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アンジェサイド
日々が過ぎてゆく、時々紹君からメールが届く、私も時々メールを送る
お互いの近況や、たわいもない話だ、それでも繋がっていると思うと、以前とは違い心が暖かくなる。
オウルさんには、本当に感謝している、エドにも彼らがいなければ、こうやって縁を繋ぐ事ができなかった。
本当に不思議だ、あの紹君と友達なのだ、世界に向けて大声で叫びたくなる。嬉しい、幸せ。
そうして日々は過ぎていく。
ハリーから連絡が入った、前回の動画から半年が過ぎた頃だった、再生回数はこれまたすごい事になっている
「アンジェ、ジムから次は何時だと矢の最速だ」
うえ・・・・まだ半年なのに・・・
「企画を進めて下さい、卒業まではできたら1年に1回くらいにして欲しいむね、ジムに了承をもらってください」
「解った、その予定で話を進めるよ」
そう言うと携帯は切れた。
こうなると思ったんだよね、ああ・・・どんどん身バレが近づいている気がする。
後5年なんとか頑張ってくれ、ハリー頼りにしてるよ~せめて大学に入ってからに・・・・・ そう願うのだった。
次の動画が発表された、私はk-10になっていた。15歳である
皆が待ち構えていたように、再生回数が上がていく、有難い事である、皆さん本当に有難う!
事務所は相変わらず、忙しすぎて対応が遅れがち、幾ら問い合わせてくれても、一貫してメディアには現れないのに、ご苦労様です。
ジムとエンジェルプライムの人以外は録音するスタジオを知らない、録画するスタジオは極秘であるしジム側のスタッフにも顔をて見せていないので、外にもれる事が無い。
スタジオはジムの個人所有のスタジオで幾つか有る所を毎回変えている、さすがに全てのスタジオに誰かをずっと貼り付けておくことはできないだろうから、バレる事は無いはず。
事故はいつでもい起きる可能性が有るので用心は怠らない。
エンジェルプライムに直接行く事は無い、ハリーを追いかけても家に来る事はまず無い、リオの方にアプローチが何度か有ったらしいが、あの動画以降に事務所を移籍したので問題は無い、もちろんリオもミスするような事はやらない、だいたいクレインの家に女の子がいる事は、一部の人にしか知られていない。
紹君とは相変わらず時々メールをやり取りしている、後は動画を見ている。
紹君は相変わらずの人気で、頑張っている、よくネットで記事を見かける、全く年をとらないように見える、30過ぎたのに・・・
会う事はできない、私も来年はジュニアだ、そろそろ日本に旅行に行く事を考えたい、でも日本では紹君に合う事は難しいんだろうな・・・日本では人気だからね。
それでもコンサートくらいは行きたいよね。
エドに相談するかな、その前に、もう1回動画の撮影が入るのか・・・
スッキプする事は余り考えていないけど、ハイスクールに入ってから考えようかなと思う、そうすれば大学課程を受けられるのだ。
最悪身バレしても高校課程を終わっていれば、大学は何時でも行けるのだから。
後は何時、紹君に美和の事を話すかだけど、どうすれば良いのか全く判らない、何時まで続けるかも決めていないし、こちらも今後の課題だ。
分身が欲しい今日この頃である。
紹サイド
美和の新しい動画が配信された、今回は1年程の時間しか開かなかった。
彼女も大人になったのだろうか?
