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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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                   アンジェ&紹


「こんにちは、お邪魔します」

そう言って病室に入る、ベッドに座っている紹君は、オーラの色が以前と違って見える程に元気そうだ。


 アンジェがやって来た。自分の気持ちに気がついた僕の心臓は少しだけ早くなっている

「こんにちは、何度もごめんね」

そう紹君から挨拶が返る。



「調子が良さそうに見えます、少しですが、お力になれているようで、嬉しいです、何度でも通います」

 私は、そう言って笑顔で挨拶する



 アンジェの笑顔が素敵だ、おっといけない・・・・冷静に、冷静にだ、しかし、この年になってこんな事って・・・・と思いつつ彼女の顔を見て微笑む、勝手に顔がゆるむのだ・・・・これが恋愛脳ってやつかな・・・

「さっそく始めますね」

 そう言って傍に来る彼女、まだ痛みが残る部分に手を当てていく。



 紹君の笑顔を見れて嬉しいと思いつつ、早く元気になってと願いを込めて手を当てる。

 足はまだまだ時間がかかりそうだ。多分傷が有っただろう部分で色の濁っている所は、かなり数が減った。

「順調に回復しているそうだよ、傷の治りが早いって先生がそう言っていた、アンジェさんには、本当に感謝しているよ」

 マネージャーの生見さんが横からそう話しかけてくる。


 生見さんが彼女に話しかけた事で彼女の顔が横を向く、少しむっとする僕、ああ・・・・少年のようだ、少し恥ずかしくなって反省する。

 自分の感情がコントロールできていない、恋人になった訳でもないのに、これからどうすればいいかな・・・・  



「紹さん?紹さん?」

 なんだか考え事をしているような紹君に声をかける。



「ああ・・・ごめん考え事をしていた」

 声がかかっていた事にふっと気がつく。



「足の方も終わりました、それじゃぁそろそろお暇しますね」

 私は少し名残惜し気にそう言う。



「あ・・・ちょっと待って、生見さん今日まだ時間大丈夫だよね?」

 僕は生見さんに時間の確認をする。

「ああ、大丈夫 アンジェちゃん、今日は少し時間が有るから、お茶でも飲んで話していくといいよ」

 生見さんがそう言う、とたんに彼女の顔が喜びで明るくなる。 

 可愛いな。



 思いがけなく生見さんから許可が下りる、私はその言葉を聞いたとたん幸せに包まれる。お話しができる、お話しができる、ああわくわくする。



 そうして僕たちは、1時間程たわいもない話しをする、それだけなのに僕の心は癒されていくように思う。

「紹そろそろ」

 そう生見さんから声がかかる、今日は事務所の人が来る事になっている。

 名残惜しいがまだこれから会えるんだからと自分の気持ちを抑える。

「また宜しくね、生見さんから連絡を入れてもらうよ」

 そう言って彼女と別れる。





               アンジェサイド


 生見さんから声がかかる、もう時間が来てしまった、挨拶を交わし後ろ髪を引かれながら病室を後にする。

 エレベーターを待っているとドアが開く、サングラスを掛けた男の人が下りてくる。

「あれ?生見、何処行くの?」

 隣の生見さんに声がかかる。

「斎賀さん早いですね?俺・・・ちょっと知り合いを送ってくるので、病室で待っててください」

 そう言ってそそくさとエレベーターに乗り込む生見さん。

「了解」

 すれ違う男の人がこちらを見る、私は軽く会釈をしてエレベーターに乗り込む。

 男の人が振り返る気配がするが、そちらを振り向かないようにする。

「なんであの人今日に限って時間より早く来るんだよ・・・」

 帰りの車の中で生見さんが呟く。

「お知り合いの方ですよね?」

「そう、事務所の先輩、今日この後で、今後の紹のスケジュールを見直しにね。アンジェちゃんを見られちゃったな、ごめんよ」

「いえ、サングラスもしてますし、一目ちらっと見ただけなので、紹さんとお話できた事の方が私には貴重です!」

 そう言ってにっこり笑ってみせる。

「ははは、貴重ね・・・アンジェちゃんは本当に紹の事好きなんだねぇ」

「ハイ!世界中で一番好きな方です、家族より好きです、早く芸能活動に戻って頂けるようにお手伝い頑張ります」

 ファンなんだもん当然よ!

