う、僕も不思議だった?あまりにも僕達に都合がよすぎる、そう思えた、そこへエドさんが戻って来る
「ジムは二つ返事でOKだそうだ」
「えええええ?」
思わず僕と生見さんはハモってしまった。
「ああ、まだ話してないのか?」
エドさんは、そう言っておちゃめに笑う
「うん、今伝えようとしていら、ダッドが戻って来たんだよ」
「そうか、リオから伝えたいかい?」
「気が削がれたから、もおいいよ!」
そう言って少しふくれるリオンさん
僕達は訳がわからず顔を見合わせた、伝えるって何を?その答えはすぐにエドさんからもらえた
「それじゃあ僕から、本人が協力する気になっているから、何も遠慮する事は無いよ、プロデューサーは何時でも美和の動画を作りたくて仕方無い人だしね、そうだろう、アンジェ?」
エドさんがそう言った、生見さんと僕はアンジェを見る
「そうね、ジムが喜ぶ顔が目に浮かぶわ」
『ええええええ』
もう1度僕達は、ハモってしまった日本語で・・・・・少し恥ずかしかった。
「目の前の彼女が美和だよ」
エドさんがもう1度言う、僕はもう1度アンジェの顔を見る、彼女は少し困った顔をしてこう言うのだった
「黙っていてごめんなさい、何時話すか迷ってたのだけれど、紹の力になれるのなら喜んで協力するわ」
そう言って微笑む彼女の顔はすごく素敵だった。
こんな形では有るが、紹君に美和の事を明かす事ができた、その事実にほっとしていた時紹君から質問が有った。
「身元を特定されないために顔を隠していたのは解ったけれど、最初の動画は幾つくらいなの?」
「10歳だったわ」
「そうなんだね、子供の頃から色々と考えていたんだね、そう言えば、もっと幼いころに動画が流れた事が無かった?」
そう訪ねると彼女はびっくりして聞き返してきた
「紹、あの動画を見たの?すぐに削除したのに」
「事務所の先輩が見つけてね、僕に見せてくれたんだよ、多分あれは奇跡に近い確率で、先輩が見つけた動画だったんだ、すぐに削除されたので1度限りだったけれどね」
「そうなのね、あれは・・・両親のお葬式でお別れの歌を歌ったのよ」
「え?ご両親?」
僕は思わずエドさんの顔を見る、エドさんが話を引き継ぐ、
「アンジェの両親は、彼女が5歳の時に交通事故で一度に亡くなったんだ、彼女の母親が僕の妹でね、何か有った時のために、僕に連絡が入るようにしてくれていたんだよ、僕達は疎遠でね、まぁそのうち詳しい話はするけれど、彼女の両親の葬儀の様子を盗撮していた者がいてね、動画を流してしまったんだ」
「そうだったんですか、すいません不用意に訊ねてしまって」
僕はそう謝るとアンジェが答える
「いいの、両親の事は、思い出すと少し悲しいけれど、私には今、素敵な家族がいるもの」
そう言って微笑む、可愛い・・・・・
私は、紹君に美和となった詳しい話をする事にした、ジムがどうやって私を見つけたのか、どうして動画が作られるようになったのか等を
「ジムはね、何時でも動画を撮りたいのよ、私が子供の頃から一貫して態度を変えないので、今では諦めてくれているの」
「そうなんだね」
「今日ホテルに戻ったらさっそく事務所に連絡してみるよ、大きな仕事だから、事務所も断わらないと思う、彼女の秘密は、事務所にも伝えない、この方針は変わらないんだね?」
「ええ、大変だと思いますが、宜しくお願いします」
そう生見さんに伝えると
「大変だなんて、あの美和と仕事ができるんだ、頑張らきゃ!」
時々こいう子供っぽい所が有る生見さん
「それじゃ、そろそろお暇します」
そう言って紹君が挨拶をする
「またいつでも、気軽に訪ねて」
リオとノアがそう言う、
「僕達はここで失礼するよ」
エドとソフィが玄関でそう伝える
「私は車まで」
そう言って紹君をささえる、紹君が
「皆さんまた、機会が有ればなた、お邪魔させてください」
「お暇します、またお会いしましょう」
そう生見さんが言うとホテルに戻って行く
車まで送った私に紹君が口づけを落とす、生見さんはもちろん先に車に乗り込んでいる、さすがに気が利く人だ。
そして車はホテルに戻っていった。
「生見さんくれぐれも、正則先輩には知られないように、事務所にもちゃんと頼んでおいて下さいね」
車の中で僕は生見さんに念を押す
「そうだね!正則が知ったら自分も出せとか言いそうだ」
「本当に、なんだかまだ夢を見ているような気分です、美和がアンジェで嬉しいです、やっぱり彼女は癒しの人だったな」
「そういえば、紹も、美和のファンだったね」
「ええ・・・そうですね」
僕は幸運な奇跡に感謝するのだった。




