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アイドルに憧れて  作者: 詩鈴
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 私は固まったままソファーで微動だにせず、待っている

 隣の部屋で紹君とマネージャーが話している。

「なかなか面白い子だね」

 マネージャが言う、紹君が答えている

「うん、そうだね、話してると力が抜けていって楽なんだ」

「へ~、気に入ったのか?珍しいな」

 話す角度が変わったのか、話の内容が聞き取れなくなる。

 あああ・・・答えが聞こえない・・がっくり、でも気に入ってくれたらしい、嬉しい、紹君と縁ができた、この縁がどうか続きますように。

 紹君が隣の部屋から出てくる

「お待たせ、行こうか?」

「はい!」

 私達は出かける、もちろん護衛付きだ。

「最初から、観光したくて無理を言って時間を取ってもらってたんだ、1人で回るより、誰かと一緒の方が楽しいだろう?」

 そう言った彼は嬉しそうに微笑む、オーラが言葉が真実だと告げてくれる。

 サングラスを掛けた彼は年齢不詳に見える、そうか目元で若く見えるのだ、お肌も綺麗で、若々しい。

「はい!」

 日本では無いので顔バレする事も無い。

 安心してデートできる!デートだデート諸君とデート、落ち着かなくちゃ。

 そうして、2人で色々な所に行った。

 色々な物を見てこのあたりの美味しい物を食べた。

「食べ物は絶対日本が美味しいと思います!」

「そうだね、こっちらは、大味だね」

 ふふっと笑い合う。

 本当に楽しいデートだった、紹君も楽しそうだ!

 でも楽しい時間はすぐに過ぎてしまう、お別れの時間が近づく、さすがに日が暮れる頃には帰宅しないといけない。

 紹君がこちらを見て笑う

「ねぇアンジェお願いがあるんだ」

 名前で呼ばれるくらいには近くなった

「紹さんのお願いならかなえたいです」

「友達になってくれないかな?帰国した後も連絡が取れると嬉しい」

 友達!なんという幸運なんだろう、嬉しすぎる。

 首を縦にぶんぶんと振る

「ぷっ、アンジェは面白いね」

 失笑をもらってしまった。でもかまわない、どうかこの縁がづっと続きますように。そう祈る。

 そうして私達はメールの連絡先を交わし別れるのだった。

 迎えの車が来る、バイバイと手を振る紹君

 バイバイと手を振る私、どうかきっとまた会えますように。

 そうして夢のような1日が終わった。




                 紹サイド


 コンサートの日程を順調にこなす、最終日が終わり、打ち上げも終わった。

 今回は、休養も兼ねて数日だが観光のために日程を空けてもらっている、旅行なんて何年ぶりだろう?

 先日会った、アンジェリーナという子の事が時々頭をよぎった、どうしても彼女が気になる、何故だろう?美少女だからという訳では無い。

 この仕事をしていると、美人や美男子には目が慣れる、確かにちょっと飛び抜けて美少女であった事は認める、特にあの目の色は素晴らしく美しい。

 でもそうじゃない、彼女の雰囲気?話しやすい所?彼女の何に引かれているのか気になってしょうがない、もう1度会えないだろうか?

 マネージャーに相談してみるか。

 僕はマネージャーの生見さんの部屋のドアをノックする。

「どうしたんだい?」

部屋のドアが開く

「こんな時間にすみません」

「実は、先日会った少女の事が気になってしかた無いんです、こんな事は自分でも初めてで、もう1度会えないかなと思い始めていて、どうにかならないでしょうか?」

「紹にしては珍しいね?気になってしかたないか・・・気に入ったの?」

「う~ん、実は自分でもこれが何なのか解らないので困ってるんです」

「そうなんだ、まさか好きになったとか?」

「いやいや、一回り以上も下の子にいきなり一目惚れとかあり得ないですから」

「そうだよねぇ、君は恋愛については、かなり慎重だから」

「ええ、なのでもう1度会って確かめたいんです」

「解ったよ、オウルさんに頼めば何とかなるかもしれないから、明日にでも連絡するよ」

「お願いします」

 僕はそう言って部屋に戻る、とにかく確かめたい、そうでないと気持ちが悪い。

 翌日、さっそくマネージャーから連絡を入れてもらう、オウルさんは二つ返事で彼女の父親に連絡を入れてくれた。

 返事が気になったので連絡が来るまでは出かけない事にした、ホテルでのんびりしよう、痛めた左肩も休ませるために今日はホテルで待機だ。

 暫く待つと返事が返って来た、彼女が住んでいる場所の近くのホテルの部屋を確保してくれるそうなので、予定の前日にそちらのホテルに移る事になった、日程も少し余裕が有る、ほっとした。

