16
アンジェサイド
ホテルのロビーで午後から待ち合わせで有る、もちろんカレンも一緒だ、先日と違って、夏では有るが護衛らしい服装である。
「クレインさんこっちこっち」
呼ばれた方を見ると生見さんが奥の方の席から立ち上がりこちらへやって来る、人目につきにくい席を用意してくれたらしい。
奥の方に男の人が2人座っている、片方が先日会った人だ、思い出した。
もう1人は見覚えが無い。席に着くと顔を知ってる方の人が。
「先日お会いしましたね、斎賀です」
そう挨拶してくる。
「隣が、うちの事務所の副社長の伊丹です」
そう言って隣の男の人を紹介する。
「どうも伊丹です」
名刺が差し出された。
「アンジェリーナ・クレインです、どうぞ宜しく」
そう言って名刺を受け取る、副社長さんが来た!
4人掛けのテーブルなので生見さんは私の隣に座る。
入口に背を向ける形なので有難い、従業員は教育されているのでいいのだが、一般のお客さんは、結構見て来る人が多いのだ。
人に全く見られないなんて事は有りえない、高級ホテルだけあって、さすがに勝手に携帯で撮影される等は無いけれど。
「それで、お話って何ですか?」
さっそくそう聞く、もちろん英語だ、日本語が普通に話せる事は黙っている、話は早い方が良い。
カレンが私の斜め後ろに立つ。
「えっと、そちら、護衛の方だったんですね、先日は私服でいらしたのでお身内の方かと思いました」
斎賀とか言う人がそう言う。
「はい、そうです」
「先日は、うちの事務所の斎賀が、失礼な事をして申し訳ありません」
そう言って伊丹さんが頭を下げる、おお、謝ってくれるって良い人だ。
さすが紹君が所属している事務所の方だ、少しくらいなら話を聞いてもいいかな?と思い始める。
「うちの紹のファンだとか?」
「はい、小さい頃、ネットでお見かけして、ファンになりました、それ依頼ずっと柏木さんのファンです」
私はそう返事をする。
「そうですか、アメリカでも紹の人気はまずまずで嬉しい限りです、今回は観光で来られたのですよね?」
「はい、柏木さんのコンサートも観たかったのですが、おケガをされたとの事で、知り合いに無理にお願いして、お見舞いに行かせて頂きました、そこでそちらのエージェントの方とお会いしました。」
打ち合わせ通りの返事をする。
「そうだったのですね、たまたま観光中にうちの斎賀が貴方をお見かけして、声を掛けさせて頂いた事は報告が入っています。不思議なご縁ですね、話は聞いていましたが、本当に美しい方だ」
一応礼儀として私は、サングラスを付けずに来ている、入口が後ろなので、こちら側は少し陰になっているはずなのに、そう伊丹さんは言う。
「有難うございます、芸能事務所の副社長さんにそう言っていただいて光栄です」
「先日お話は、斎賀がお伺いしたのですが、芸能関係には興味が無いとの事でしたが、全く興味は有りませんか?」
「はい、人にジロジロ見られるのが苦手なので」
実際あまり好きでは無い
「そうなのですね、少し残念です、歌とかにも興味は有りませんか?」
「歌は好きです、個人的に先生について習っています」
「おお、そうだったんですね。」
「良ければ今度、事務所に遊びに来ませんか?勝手に写真を写したり等の失礼な事はしませんので。紹がどんな事務所にいるのか興味ありませんか?」
「え?それは・・・・興味が無いわけではありませんが・・・・」
心が屈する音が聞こえそう・・・
「そうだ、今日は紹の手術の日なんだよ、もぉ終わってる頃だから、この後お見舞いに行かないかい?」
そう斎賀さんが言ってきた、おもわず、隣の生見さんを見そうになる、聞いて無いし!