これからの彼女の芸能活動がどうなるのか気になる所だ。
僕はほ、彼女に恋している状態に近いのでは無いかと思う、恋と言うよりは、情熱的なファンと言った方がいいのだろうか?。
おそらくは、そういうファンは多い事だろう、事務所の先輩の正則さんは、愛してると言っては、あちこちで動画を見せている、なかなかに可愛い先輩である、ちなみに彼も独身なので問題は無いんだろけれど。
正則さんの行動はファンの間でも有名な話として微笑ましく見守られているらしい。理解の有るファンが多くって羨ましい限りである。
この仕事はファン有っての仕事なのだ、人気が全てと言っても過言では無い、人気が落ちれば露出も減る、そうなればもっと人気が落ちるという負のスパイラルが待っている、一瞬でも気が抜けない怖い仕事だ。
後輩がどんどん出てくる、人気はどんどん若い子達に移っていく、自分も先輩を追い越して来た、こればっかりは全ての人が通る道だ、何時までもトップを走れるわけでは無い、自分なりの落とし処が必要だ。
僕は自嘲気味に苦笑する、さすがに最近疲れて来たのかな?30を超えたからなぁ、10代や20代の若い頃のような情熱は維持できない、そろそろ本格的に将来の事を考えないといけない時期に来ているのだろ。
そんな時ふと彼女の事を思い出すアンジェは元気にしているだろうか?
彼女とのメールのやり取りは、美和の歌と同じく僕の大切な癒しになっている、本当に不思議だ、未だにいったい何処に引かれているのかが全く思い当たらない。
元気な子供の成長を見る親のような気持ちなんだろうか?さすがにあの年の子供はちょっとあり得ないよなぁ・・・・
僕は、アンジェの事に想いを馳せるのだった。
アンジェサイド
5本目の動画が配信された、順調に再生回数が延びている。
私はジュニアになっていた。
ジムとうちのスタッフ達の仕事は完璧である、私は本当に周りの人に恵まれている、有難い事だ。
そんな事をつらつら考えていた時にハリーから連絡が入る。
この時期にハリーから連絡が入るって珍しいなと思いつつ携帯に出る
「ハイ、ハリーどうしたの?」
「やぁ、アンジェ実はちょっと問題が起こってね」
「問題?」
「そうなんだ、動画の件なんだが、ついに偽物が登場してね」
「は?偽物?私の?」
そういえば、以前そういう話はしたな・・・・
「そうなんだよ、歌えばすぐにバレるから、ほとんどあり得無いとは思ってたんだが、顔出しをして話をしている動画をネットに上げたバカがいてね、事務所に問い合わせが殺到してる、偽物だとはっきり否定しているんだけれどね、シークレットな人間がついに現れたとあって、すごい話題になっている、相手側を今調べてるんだが、今度の犯人はどうもネットのプロかそれに近い人間が仲間にいるらしくって、なかなか特定できないんだ、困っている、エドにも相談するが、ちょっと今後がどうなるか解らない。ある程度の覚悟はしておいてくれるかい?悪いね」
もうし分け無いと言った雰囲気で謝るハリー
「うん、了解です」
ハァ・・・どうしてもこういう人達は一定数いる、どうせバレる事は見据えての詐欺行為だろう、とにかく1度動画を確認しておかなくては。
私はタブレットを起動して件の動画を見る事にした。
「あなたが美和さんですか?」
レポーターだろうか、男の声が尋ねている
「困ります、その質問にはお答えできません」
その受け答えだと、自分だと認めてる事になるじゃないか~!
そう言った女の声は確かに似ている、細身でそこそこの美人だ、20代前半だろう。でも髪の色も違うし目の色も違う、てか堂々と画面に映ってる時点で、かなり怪しいだろうと思うのだが、こんなのに皆騙されるんだなぁ。
「どうして、秘密にされているんですか?有名になりたくないの?」
「その質問にもお答えできません」
彼女はレポーターと思われる男の質問にお答えできませんと返事を返しているが、否定はしていない、顔がばっちり映っている時点で完全に肯定しているのだ。
動画は彼女がある建物に入っていった所で終わっている、このレポータ紛いも仲間であるのは間違い無いな。
ハア・・・ため息しか出ない動画の再生回数はみるみる増えていく、もぉ自滅するまでほっておけばいいんじゃないだろうか?
事務所の信用問題にさえならなければ、ほって置きたい!!!
