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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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こんな小説を読んで下さって有難うございます、リアル事情で2日程投稿が抜けましたが、今日からまた毎日投稿頑張ります。

    アンジェ&紹


 アンジェがやって来るそう思うと気持ちがはやる、何と言おう、まずは誤解を解く処からだ。

 ノックの音がする、生見さんがドアを開けてくれる

「いらっしゃい、入って下さい」

 生見さんが開けたドアから彼女が入ってくる、護衛は・・・いない、少しほっとする、あまり他の人には聞かれたくない、僕は声をかける

「やあ、アンジェちゃん来てくれて有難う」

「こんにちは、紹さん少し時間が空いてしまって申し訳ありません」

 何時もの事だが、こちらを気遣ってくれる.



 紹さんがこちらを見ている、何時もどおり優しそうな笑顔で。

 少し胸がチクリとする。

 足を確認する、まだ、色の悪い所は有るけれど、以前見た時よりはましになっているように見える。治療がうまくいっているのだ、良かった。

 挨拶を済ませる、大丈夫、大丈夫

「お話しって何ですか?」

 そう訪ねる、さっさと終わらせてしまおう。



 アンジェちゃんがストレートに訊ねて来た、

「えっと、以前に日本で籠目さんに会ったよね?」

 彼女の顔が少し強張る

「はい、お会いしました、綺麗な方でした」

「えっと・・・実は彼女の事で話しが・・・」


 私は急に視野が狭くなるのを感じる紹君の話し声は続いている、けれど私は耳を塞ぎ、座り込んでしまった、自分の行動が制御できない。紹君の足が見える、オーラの色が悪い、いけない・・・でも動けない、心臓が・・・息が苦しい・・・・・



 僕が話し出すといきなり彼女は耳を塞ぎ、うずくまる、いやいやする子供みたいに首を横に振る、僕は思わず、車椅子から立ち上がる、足に鋭い痛みが走る、かまうものか・・・・僕はうずくまる彼女を抱きしめる。

「大丈夫、怖い事なんて無いんだよ」

 そう声を掛ける、腕の中の彼女は震えている、怖かったんだ、今日も何気ない表情で病室に入って来た彼女、説明さえすれば、それで大丈夫だと思っていた、この小さな女の子が愛おしい、愛おしいくてたまらない・・・そんな気持ちが溢れて来た。



 気がつけば誰かが優しく背中を撫でてくれている、目を開ける、すぐ目の前に紹君の顔が有る、え?何故?彼の顔が近づく。



 彼女の目が開く、なんとも言えないブルーと緑の混ざった瞳が僕を認識して少し見開かれる、その顔を見た瞬間僕の理性はどこかに飛んでいった、そして心が求めるままに彼女に口づけを落とす。

 彼女の体は一瞬強張るがすぐに力が抜ける、静寂が流れる・・・・心臓の音だけが大きく響く


「おいおい、何時まで見てればいいのかな?ちょっと、目のやり場に困るんだが・・・」

 そう生見さんから声がかかり我に返る、ああ・・・やってしまった、それが僕の素直な感想だった。



 気が付けば、口づけされていた、ビックと体が反応する、暖かい唇を感じた、自然と体から力が抜けていく、思考力がどこかへ出かけてしまったみたいだ、ああ・・・幸せ、そう感じた後、優しく抱え上げられ立たされる、私は促されるままに立ち上がる、膝に力が入らない、思わず崩れ落ちそうになる、抱きしめていてくれた手が優しく支えてくれる。




 アンジェは、僕に支えられて立ち上がる、どうやら震えは収まったみたいだ、良かった。膝に力が入らないのか、ふらつくので支える、軽い、力を入れると、壊してしまいそうだ。

 腕の中に抱え込むようにして彼女を支えなおす、どうやらまだ、朦朧としているようで、僕に体重をあずけ抱かれている。

「アンジェちゃん、僕の声が聞こえているかい?大丈夫かい?」

 そう問いかける



 優しい声がする、大丈夫かと問いかける声が、出かけていた、思考が戻って来る、あれ?誰かに・・・・・・気が付いた瞬間に体が勝手に飛び上がる、横にいる紹君はびっくりして、こちらの顔を覗き込む、近い・・・・・近いんですが。