 とりあえず、もう1度彼女に会えば何か解るかもしれない。

 そう期待して、明日は観光に出かけるとしよう。


 そして、当日部屋のドアがノックされる、彼女が部屋に入って来る、やはり綺麗な子だな。そう思いながら、ソファから立ち上がり話しかける。

「クレインさん来てくれて有難う」

 日本語で問題無いだろう、そう思って話し出す。

「いえ、こちらこそ呼んでくださって、有難うございます、もぉ、お会いできないと思っていたので、とっても嬉しいです」

 うん、日本人と話しているようだ

「こちらへどうぞ」

 そう言ってソファに案内する

「はい、失礼します」

 彼女がそう答えソファに腰掛ける

「本当に日本語が上手だね」

 そう言うと彼女が答えた

「かなり勉強しました。それ以前に日本語が大好きなのです、美しい響きの言葉です」

 響きが美しい?彼女の感性は少し人と違うな

「そん風に感じるんだ、普段使っているので、あまり考えた事無かったな」

「はい、音で感じています」

 音で感じる?そんな風に考えた事なかったな

「そうか」

 そう言って少し黙り込む

 気が付くと彼女がすぐ横に立っていた。

「肩を触っても良いですか?」

「え?いいけど、どうしてかな?」

 そう答える。

「少し気になって」

 そう言って彼女は痛めた左の肩の部分にそっと手を乗せる、肩がなんだか楽になった不思議だ。

「あれ?肩が楽になった、不思議だね、何故解ったの?」

「えっと、左の肩が下がっていたので・・・調子が悪いのかなと思って、私昔から触った所が楽になるって言ってもらえるのでつい」

 不思議な子だ、見ただけで調子が解るのか・・・確かに楽になった

「そうなんだ、すごいね、有難う」

 素直にお礼を言う

「どういたしまして、楽になったのなら嬉しいです」

 彼女がにっこり微笑んでだ、笑顔も実に美しい

「ところで、何故私に会いたかったのですか?」

「ああ・・・えっと、君の事が気になってね、どうしても帰国前にもう1度会いたいと思ったんだ。承諾してくれて良かったよ」

 急に聞かれたのでドギマギしながら答える、もう一つ気になってた事も聞いておこう。

「所で、かなり前から僕のファンだったって言ってくれたけど、そんな小さな頃にどうやって見つけてくれたの?」

 これがもう1つの疑問だった。

「3歳の頃、母のタブレットを触った時、偶然見つけたんです、歌を聞いて、一瞬でファンになりました。多分母がファンだったのだと思います、それですぐに動画を見つけたんだと思います」

 少しの間

「一生懸命歌を覚えました、もちろん日本語なので、意味は解りませんでしたが、自分用のタブレットをもらった後で調べました、それ以来ずっとファンです」

「そうだったんだね、余りに小さな頃からファンだったと聞いて後で疑問がどんどん出て来たんだ、それを確認したくってね。偶然の確率がすごい事になっていそうだね」

 そう伝える

「そうだったんですね」

 少し残念そうに見えるのを見て思わず僕はこう言っていた。

「とりあえず、疑問には答えがもらえた、今日はこの後の予定は?」

「予定は有りません」

「なら僕とデートしないかい?」

「は???」

 おっと好かれてると思ってたけど、デートは無理が有ったかな

「僕とは嫌かい?」

 そう尋ねると、彼女は一瞬動きを止める、そして大きく深呼吸をした。

「い・・・いいえ、余りに聞きなれない言葉が出て来たので、ちょっとびっくりして、脳が活動を停止していたようです、全然嫌じゃ有りません、むしろことらからお願いしたいくらいです!」

 生見さんが思わずといった感じで笑っている。

 僕もつい笑ってしまった、本当に見ていて飽きない子だ

「有難う、じゃあ悪いけど準備するから少しだけ待ててね」

「はい!」

 僕は着替えのために隣の部屋に移る

 部屋に入ると生見さんが話しかけてくる

「なかなか面白い子だね」

「うん、そうだね、話してると力が抜けていって楽なんだ」

「へ~、気に入ったのか?珍しいな」

 着替えを取り出すためにクローゼットに入る、未だに何に引かれているのかが解らない、とりあえずもう少し彼女に付き合ってもらおう

「そうかもね、僕も気持ち悪いのは嫌だから確認したいんだ」

 そう返事をして部屋を出る

「お待たせ、行こうか?」

 声をかけると、彼女が、がばっと立ち上がる、面白い子だ

「はい!」

 元気の良い返事が返って来る、護衛の人も一緒に行動する。こればかりは仕方無い、彼女は資産家のお嬢さんだ。2人だけでとはいかない

「最初から、観光したくて無理を言って時間を取ってもらってたんだ、1人で回るより、誰かと一緒の方が楽しいだろう?」

 そう言った。

 アメリカなら顔バレする事はあまり考え無くていい気楽だった、一応サングラスは掛けておく、お天気が良いのでサングラスの人は結構いるから目立たない。

 そうして、2人で色々な所に行った。色々な物を食べた。

「食べ物は絶対日本が美味しいと思います!」

 彼女が言う、そう言えば日本も好きだと言っていた。

「そうだね、こっちらは、大味だね」

 ふふっと笑い合う。

 本当に楽しい、彼女といる楽しい時間はすぐに過ぎてしまう、お別れの時間が近づく、さすがに日が暮れる前には家に帰さないといけない、護衛の人が迎えの車を頼んでいる。

 彼女との時間があまりにも楽しかった僕は、彼女とこれきりで別れる事を残念に思っている事に気が付く。

「ねぇアンジェちゃんお願いがあるんだ」

 名前で呼ぶくらいには、お互いの距離は近くなった。

「紹さんのお願いならかなえたいです」

「友達になってくれないかな?帰国した後も連絡が取れると嬉しい」

 彼女が首を縦にぶんぶんと振る、イエスの返事だ

「ぷっ、アンジェは面白いね」

 失笑をもらってしまった。

 そうして僕達はメールでの連絡先を交わし別れるのだった。

 迎えの車が来る、バイバイと手を振る僕

 バイバイと手を振るアンジェ、再び会える事を願って、結局僕のこの気持ちは何なのか解らなかったけれど、アンジェにはまた、会いたいと思ったのだった、日本に戻ってゆっくり考えよう。

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