数日して、動画はあっけ無く削除されていた、すごい犯人が特定されたのだろうか?ハリーやっぱり仕事が早いね!そう思っていると、携帯が鳴る、ハリーからだ
「ハイ、ハリーやっぱり仕事が早いね!」
「やあアンジェ、動画の件なら、事務所の仕事じゃないんだよ」
ハリーが苦笑している
「え?どういう事?」
「実は美和のファンの仕事らしいんだ」
「は?」
「う~ん、実はね、数日前に事務所にメールが届いてね、美和のファンと名乗る人からなんだが、メールの内容を見て、またいたずらかなと思っていたんだ。
内容というのが『自分は美和のファンである、この動画は、あきらかに偽物と解る人物のでっち上げである。美和のファンとしては許せない、なので動画を削除する、今後も美和の作品を楽しみに待っている』そういう内容だったんだよ、さすがに信じ難いし、どうする事もできなくって放置してたんだが、メールが届いて翌日には、動画が削除されていた」
「えええええ~」
「びっくりするだろ?こっちでも発信源が特定できなくって困っていたんだ
が、かなり凄腕のハッカーみたいだ」
「ふえええええ~」
とにかく私からは変な声しか出ない、世の中にはやはり凄い人が一杯いるんだなぁくらいしか思い浮かばない。
「それで、その後何か連絡は???」
「それが、一切連絡も無いし、メールの発信元もやはりと言うべきなのかな、特定はできなかった、ファンだと言っていたし、多分ほっておいても問題は無いだろう、これだけのハッカーなら情報を抜き取るのは簡単だと依頼したPCの関係者も言っていた、今までそういった事は起こって無いからその気が無いんだろうし、心配する必要が無いんじゃないかとの事だった」
意外な方向から事件は解決?を見たらしい。
「良いファンを持ったな」
ハリーは、笑っているらしい。
ちょっと複雑な気分だが、ハッカーさんには感謝だ
その後彼女の記事が時々ネットに上がって来たが、すぐに削除されて行く、ハッカーさんが仕事してくれているんだろうか?有難い事だ。
事務所からは正式に、動画に出た彼女は偽物で美和とは全く関係無い事が発表され、周知されていったのだった。
事件は終焉を迎えたのだった。
紹サイド
美和らしき人物が現れたと話題になっている、僕は動画の彼女を確認する。
「あなたが美和さんですか?」
レポーターだろうか、男の声が尋ねている
「困ります、その質問にはお答えできません」
薄いブラウンの髪でとび色の瞳のまあまあ綺麗な女が画面に映っている、確かに声が少し似ているが、どうも違和感が有る。
質問にすぐに否定の言葉が出ないのは、自分が美和だと言っているも同然だ。
「どうして、秘密にされているんですか?有名になりたくないの?」
「その質問にもお答えできません」
もぉ違和感しか無い、彼女は偽物だ、何故か僕はそう確信する。
動画はそこで途切れた、歌を歌えばすぐにバレるだろうに、何か意図があっての投稿だろうとは思う。
事務所の正則先輩からラインが入る、
「動画見た?あれって美和ちゃんかな?」
さすがに早いな、美和ファンと公言してるだけあって、疑っているらしい
先輩に返信する
「違うと思います、なんと言ったらいいのか、雰囲気が全く違う」
「紹もそう思った?そうだよねぇ~僕の愛する美和ちゃんには全く、似て無いよね!」
ガチのファンだとやはり解るのかな?
「紹も、かなりの美和ちゃんファンだね!❤」
そう言ってラインが途切れる、毎回笑わせてくれる愉快な先輩だ。
それから暫くして唐突に偽物関連の動画が全て削除された。
動画が削除された数日後、美和の所属する事務所から正式に、あの動画に映っていたのは、美和本人では無いむねの通達が全世界に向けて発信された。やはり偽物だったな。
言葉では、表しにくいが、何かが全く違っていたのだ、そう感じたのは間違いでは無かった。 そうして偽物事件は収束した。