 腕の中にいた彼女が突然飛び上がる、思わず彼女の顔を覗き込む、小動物みたいだ、小さくて可愛いな

「どうやら声が聞こえたみたいだね?」

 そう問いかけると、彼女の顔がみるみる、赤くなる、ああ本当になんて愛おしいんだ。



「えっと紹、2人の時間はこれから幾らでも作れるから、ちょっと話を進めようか?」

「ああ・・・ごめん、えっと何処まで話しました?」

「籠目さんの事を説明しかけた所くらいかな?」

「ああ・・・籠目さんの事で、どうやら誤解が有ったようなんだよ」

 そう言って彼女の顔を見る。

 え?と彼女が問い返してくる



 私は紹君に抱かれたままである、心臓がマラソンをした時のようにドクドクいっている、腕から逃れようとすると、紹君が力を入れる、動けない・・・・

「誤解があってね」

 え?誤解?ええ?どういう誤解?

 紹君の顔を思わず見上げる、彼の顔が近づくそして・・・・


「えっと・・・もお解るよね!」

 生見さんの声が聞こえた、思わず紹君を振りほどき、距離を取る、彼の顔をまともに見れない、どんどん顔が熱くなってくる、どうしよう、どうしよう、誤解だったんだ、紹君にキスされた、彼も私を好きでいてくれていたんだ・・・・


 

 僕はほっと息を吐く、どうやら誤解は解けたようだ、恋愛脳ってちょっとやっかいだな、そう思いながら彼女を見る、このまま抱きしめて何処かへ攫っていきたくなる、その時足にまた痛みが走る、

「うっ・・・・」



「どうした、痛むんだな、とりあえず椅子に座って」

 あわてて生見さんが僕を支えてくれる、勧められるまま椅子に腰かける彼女も慌てた様子ですぐに飛んで来て、足に手を当ててくれる、とたんに体の力が抜ける、ああ楽になってきた、そうして何時ものように暫く時間が経過した後で彼女の手が離れていく。ずっと触っていて欲しい・・・