「私が一緒に行っていいんですか?手術後って大変なんじゃ?」
行きたいです・・・・そう思いながら聞き返す
「落ち着いたから、やる手術だし、僕達も行くんだ、そんなに長い時間じゃないしね。どうする?」
斎賀と言う人が聞いてくる、隣の伊丹さんが、顔を手で撫でている、ああこの人暴走してるのかぁなんて思いながら、紹君の顔だけでも見たいので
「ご一緒させて下さい」
そう返事をする。
「話が早いね、ではさっそく」
斎賀さんはそう言って席を立つ
「病院にはこちらの車で向かいます、帰りはきちんとお送りしますので」
生見さんが言う、私は黙って頷き、彼らの後をついて行くのだった。
移動中エドに連絡する
「エド、今から病院にお見舞いに行ってきます、帰りは送って下さるそうなので、心配しないで下さい。カレンも一緒です」
必要最低限を伝えて携帯を切る。
「そうえば、クレインさんご両親と旅行なんだよね?今日の事は予め了承はもらったと聞いたけれど?」
そう伊丹さんに尋ねられる。
「はい、今連絡しました、両親には一応連絡はしますが、ほとんどの事は自分で決めているので、問題は有りません」
そう言うと
「確かまだ未成年だよね?」
伊丹さんが尋ねるので正直に答える。
「はい、そうです」
「えっと幾つだっけ?」
「17歳です」
「そうなんだ、しっかりしてるね、お友達は皆そうなの?」
「個人差が有ります」
「まぁ、そうだよね、君はすごくしっかりしていて外見より大人に感じるよ」
伊丹さんがそう言う、まぁ中身は大人だけどね、私は考える。外見は・・・背が低いせいか友人達よりは年下に見えるが、日本の高校生よりは大人に見えるはず。
私は白人にしては背が低く、157cmしかない、自分で低めの背丈を希望したし、今の背丈をかなり気にいっている。
細身なので、あちらでは洋服に少し困る事も有るけれど、そこはオーダーメイドが有るので不自由はしていない。
日本ではお店に有る物が買えるので嬉しかった。そんな事を考えていると病院に到着した。
車から降りると何時ものように夜間入り口から入る。
伊丹さん達が病室に入っていく。私はその後ろからそっと病室に入る、紹くんはベッドに寝ている、ああ良かった、以前から聞いていたが、手術できる程に回復したんだね、知らなかったのは少し悲しいが、確実に治ってきているのが嬉しかった。
伊丹さんが声を掛けている
「紹?紹?大丈夫かい?」
紹君の目がそっと開く、光が差し込んで美しい、眩しいのか手を目元に持って行く、こちらを見る紹君と目が合う
「アンジェ?」
何故後ろにいる私と目が合うの???生見さんが慌てている。
「あれ?伊丹さん、それに斎賀さんも、来てくれたんですね」
どうやら目が覚めたようだ、これ、どうしたらいいんだろう、名前呼ばれたよね・・・・斎賀さんが思わず後ろを振り返る、私は聞こえなかった振りをする
『今、アンジェって聞こえたよね?』
『え?そうですか??』
しれっと言い返す、こうなったら知らない振りだ、これしかない!
「紹、足の具合はどうだい?」
伊丹さんが優しく紹に尋ねる、
「はい、麻酔がまだ残ってるのか、痛みは有りません」
そう答える紹君、私は声を掛けるタイミングを失い、ただ見つめていた、
「先日お見舞いに来ていた、クレイン氏のお嬢さんがまた来てくれたんだよ、さっきまで僕達とお話をしててね、お見舞いに誘ったんだ。」
伊丹さんが紹君にそう伝える。
「そうなんですね」
『アンジェさん、また来てくれて有難う、横になったままでごめんね』
『いえ、手術されたと聞いて、辛くないですか?お邪魔ならすぐ帰りますので言って下さい』
『辛くは無いよ、それに邪魔でも無いよ、男3人より君がいてくれた方が嬉しいよ』
そう言って、社交辞令の微笑を向けてくる
「紹、やっぱりいい男だね」
そう斎賀さんがちゃかす
「こらこら斎賀、紹はまだまだ、休養が必要何だから、僕達もお暇しよう」
「はいはい、紹じゃ、また、落ち着いた頃にスケジュールの相談に来るよ」
「そうですか、有難うございます」
そう紹君が答える。
部屋を出る伊丹さん達に聞く
『皆さんお帰りになるのですか?』
『そうだね、手術後だから、あまり長居はできないのでね』
斎賀さんがそう言う。
『じゃあ私も』
そう言って部屋を出ようとすると
