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デスウルフの依頼の報告

 ミリシー村に着いた私達は村長さんの家を訪ね、依頼を無事に達成した事を報告する。

 既にジェラード様が旅立った事もあり、古代龍がいた事やそれによって変異種が生まれていたことは村長さんのみに伝え、村の人達には黙っておく方がいいと話した。

 古代龍目当てで森の奥へ入る人が出てきても危ないし、もうジェラード様が落とした鱗などは私達が本龍の許可を得た上で拾い集めたから特別な物は無い。

 ジェラード様から拾った鱗などは好きに使っていいと言われたんだけど、今の所私達には使い道無いよね。

 水色でキラキラ輝く綺麗な鱗だから飾ったり眺めるぐらいかな?

 いつかは何かに使わせて貰いたい。


「大変な依頼だったようで本当にありがとうございました」

「いえいえ、皆さんが無事で良かったです。何も無いのが一番ですが、何かあればまた冒険者ギルドで依頼を出してくださいね」

「分かりました。お疲れ様でこざいました」


 村長さんは依頼料の上乗せが出来ない代わりにと、ミリシー村で作られているカインドカウの牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を沢山分けてくれた。


「こんなに沢山頂いて大丈夫ですか?」


 カインドカウに被害も出ている訳だし、売り物は大切だろうと私達が心配すると。


「大丈夫ですよ。これは本来、数日前にミルキュアで売るはずだった物なのです。

 しかし、デスウルフのせいで村を出る事が出来ず、残ってしまっていたのです。

 鮮度はいい物なのですが既に今日売りに行く物があるので、遠慮なさらず貰ってください」

「ありがとうございます。美味しく頂きますね」


 私がマジックバッグに入れるふりをしながら、マジックドロワーの中に入れているとレルスさんとサージュさんが目を丸くしながらこちらを見ていた。

 あっ、そっか。

 魔力の動きに敏感な人なら気づくかもしれないってバルツさんに教えて貰ってたのに。

 すっかり、忘れてたな。

 というか、レルスさん達だから安心していたとも言う。

 これは依頼の報告が終わった後に聞かれるかな?

 ネフライト王国にまで逃げた経緯は話していたけど、簡単にしか説明してないから時空間魔法の事は省いちゃってたんだよね。

 まぁ、今レルスさん達に話すのは支障ないから話しても良いんだけど。

 もう私達はあの家を出てセレスタイト王国から離れてるし、人柄も知ってるからね。



 次はミルキュアの冒険者ギルドへ向かう。

 冒険者ギルドに入り、受付でレルスさんがギルドマスターへの報告があると伝えるとすぐ部屋に通された。


「無事済んだようで何よりですな。で、報告ということは変異種や上位種がいた理由があったということですか?」

「ええ、結論から言えば傷ついた古代龍様が森の奥の湖に滞在していた為、その魔力に当てられたデスウルフ達が異常発生したり進化したようです。変異種に関しては上位種に変化した個体が古代龍様の身体の一部を取り込んだ事が原因ですね」

「それはまた……」


 サージュさんの報告を聞いて絶句するギルドマスター。

 それだけ古代龍という存在がすごいものだということなんだよね。

 そんなすごい存在から加護を貰っちゃったんだけど……。


「こ、古代龍様はどうなったのですかな?」

「無事、傷が癒えたようでお帰りになられました」

「そ、そうですか」


 古代龍様が帰ったと聞いて一安心したようだけど、まだ動揺は治まってなさそう。

 私達が話し合っているとそこへそっとリリーが近づいて、マジックバッグからジェラード様の鱗の欠片を取り出して中心にあるテーブルの上に置いた。

 全員の視線がそこに集まる。

 あちゃーという表情のレルスさん、苦笑しているサージュさんとトレランツさん、爆笑しているエルンストさんとアビルさん。

 そして、あんぐりと口を開けているミルキュアのギルドマスター。

 アーテルと姿を消しているネーロは少し吹き出して笑い、ルーセントはあらあらみたいな顔して、トラストは首を傾げていた。

  うん、流石にこの中で一番見た目が幼いリリーが古代龍の鱗の欠片を出してくるとは思わないよねー。

 思った以上にジェラード様の鱗や皮があの辺に落ちていて、それをアーテルやリリーが欲しがったから

「自分で拾った物は自分のマジックバッグに入れていいよ」

って言ってたんだ。

 それをまさか今出して来るとは思わず。

 そりゃ、すごく貴重な古代龍の素材を子どもが出したら誰でもこの反応になるよね。



「リリー、なんでその鱗の欠片を出したの?」

「きれいだからみせてあげたかったのー。あとね、あのおじさんもみたいかな? っておもったから」

「そっかー。でも、今はしまっておこうねー」

「あい!」


 善意の塊だったね。

 うん、分かってたけど。

 うちのリリーはすごくいい子だからね!


「な、なぜ、この子のカバンから古代龍様の鱗の欠片が出てくるのですかな?」

「え、えーっと本人が欲しがったので自分で拾った物は持ってていいよと言ったからですね」

「こんな幼い子にこのような貴重な素材をあげたのですか……」


 すごくドン引きされてますね。

 うちはそういう方針の家族パーティーなのでって言っちゃだめかな?

 今言うのは流石にだめか。

 よし、ここはギルドにジェラード様の鱗をいくつか渡して有耶無耶にしてしまおう。

 私はマジックドロワーから状態のいい鱗とその欠片を出して机の上に置く。


「先程も言ったようにこの子に欠片を渡せるぐらいには、古代龍様の鱗を拾えたのでいくつかお売りすることも出来るのですが、どうしますか?」

「ほ、本当によろしいのですか? とても貴重な素材ですよ」

「はい。今の所、私達に使い道はありませんしギルドの方で有効活用していただければ」


 そう言うととても感謝された。

 すぐに鑑定士と会計の人が呼ばれて、思った以上のお金を渡される。

 ずっしりとした報酬の袋の中には金貨ばかりが入っていた。

 これは、今度ジェラード様にお会いした時に何かしらをお礼をしないとだめだな。

 信仰対象でもある古代龍だが欲に塗れた人間達はいつの時代も、かの存在達を狙ってきた。

 そう簡単に倒されるような存在では無いから、ほとんどの人間は返り討ちにされたらしいけど何体かの古代龍は倒されたという記録が残っている。

 これだけの価値があれば目が眩むのも分かるけれど、暴走していたり被害が出ているならまだしも、話し合える存在相手にそんな目で見たくないと私は思う。

 既に加護も頂いている身だからこそ絶対にお礼をしようと思ったんだ。

 もたらされたら幸運を当たり前と思わぬように、堕落し欲に溺れぬように。

拙作を読んで下さって本当にありがとうございます。

スランプ気味ですが、続けていくつもりなのでどうぞよろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初からずっと面白くてこのお話大好きです!ずっと以前からブクマに入れてたのですが、久しぶりに再読しました。 テンポの良い転生チートものは何よりストレスフリーだ読んでて楽しいです。周囲がいい…
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