 私はおたおたして生見さんと紹君を交互に見る、どうしよう、そうだ深呼吸だ、そう思い深呼吸をしていた時に紹君から思わず苦し気な声が聞こえる。

 そうだオーラが・・・先程オーラの状態が悪いのをこの目で見ていた。

慌てて椅子に座り込んだ彼の足に手を当てる、少しづつ色が変化する、ある程度変わると何時ものようにそれ以上は変化しなくなるので手を放す。



「有難う、かなり楽になったよ」

 僕は彼女にそう告げる

「どうやら誤解は解けたみたいだね?」

 僕がそう訪ねると小さな声で返事が返ってくる

「はい、すみませんでした、勝手な誤解で、ご・・・ご迷惑をかけていたみたいで」

「そうなんだ、この際だからはっきり言っておこうと思う」

 少しおちゃめに僕は生見さんに目くばせして例の物を持ってきてもらう。

 箱を取り出し、蓋を開け彼女に差し出す

「君が好きだ、僕と付き合ってくれないか?」

 指輪を見てびっくりしていた彼女は僕の言葉に小さく

「はい・・・私も好きです」

 そう答えてくれた、生見さんがにこにこして見ている。

「はめてみてサイズが合うかな?」

 彼女は指輪を受け取り、指にはめていく

「大丈夫です、少し緩いですが、抜ける程じゃありません」

「良かった、一応サイズが合わなかった時のために、これも準備していたんだ」

 ネックレスを見た彼女は、嬉しそうに笑った。

「有難う、素敵な指輪とチェーンです大切にします」

 はにかんだように笑う彼女はすごく素敵だった。

「ああ良かった誤解は解けたし、それどころか、一気にすっとばして恋人同士になちゃったし、問題は全て片付いたようだ!では、これ僕からの誕生日プレゼントだよ」

 生見さんがそう言ってもう一つの箱を差し出す

「誕生日だって知っててもらてえたんですね?有難う」

 私は素直に差し出されたプレゼントを開く、こちらも桜がデザインされた

髪留めである

「嬉しい、桜のデザイン素敵です、有難う」

 生見さんにそう言ってお礼を言う

「気に入ってくれて良かったよ、アンジェちゃんには色々とお世話になっているし、あの性悪女が迷惑かけちゃったし」

 最近の生見さんは逸美に対して遠慮しなくなった。

「性悪ですか?」

「ああ、あの女、紹に近づく女性をいじめたり、必要以上に紹と仲良さげにして見せつけたり、本当に性悪だよ」

「それって紹さんの事が好きで邪魔してるとかでは?」

 そう尋ねた私に、紹君から返事が戻ってくる。

「ちがうと思うよ、以前と言ってもかなり前だけど、『壊してやりたい』と言われた事があったんだが、本気でそう思ってるらしい、噂を聞くところによると何人か対象者がいるみたいだね」

 怖い!あまりお友達になりたく無い人だ

「そうなんだよ~うちの事務所では、要注意人物になっててね、あの日も紹の入院してる情報が漏れたのを聞きつけてすっ飛んで来たんだよ、弱った顔が見たかったとか言ってたと紹に聞いたよ」

「えええ・・・・怖い方ですね、」

 そう言った私に生見さんと紹君は笑うのだった。

 



               アンジェサイド


 色々話をした後、私は家に戻る、自宅まで時間がそこそこかかるので、早めに戻らないといけない。明日の約束をして病室を後にする。

 心が踊っている、体が喜んでいる、嬉しい嬉しい、頭に花が咲くってこういう事をいうのかなあ~等と考えながら駐車場で待ってくれているカレンの元へ戻った。

「その様子だと誤解は解けたようですね?」

 そう言ってカレンが微笑む

「うん、きちんと説明も聞けたし、それにね」

 手を見せる

「お付き合いしてください、って言われたのよ」

 うふふと笑う私を見て少し呆れたようにカレンが言う

「あらあら、一気にお話が進みましたねぇ~勿論OKされたのでしょう?」

「うふふ、勿論よ、ちゃんと好きだって言えたわ」

 嬉しそうに、うふふ、うふふと笑う私を見ているカレンに気がつた。

「心配かけてごめんなさい、そしてありがとう」

 そう伝えるのだった。


 自宅に戻った私はいまだに口元が緩む、思い出し笑いが止まらないのである。

「アンジェおかえり・・・その顔は話しがきちんと済んで誤解は解けたようだね、良かったね」

 そう言って迎えてくれるエド

「そうなの、見てねぇ見て」

 子供のように喜んで手に付けているリングを見せる。

「おや、彼からのプレゼントかい?」

「そうなの、彼が私を好きだって・・・そう言ってくれたの、私幸せだわ」

 踊り出しそうな私を見たエドは思わず失笑する。

「そうか・・・いきなりそこまで話しが進んだんだね、リオの言った通りだ」

「え?リオが・・?」

「そうだね、アンジェ以外は皆、あの出来事が誤解だって思ってたんだよ、周りから見たら君達は両想いに見えた、でもアンジェ本人は気が付いていなかった。彼が大人で、きちんと話をする事を優先してくれて本当に良かったよ」

「そうなのね・・・ごめんなさい私のせいで沢山の人に迷惑をかけたわ、心配させて本当にごめんなさい」

 そう言ってあやまる私にエドは優しくこう伝えてくれた。

「謝る事は無いんだよ、家族ってそうやって支えあってゆくものなのだからね。心配はするが君の幸せをずっと望んでいるんだ、少し辛い思いはしたけれど、必ずそれは、君の糧になるはずだよ、君が今のように幸せだと笑っていてくれる、それが家族にとって一番のお返しになるんだよ」