『ああ、クレインさんは、俺が送って行くので、少し待っててもらえる?』
生見さんがそう聞いて来てくれた。
『あ、はい、ではお願いします』
『残念、アンジェリーナさんまた、会おうね~』
斎賀さんがそう言うと伊丹さんが
『事務所に遊びに来る事考えててね、待ってるよ』
そう言い残すと病室を出て行くのだった。
3人がエレベーターに乗ったのを確認すると、病室のドアを閉める。
その音を聞きつけて紹君から声がかかる
「ごめんね、変なことに巻き込んでしまって」
「いえ、偶然が重なって、こういう事になっただけです、出会い頭の事故みたいな物です」
「ぶっ、相変わらず面白いね」
「ええ、そんな事より、足触っていいですか?」
紹君の足は、手術する前に見た時よりはオーラの色がましである
「ああ、宜しくお願いします」
「はい、まかせて下さい」
そう言ってそっと手術した足に手を乗せる、オーラの色が少しづつ綺麗になる、ある程度で手をどける、他に少し濁りが残っている部分も手を当てて行く。
気が付けば、紹君は眠っていた。麻酔が少し残っているみたいだと言っていたから、今は眠った方がいいんだろう。
そっと手を放し、顔をじっと見る、黒くて長いまつ毛が並んでいる、鼻筋の通った綺麗な鼻、少し薄めの口元は綺麗に上がっている、寝てるのに口元上がってるってすごいなぁ~ それに30過ぎてるのに、きめ細やかで綺麗なお肌だなぁ。うっとり見つめる、ああ写真が欲しい、この美しい寝顔の写真・・・・そっと携帯を取り出し、かなり迷った後、写真を撮ってしまった。
こんなに綺麗な寝顔は、見れない、後で生見さんに謝っておこう・・・・他人に勝手に撮られるという事がどんな事なのかを知っているのに我慢できなかった、おまけに芸能人なんだ。
ああ・・・なんて悪い事しちゃったんだろう、削除しようか、どうしようか、迷って、携帯を持ったまま頭を抱え込むやっぱり削除しよう、と決意した時ドアをノックする音が聞こえる。生見さんが戻ったのだ、思わず携帯を握ったまま、ドアを開ける、生見さんが立っていた。
「携帯握って何してるのかな?」
「ひっあ」
おかしな声が出る
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、写真を撮ってしまったの、すぐ削除します、本当にすいませんでした」
そう言って私は深く頭を下げ、謝罪する
「悪いって事解ってるんだね?」
「はい、今削除しようと思っていた所です」
「そう写真見せてくれる?」
「はい寝顔があまりにも綺麗だったので」
「ぷっ・・・どれどれ」
そう言って携帯の写真を見る
「うん、これそのまま持ってていいよ」
「え?でも本人の承諾も無く、おまけに寝顔で・・・」
「うんうん、確かに綺麗な寝顔だ、マネージャーの俺がOK出したんだから、気にする事無いよ」
「ほ・・・本当ですか?持ってていいの???世界中で私だけが寝顔が見れる!やっほ~い」
「そういう所は年相応だね」
そう言って生見さんは笑うのだった。
「紹はこのまま休ませておこう、ホテルに送っていくよ、ところで今日は治療は?」
「あ・・・はい済んでいます」
「そう、何時もありがとうね」
「どういたしまして、何度も言ってますが、自分が嬉しくってやっているので、そんなにお礼を言われると、かえってこちらが恐縮してしまいます」
「そういう所が、日本の高校生と違うよね、日本語がほぼパーフェクトに話せるので、すぐに忘れちゃうけど」
そう言って笑う生見さん、この人もとっても良い人だ。
ああ、今日も幸せを有難う、そう感謝しながら1日が終わるのだった。
紹サイド
「紹?紹?大丈夫かい?」
声がする目をそっと開く、光が差し込んで来て眩しい、手を目元に持って行く、声の方を見ると、アンジェと目が合う
「アンジェ?」
そう言ってすぐに伊丹さんと斎賀さんが目に入る、まずい、麻酔が残ってるのかぼ~っとしてた。
「あれ?伊丹さん、それに斎賀さんも、来てくれたんですね」
しらを切る、アンジェを見ないようにする。
斎賀さんが後ろを振り返っている
『今、アンジェって聞こえたよね?』
『え?そうですか??』
アンジェは確かに聞いていたはずなのに知らないと言っている、あ・・・英語だ、気をつけないと。
「紹、足の具合はどうだい?」