「良く解ったよ~」

 少し気の抜けた返事が返ってくる。

 そのまま、何時ものようにたわいも無いおしゃべりをしてホテルの前で別れた。




                紹サイド


「やぁ、紹 少しは元気になったかい?」

 そう言って、部屋に入って来たのは、事務所のエージェントである斎賀さんだ、あれ、約束の時間より早いな?と思いつつ挨拶をする

「こんにちは、斎賀さん早いですね、調子はだいぶ良いですよ、さすがに足は時間かかりそうですけどね、先生の話では、腫れが引けば再手術できるとの事だったので、もう少しですかね、迷惑おかけして申し訳ありません」

 そう返す。

「いやいや、今回の事故は現場のせいだからね、スポンサーの方々もこちらに同情的なので、スケジュールの調整はやりやすい方だよ」

「そうですか、それを聞いてほっとしました」

「そうそう、さっき生見とエレベーターで会ってね」

 あ・・・まずい、そう思ったがもぉ遅い。

「知り合いの人を送るって言ってたけれど、どういう知り合い?」

 やはり聞かれたか。

「ああ、アメリカでのスポンサーの方を覚えてますか?」

「ああ、オウル氏ね」

「あの方のお知り合いで、コンサートの時に一緒にいらっしゃった方です」

「ああ、断れなかったやつね」

 この人何時もは時間ギリギリなのに、何で今日にかぎって早く来るんだ。困ったな。

「なんでその人が来てるの?」

「夏休みで日本に来ていたそうで、事故にあったのを聞かれて、お見舞いに来てくれたんですよ」

「ふ~んそうなんだ、どっかで見た事が有る気がするんだよねぇ彼女の事」

「え??」

 何故斎賀さんが?

「あ!思い出した近くのショッピングモールだ、あの時見かけためちゃくちゃ美人の子と横顔がそっくりだ」

 うええええ・・・・マジか、すっごくマズい事になった気がする・・・この人は美人に目が無い、ナンパとかではない、すぐ事務所に誘うのだ、見る目はかなり高いのだが、いかんせん節操が無い、まさか彼女に声かけたりしてないよなぁ・・・・

「あの時、思いっきり断られた子だ!間違い無い、うん観光で来てるって言ってたな」

「声かけたんですね」

 ああ・・・やっぱり声掛けたんだ。

「そうなんだよ~すっごい美人でね、華が有って、神秘的な目でねぇ」

 間違い無いアンジェだ。

「そ・・・・そうなんですね」

「ふ~ん紹君の知り合いなんだ~へ~へ~」

 超やばいモードだ、絶対紹介しろと言ってくるぞ。

「紹介してくれるよね?」

「決定事項ですか?」

 心の中でアンジェに謝る、ごめん本当にごめん。

「僕は連絡先とか知らないですよ」

 ごめん生見さん、丸投げする。

「そうなの?じゃ生見に聞くよ、それじゃ生見が戻るまで、今後のスケジュールの相談しようか」

「了解です」




               アンジェサイド


 とりあえず、次の予定は、録音だ、歌はもぉ頭の中にばっちり入っている、後はジム待ちだ。

 次の連絡がまだどちらからも届かない、ジムの方はさすがにもう少し時間がかかりそうだ。

 昨日会ったばかりなのに、もぉ紹君の顔が見たい、早く呼んでくれないかな。

『アンジェ、柏木君のマネージャーから連絡だ』

 あれ?エドの携帯に連絡って、珍しいな何か有ったのかな?