「ありがとう!エド、大好き」

「うん、知っているよ」

 エドは何時ものようにそう言って笑った


「そう、良かった、これでアンジェは幸せになれるね、彼なら大事にしてくれるだろう」

「良かったのかい?」

 私はそうリオに訪ねる、彼の気持ちに気づいていたのは多分私だけだろう

「うん、僕達は家族だ、一生ね、それでいいのさ」

 そう言って微笑む息子を、私は少しだけ胸が痛む思いで見ていた。



               アンジェ&紹


 翌日も紹君の病室へ向かう、何時ものように生見さんが迎えてくれた。

「こんにちは、お邪魔します」

「どうぞ、何時も来てくれて有難う」

 紹君から何時ものように挨拶が返る

「足の具合はいかがですか?」

 足のオーラの色が周りと同じくらいの色になって来た、黒く見えていた部分も色が綺麗になりつつある、なんだか急に状態が良くなったみたいだった。

「うん、なんだか、かなり良いような気がするんだ、診察は明日だからはっきりとは言えないけれど、多分良くなっていると思う」

 そう言って微笑む紹君は相変わらず素敵だった。

「ところでアンジェさん、実はお話が有ります」

 畏まる生見さんに私は少しドキドキしながら話を聞く

「2人がお付き合いする事に関して、俺はとっても応援しているのだけど、事務所が何と言うかが気になってね、申し訳無いんだけれど、事務所から正式に許可が出るまでは、周りに付き合ってる事は黙っていて欲しいんだ」

 そう言われて私は、冷や汗をかく

「えっと・・・実は家族には、話してしまったんです・・・皆心配してくれていたので・・・」

「ああ、それは仕方ないね、学校のお友達や周りの人に黙っていてくれればいいんだよ、大丈夫かな?」

 そう聞いてほっとする

「はい、大丈夫です、紹さんが芸能人だという事は解っています、エドも他の人よりは苦労するだろうが、大丈夫と言ってくれているので、私も、大丈夫です!」

「そう、なら安心だね」

 

 生見さんとのやり取りを見ていた、受け答えがなんだが可愛い、それに家族も反対されていないようで、ほっとした僕はこう伝える。

「なるべく早く公にできるように事務所には交渉するので、事務所の事は気にしなくっていいよ」

「はい」

 と笑ってくれる。

「それで、昨日は忘れちゃったんだけど、携帯の番号を教えてくれるかな?」

「はい!喜んで」

 嬉しそうに携帯を取り出す彼女、抱きしめたくなるが、我慢だ。昨日は生見さんが見ている前でかなり恥ずかしい事をしていた、何時も一緒なのでつい忘れるんだ。

 僕は案外平気だったけど、彼女が恥ずかしい思いをするから気をつけよう。

 携帯の番号を交換した後、2人でどうぞ、と言われたので、奥の部屋へ入る、かすかに外側のドアが閉まる音がする、何処かへ時間つぶしに行ったのだろう、生見さん有難う。

 

 紹君と2人きりになった。どんどん胸のドキドキが大きくなる、車イスから立ち上がった紹君が近づく、そっと肩に手が置かれる、まつ毛が長いな、そんな事を思っていると、そっと口づけをされた、昨日は突然だったけど

 頭の芯が溶けていく、体中を幸せが駆け巡る、そんな感覚、顔の位置を変えられてまた口づけを受ける、体から力が抜ける、ふらっとした瞬間に抱きしめられる、強い腕、ああ・・・・幸せだ。そして離れていく感触、

 抱きしめられたまま、私はただただ、嬉しくって涙が出てくるのだった。

「泣いているのかい?」

 優しく紹君が訪ねる

「嬉しくって、未だに信じられなくって、思わず勝手に涙が出たの」

「そうなんだね、大丈夫僕はここにいる、君の事を愛しているよ」

「愛してる?私を、好きではなく?」

「ああ、多分これは愛だと思う、君と出会ったあの瞬間から多分僕は君に恋していたんだ、そして日本で再び会ったその時から君を愛し始めていた、そう思っている。ちょっと、重いかな?」

