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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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 3歳になった、動けるようになった、話せるようになった、英単語もどんどん覚えて日常会話なら余り問題無く話せるようになった。

 他にも物の名前や色やとにかく視覚に入る物は全て覚えた。

 TVで見た物も覚えた、英語を覚えると何故だか自動で日本語に結び付くようになっていった(不思議)おそらく前世の私は、英語もそれなりに勉強して覚えてたんでは無いだろうかと思っている、有難い。

 今でも日本語は頭の中でだけ、音声付き、多分好きだった声の人の音声で流れてる気がする。絶対音感と関係が有るのだろうか??疑問


 やっと私が待ちに待った日が訪れた。

 今日は両親がパーティーでお出かけ、母のタブレットの置いてある場所もばっちり把握済み、シッターのお姉さんは、前々から両親が出かけるとTVに夢中であまりこちらの事は気にしない(私は大人しくって、あまり手のかからない子という認識らしい)

 実際手はかからないだろうと思う、寝てるか、考え事してる事が多かったので。

 いよいよタブレットに手を掛ける、使い方は見て覚えた、さっそくポチポチとタブレットを操作していく、指が小さいので楽かも。


 紹君と同じ時代に生きてる事は、事前に確認済みなのだ。

 ネットに繋げて・・・知りたい情報をタッチ、出て来た画面を見てびっくり、紹君の記事がすぐ出て来たのだ、結構有名になってるらしい、時間は限られているのでまずはプロフィールから、調べていくことにする。



 柏木 しょう 18歳    日本人   サイエージェンシー所属


 歌手・俳優 身長182cm


 サイエージェンシーって確かオーディション受けた事務所だよなぁ、デビューできたみたいで良かった。ネットのヒット数が多いのにはちょっとびっくりしたけれど、次々と記事を見ていくとその理由が解った。

 去年日本で公開された映画が海外の映画祭で受賞したらしく、その時に助演男優賞を取ったのが紹君だったそうだ、若いのに素晴らしいって事で検索数が増えてるらしい。 

 成程納得、さすが紹君!今年アメリカ本土でも上映される予定だとか、観たい!なんとかして見る方法を考えよう。

 ネット配信してくれれば観る事ができるので、焦らずに待つ事にする。


 最近の動画を発見!さっそく観てみる、うぇ~イケメンどうやらソロでデビューして歌って踊れるアイドルらしい。姿勢も良いし普通の写真もモデルみたいだ。

 4年ぶりに紹君を堪能、ずっと眺めていたいけど、ここは我慢だ。

 調べなければいけない事が多すぎる、部屋の時計とにらめっこしながらどんどん調べ物をしていく。

 日本語と英語の両方で次々調べていく、疑問だった事に答えがもらえるって幸せ、そして両親が帰って来る時間になったのでタブレットを戻す。

 シッターのお姉さんは気がついて無いみたいだ。

 疲れた・・・子供ってやっぱ体力無いよな~と思いながらベッドに入ると、すぐに眠りに落ちる。


 目を開けると何時もの天井、ドアを開ける音で目が覚めたらしい。

「マイエンジェル、お目目は覚めたかな?」

 そう言いながら母が入ってくる

「ママ、おはよう~」

 眠たげな声で返事をする。

 抱き上げられながらキスの雨が降ってくる、どうやら父はすでに仕事に出ている時間らしい。

 父がいれば両親からのキスの嵐がやってくるのだ、両親供にベタベタの甘々である。

 赤ん坊の頃は、辟易していたが、さすがに慣れた。

「エンジェル今日は、ご飯の後に公園に行きましょうね」

 最近の母のお気に入りのルーティンだ。

 私の事をエンジェルと呼ぶのには意味が有る、私の名前がアンジェリーナだからである、まんまエンジェルだよ、アンジェと呼ぶよりエンジェルと呼ぶ方が好きらしい。

 父もこの呼び方、どうなの?って思うけれど結構多いらしい、アメリカ人の名前って愛称とか有るので、日本人には解りにくいよね。

 おっと母の名前は、エミリア 父の名は、サミュエルごくごく普通の一般家庭で、母は、専業主婦だ。

 家はそこそこの田舎に有る、治安も都会に比べると結構安全で、ご近所さんもほぼ顔見知りなのだが、小さな子供を一人でほっておくのはさすがに無いかな、と言うのがこちらの常識だそうだ。 


 両親が出かける時は必ずシッターが呼ばれるし、手配ができなければ、お隣さんに預けられる。

 子供だけでのお留守番なんてあり得ない。

 色々解って来ると日本って安全な国なんだなぁという事を思い出した。

 確かと~っても安全な国だったはず。

 大人の話を聞いたりネットで調べたりして私の知識はかなり増えている、記憶力は良いと言うよりは、ほぼ忘れない。

 だが、タブレットに触れる機会は月に2~3度程なので、紹君の検索は、かなり我慢している、知識を増やす事優先である。

 人とはかなり違うと言う認識は元々持っていたのだけれど、知識が無ければその違いが解らない、解らなければ、うっかりミスで何処からバレるかも解らない、とにかく人と違う事をなるべく隠しておきたい。



 私は無事4歳の誕生日を迎える事となった、誕生日のプレゼントにタブレットが欲しい。頑張っておねだりしてみよう、辛すぎる紹君が見たい!!