伊丹さんが僕に尋ねてくる、
「はい、麻酔がまだ残ってるのか、痛みは有りません」
そう答えると伊丹さんが後ろにいるアンジェを見ながら
「先日お見舞いに来ていた、クレイン氏のお嬢さんがまた来てくれたんだよ、さっきまで僕達とお話をしててね、お見舞いに誘ったんだ。」
そう言えば話が有るとかで、今日会ってたのか、昨日は検査、検査でアンジェに連絡する時間が取れなかった。申し訳無い
「そうなんですね」
『アンジェさん、また来てくれて有難う、横になったままでごめんね』
『いえ、手術されたと聞いて、辛くないですか?お邪魔ならすぐ帰りますので言って下さい』
『辛くは無いよ、それに邪魔でも無いよ、男3人より君がいてくれた方が嬉しいよ』
そう言って、社交辞令の微笑を向ける
「紹君、やっぱりいい男だね」
そう斎賀さんがちゃかす
「こらこら斎賀、紹はまだまだ、休養が必要何だから、僕達もお暇しよう」
「はいはい、紹じゃ、また、落ち着いた頃にスケジュールの相談に来るよ」
「そうですか、有難うございます」
そう答える。ああ、アンジェも帰ってしまう、生見さんに目で合図する
生見さんがかすかに頷く
『皆さんお帰りになるのですか?』
『そうだね、手術後だから、あまり長居はできないのでね』
斎賀さんがそう言っている
『じゃあ私も』
そう言って部屋をでようとすアンジェ
『ああ、クレインさんは、俺が送って行くので、少し待っててもらえる?』
生見さんがそう聞いて来てくれた、ナイス!
『あ、はい、ではお願いします』
『残念、アンジェリーナさんまた、会おうね~』
斎賀さんがそう言うと伊丹さんが
『事務所に遊びに来る事考えててね、待ってるよ』
そう言い残すと病室を出ていくのだった。
3人がエレベーターに乗ったのを確認するアンジェ、そして病室のドアを閉めたので、声をかける
「ごめんね、変なことに巻き込んでしまって」
「いえ、偶然が重なって、こういう事になっただけです、出会い頭の事故みたいな物です」
「ぶっ、相変わらず面白いね」
「ええ、そんな事より、足触っていいですか?」
彼女が近くに来る
「ああ、宜しくお願いします」
「はい、まかせて下さい」
そう言ってそっと手術した足に手を乗せる、ああ、楽になるなぁ他の部分も手を当ててくれるどんどん楽になる、癒されてるなぁ、恋人になってくれないかなぁそう思いながら僕は眠りに引き込まれていくのだった。
ドアが開く音で目が覚めた、部屋を見回すと、生見さんが入って来る所だった。
「おかえり」
声を掛ける
「ああ、起きたのか、眠っていたので、アンジェちゃんを送って行ったよ」
「そう、余り話もしないうちに眠ってしまったな、残念」
「気持ちを隠さなくなったね」
「そうだね、生見さんはもぉ知ってるから」
「そういう紹は初めて見るよ、なかなか新鮮だね!」
「ええ!」
「君は感情のコントロールが得意だから、なかなか本音を吐かないしね」
「生見さんには結構色々言ってるんだけどな」
「あ!そうだ、事後報告になるけど、アンジェちゃんが紹の写真を欲しがったので差し上げました。」
「え?」
「聞いておくれよ、俺が伊丹さん達を送って戻って来ると、なんとあのアンジェちゃんが携帯を握ってたんだ!そしていきなりすごい勢いて謝って来た、聞いてみると紹の寝顔があまりに綺麗だったので、思わず我慢できずに写真を撮ってしまったらしい」
「えええ?」
「ちゃんと悪い事だと解って削除しようとしてたので、そのまま差し上げました!すっごい喜んでたよ」
にこにこ顔でそう言う。
「僕は喜ぶべきなんだろうか?それとも怒るべきかな?何も寝顔を撮らなくっても、ツーショットでも何でもあげるのに」
「彼女曰く、世界中で私だけが寝顔が見れると、そう言ってとても幸せだと言っていた。」
「それ、すっごい恥ずかしいんだけど・・・・ちょっと嬉しいかも」
「そうだろ?そうだろ?少しづつだけど、彼女も自分の気持ちに気づくといいな、ただそれを待つだけなのもダメだぞ」
そう言って応援してくれる生見さん、有難う良い人だ
まず、彼女との距離を縮める事、それから事務所からの許可がいるかな、後は、彼女がこっちをちゃんと見てくれるようになってくれるといいな。
そう思うだけで心がぽかぽかする気がする、次会えるのが楽しみだ。