 ふふっと笑いながら、そう聞いてくる紹君の顔は、なんだか可愛く見えた、あの少年だった頃のように少しだけ頼りなく見える。

 その瞬間に私は気が付く、私もまた、前世で紹君を見つけた、あの瞬間から彼に恋していたのだ、そしていつ頃からか私も、彼を愛し始めていたのだ。

「いいえ、貴方を見つけたあの瞬間から私は貴方に恋していた、そしていつの間にか愛していた、私も愛してるわ紹」

 私は正直に彼に告げる、何時か彼になら、話してもいいかもしれない、そう思いながら、私の方が重いわね・・・そう頭の隅で考えた思考が踊っていた。

 


 僕は彼女をもう1度抱きしめ口づける、何度も何度も、ああ、これが生見さんが言っていた幸せに包まれるって事なんだと思いながら。


                      

                    紹サイド


 翌日、診察を受けた医師から、検査を告げられる、思っていたより今回が、順調に進んでるとの事だった、検査の結果かなり良くなっていたので、このままなら2~3日で、通院に切り替える事ができると言われた。

 やっと病院から出られる、さすがに2か月は長かった、医師曰く途中経過を見ると2か月ならかなり早い方だと言われた。

 季節は冬に移り変わろうとしている、この嬉しい報告をすぐに彼女に連絡した。

「やあ、アンジェ・・・昨日は有難う」

 昨日の事を思い出し少しだけ言葉に詰まる。

「紹、こちらこそ有難う、体調はどお?」

「それなんだが、今日の午後、検査が有ってね、2~3日で通院に切り替える事ができるそうだ」

「そうなのね、すごいわ、退院したら何処で暮らすの?」

「できれば、君の実家の近いホテルにでもと思っている」

「ああ・・・この近くにホテルは無いのよ、住宅街になっていて、家から一番近いホテルでも車で20分はかかるかしら」

「そうなんだね、それじゃ、運転手を雇って車をレンタルしなくちゃね」

「私の方で心当たりが有るので手配しましょうか?」

「それは有難いね、お願いしてもいいかな?生見さんに伝えておくので、彼に連絡を入れてくれるかい?」

「ええ」

 それから暫くおしゃべりして携帯を置いた、隣の部屋にいる生見さんに声をかける。

「生見さん、退院が決まったらホテルに移動するだろ?アンジェの自宅近くにホテルが無いようなんだ、なるべく近くのホテルにして欲しいんだけど、良いかな?

 車での移動になると思う、アンジェちゃんに心当たりが有るそうなんだ、頼んでおきましたが良かったですか?、明日には護衛の方の会社から連絡が入るそうなので宜しくお願いします」

「了解だ、事務所の方ににも退院が決まったら連絡を入れるよ、ところで・・・事務所へのもうひとつの報告はどうする?」

「とりあえず、退院して落ち着いてからですね」

「解った」                  


                  アンジェサイド


 携帯を取る、ロバートに連絡するためだ、

「こんにちは、ロバート少しいいかしら?」

「なんだいアンジェ、実はお仕事の要請が有ってね、私の知り合いなんだけれど、滞在先のホテルから私の家までの移動手段に車と運転手を探しているのだけれど、彼日本の芸能人なの、なので護衛と運転手を兼ねて誰か派遣してもらえないからしら?」