 ここ1年で紹君の認知度はかなり上がり、こちらでもかなりのファンがいるらしい、ネットの情報も増えているため月に2~3度の検索では追いつかなくなっている。なので自分専用のタブレットが欲しいのである、3歳はさすがに無理かなと思ったけれど4歳ならなんとかなるかもと思っている。

 ある日ついに意を決して母におねだりしてみる。

「ママ、お願いが有るの」

 母の服をつかみ、下から見上げ目をパチパチさせる、いわゆるお願いのポーズで有る。

「お願い?珍しいわね。なにかなぁ?」

「お誕生日のプレゼントにタブレットが欲しいの」

「タブレット??ん~ちょっとパパと相談してから決めるからお誕生日までお返事は待っててくっれる?」

 にっこり微笑む母の顔が怖い・・・この人時々なのだけれど、笑いながら怒るのである、あの時の顔だ。

「はい、ママ」

 そう言って私は自分の部屋にトボトボと帰って行った。

 やっぱり無理だったか、せっかく可愛さ目いっぱいでお願いしたんだけどなぁ・・・あそうそう!転生の時にお願いした、色白で可愛い系のタレ目の容姿はかなりすごい事になってる、初めて鏡を見た時思わず、自分の顔かな?と思って鏡を触ってしまった。

 自分でお願いしておいて何だけど、鏡の中からは、宗教画の天使のような可愛い子がこちらを見ていた、薄い金髪でまつ毛がバッサバッサである、タレ目はまだはっきり解らなかったけれど、何とも言えない不思議な目の色が美しい(ブルーと緑が混ざって模様のようになっている)思わず見とれちゃった程である。

 白人なので色は白い、白人の子供って本当に可愛いよねぇ・・・母の遺伝子がかなり仕事してるなぁと思っていると、ふと昔飼っていた猫の事を思い出す。

 そういえばあの子って子供の頃はオッドアイだったけど、大人になると両方金茶の目になったなぁ・・・明るい所で見るとかすかに青色が見えたけれど・・・私の目も大人になると色が変わるんだろうか?今度調べてみよう。頭の中のメモに書き込む。

 最近色々な知識が入って来るとふと前世の記憶が戻って来る事が有る、消去では無く忘れるだけなので、何かのきっかけで思いだすんだろうか?ちまたで、よく言うデジャブってこういうのの事を言うんだろうか?

 タブレットが多分、手に入らないんだろうなと思うとなんだか気持ちが後ろ向きになり始めたので、日本語の書き取りをやる。

 隠してあったノートを出して覚えてる歌の歌詞を書いて行く。

 頭の中がグルグルとして負のスパイラルに陥っていく、気持ちがどんどん落ち込んでいく、ダメだ、そう思って気分を変えるために英語の歌を口ずさむ。

 最近両親と教会に行くことが有るので讃美歌を何曲か覚えた、讃美歌なら怪しまれない、まだ習ってないけれど、落ち込んでる時は以前好きだった『アメイジンググレース』を歌う。

 英語を知って歌詞の意味が解った「神の奇跡に救われ、神の恵みに感謝し、歌を歌いつづけます」こういう歌詞だ。さすが讃美歌。

 両親は多分クリスチャンだ、私は・・・両親と教会には行くけれど洗礼も受けて無いし、クリスチャンネームも持って無いので違うと思う。

 前世はまるっと日本人、節操無しだった事を思い出した。

 正月には神社に行って、旅行では有名なお寺に行った、パワースポットが好きでクリスマスをお祝いするような普通の人でした。

 日本人の宗教観ってやっぱり八百万の神々って所から来てるのかなぁ等と考えていると、少し気分が浮上してきた、やっぱり日本が好き。ルンルン気分で歌を歌う、自分の揺らぎの声が好き、歌っているといきなり声がかかる。

「天使ちゃん?その曲何時覚えたの?」

「こないだTVで聞いたの!!!」

 しれっと私は嘘を付く(ごめんねママ)

 記憶力が良い事は両親はすでに知っている。

「そうなのね、少し音が違う所が有ったから直さないとね?」

「え?ママが教えてくれるの?」

 母が歌えるとは知らなかった、良い耳だ絶対音感は母の遺伝子だな。

「やった~嬉しい お歌一杯覚えたい!」

 こうして母の指導で歌のレッスンが始まった。ボイトレ希望がかなった瞬間だった、讃美歌を含むアメリカの歌を覚える。

 歌詞を覚えるために母のタブレットに触れる機会も増えた。難しい使い方も覚えていった。運が仕事してるなぁ~


 いよいよ誕生日がやって来た、両親のキスの嵐に始まり、ご馳走とケーキカットそしてついにプレゼントが渡された。

 タブレットだ!!!

「ママに聞いたよ、とっても欲しがっていて、最近は使い方も覚えたんだって?色々疑問が湧いて来る年頃になった事だし、専用のタブレットを贈る事にしたよ」

 私は嬉しさのあまり、涙が溢れて止まらなくなった。

 これで紹君を見る時間が増える!

「パパ・ママ有難う!」

 泣きながらそう伝える

「あらあら、そんなに欲しかったのねぇ、パパこのプレゼントにして良かったわね」

そう言い微笑む母と父、切実に欲しかったです、ハイ

「但し、1日3時間までだよ?目や体に不調が出るといけないからね」

「はい、はい、有難う」

そう言って父に思わず抱きつく。

 ルンルンとタブレットを抱いたまま踊る、両親がそれを見て可愛い可愛いと褒めてくれる、やはり両親は私に甘々だった。


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