 携帯を受け取る

「お電話変わりました、アンジェです、何か有りましたか?」

「うん、ちょっとお話がね・・・」

 なんだか言い辛そうだ。まさか紹君に何か有ったのだろうか?変なドキドキが胸を満たしていく。

「はい、こちらの携帯からお電話かけなおしますか?」

「そうだね、お願いしてもいい?」

「はい、では少しお待ち下さいね」

 そう言ってエドに電話を返して、掛けなおす。

「お待たせしました、それでどういったお話でしょうか?」

「んっとね」

 そう言って先日すれ違った事務所の方の説明から入る生見さん、どうやら先日のエレベーターの方は私がショッピングモールで出会った押しの強い人だったらしい、ああ、なんという偶然。

 そして改めて話を聞いて欲しいと言うお願いだった。

 仕方無い、紹君の顔を立てて、話だけだと約束してもらい、会う事を了承する、一応エドには事前に話していて、私次第との返事をもらったとの事だったので、後でエドに話しておくと言うと、有難いと生見さんに言われた、明日の昼前に迎えに行くので待っていて欲しいと言われ連絡を終わる。

「エド、明日ちょっと生見さんの知り合いの方とお話してくるわね」

「ああ、聞いている、アンジェがかまわないのなら行ってきなさい」

 そう言ってくれた、何時も信頼してくれて有難うエド、気持ちを込めてキスをする、ちょっとびっくりしたエドが笑った。



                 紹サイド


「おかえり~生見、待ってたよ~」

 生見さんが戻って来た。

「斎賀さんお待たせしました。」

「とりあえずさ、さっき先生にも確認したんだけど、紹の手術が明後日の午前中に決まったよ、後は紹の様子を見ながら、スケジュールをどうするか決めようかね」

「そうなんですね?最初の予想より早いですね」

 生見さんと斎賀さんが話している。

「早いのは良い事だよ、事務所も助かるしね」

 斎賀さんがそう言う、僕達は、アンジェのおかげと解っているので余計な事は言わない。

「それでさぁ生見、さっきの女の子の滞在先と連絡先知ってるよねぇ?」

「え?はぁいきなり何ですか?知っていますが、どうしてですか?何か有りましたか?」

 そう言って生見さんは僕を見る、すいません、本当にごめんと心の中で叫びながら視線を向ける

「それがさ、彼女先日ショッピングモールで見かけた、超、超美人の女の子らしいんだよね、それでさ、紹介してくんない?」

 そう聞いた途端、生見さんは頭を抱え込んでしまった。

「斎賀さん、そう簡単に紹介してくんないっ?てね、彼女は大事なスポンサーの方の知り合いで、軽々しく扱って良い方じゃ・・・・」

「でも、紹のすっごいファンなんだよね?」

「はあ、それはもぉ、すごいファンですよ」

「なら、紹と親しくなれるチャンスは逃さなよね?」

「はあ・・・解りました、ご両親と来日されているので、まずご両親に連絡を入れてからの話です、明日には連絡してその返事をしますので、連絡取れるようにしおいて下さいね」

 生見さんが折れた・・・・・事務所の誰も斎賀さんには勝てないんだよな。

 明日アンジェちゃんには謝っておこうと頭の中にメモをする。ご機嫌で斎賀さんが帰って行った。

「紹、これまずく無いかなぁ?、とりあえずエドさんに確認するけれど、エドさんが断わってくれると有難いんだが」

「そうだよね、まずいよね、彼女に会えなくなると、まずいよね・・・斎賀さんのおばか・・・」

「おいおい、おばかって・・・・完全に恋愛脳になってるなこりゃ、どうするかなぁ、アンジェちゃんも相変わらずだし・・・まいったな、これは逆に良い機会にならないかな?、事務所公認とか狙ってみるかな・・・」

 独り言のように呟きながらうろうろする生見さん、そんなに上手く事が運ぶのだろうか?物語じゃあるまいし。ため息しか出ないのだった。




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