「了解、後で人選しておくよ」

「有難う、宜しくね」

 生見さんの携帯の番号を伝えて連絡を終える。

 紹君がやっと退院できる、ああ早く元気になって欲しい

 授業を終えると駐車場でロビンが待っていた、ドッキっとした、今は紹君との事は話せないのだ、そう思うと後ろめたい気持ちになるが、仕方ない。

「ハイ、ロビンどうしたの?連絡も無く待っているなんて珍しいわね?」

「やあ、アンジェ少し君に聞きたい事があってね、少しつきあってくれないかい?」

「聞きたい事?時間は有るからいいわよ?携帯では聞きにくい事ね?」

 私はロビンの話し方からそう察した。

「そうだね、個室を取れるカフェがある、護衛の彼女にはついて来てもらってね」

「ありがとう、それじゃ、行きましょうか」

 そう言ってロビンの車に乗り込む


少し離れたカフェに着いた、私達は2階の部屋に案内される、大きめの窓から外が見えるが、2階なのでこちらを覗かれる事はほぼない、なかなか良い雰囲気の部屋だ。

「それで、聞きたい事って何?」

 私はストレートにロビンに問う

「少し待って注文が終わってからにしよう」

「なんだか、誰にも聞かれたくなさそうね?」

 ふふっとロビンが笑う、注文が済み、お茶とデザートが出される、給仕の人がドアを閉めて部屋から離れるのを確認したロビンがゆっくりテーブルに肘を付く、内緒話だ

「アンジェ、先日、旅行に行ったよね?」

「そうね、有難う、とっても楽しかったわ」

「あの日、僕は散歩しようと思ってホテルの外に出てね」

 心臓の鼓動が少しだけ早くなる。

「そして、日本語で歌う、美和の声を聞いたんだよ」

 ああ・・・・ついにバレた、近くに人がいないか確かめたはずなのに

「えっと・・・」

 言い淀む私をじっと見つめるロビン

「君が美和だね?」

 ああ、彼は確信しているのだ、顔を見れば解る、仕方ない何時かはそういう時が来ると解っていた、素直に認めよう

「ええ、そうよ」

「やっぱり、でも素直に認めたね?」

「何時かは、何処かからバレると思っていたから」

「そうなんだね、少しだけ聞いていい?」

「どうぞ、何でも」

「何故、顔出しをしないの?」

「学業に支障が出るのが嫌だった。それに誘拐の心配や誰かに陥れられるのが嫌だったから、歌手としてデビューする気も無かったから、かな?」

「そうか、あれだけの声を持っているのにもったいないね」

「自分の好きなように好きなだけ歌いたかったの、人前で歌うのは少し苦手なの、子供の頃のトラウマもあってね」

「そうか、解ったよ」

「それだけ?他には」

「いや・・・・・他は解ってるから」

「は?解ってるって???ほとんどがシークレットで、所属の芸能事務所くらいしか知られてないのに、何故?」

 ロビンの顔が少し強張る

「あ~これは僕の仕事と関係あって・・・まぁいいか」

 ロビンがふっと息を吐きながら答えてくれる。


「以前に美和の偽物が出た事があっただろう?」

「ん?それが何の関係が・・・・・あ!」

「さすがアンジェだ、解ちゃったんだね、あの時のハッカーが僕なんだよ」

「はぁ・・・ハリーから聞いた、かなり凄腕のハッカーだって、美和のファンとだけ言っていたと、すごいわね?仕事って言ってたけど、今でもハッカー?なの?」

「そう、所謂ホワイト・ハッカーと呼ばれてる人だね、ハッカーの技術を使って、それを防止するセキュリティを組んだり、ハッキングしてきた相手に罠をしかけてウィルスを流したりとまぁ色々仕事はあるよ」

「そうだったのね、それでお友達と一緒に仕事してるのね」

「なので、君の事務所やプロデューサーなんかの情報も詳しく知ってるんだ」

「えっと・・・・それって違法だよね?」

「そうだね・・・訴えるかい?」

 くすりと笑ってロビンはそう言う

「いいえ、あの時はハリーも本当に困ってたの、だから事務所もハリーも私も、ロビンのおかげで助かったわ」

 そう言って首を横に振る

「有難う、ならば安心してこれからも応援するよ、新しい動画の情報くらいは、聞かせて欲しいかも?」

 私は少し思案してから、彼にこう伝える。

「解ったわ、何か有ったら協力してね?」

「もちろんだよ」


 ロビンと話した夜に紹君から連絡が入った、さっそくロバートさんが連絡を取ってくれたら。

 、完治するまで暫くは通院が有るため毎日とはいかないが、今まで以上に会えると解って心が躍っている。

「愛しているよ」

「私も、愛してるわ」

 そうお互い伝えて携帯を切る、名残惜しいが、明後日には本人に会えるのだ、それまでは、きちんとやるべき事をこなさなくては。



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