レルスさん達と再会
私とリリーが周りを調べながら待っているとマップにアーテル達の名前が表示された。
そして、その周りにはよく知る人達の名前が表示されていた。
「えっ」
「おねえちゃん、どーしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
そこに表示されていたのはレルスさん達の名前。
という事はミルキュアの冒険者ギルドが呼んだ高ランクパーティーがレルスさん達だったって事だよね……。
あちゃー、その可能性は考えてなかった。
レルスさん達はセレスタイト王国で活動していると思ってたし、ネフライト王国に来たとしてもセレスタイト王国に面した領だろうと考えていた。
まさか、セレスタイト王国側より少し奥のハイアーダール領のミルキュアにいるとは思わないよね。
「アーテルが戻ってきてるから少し待ってようか?」
「あい!」
少し経つとアーテルを含むレルスさん達のパーティーが、私達の元へやって来た。
レルスさんに抱きしめられる。
「マグノリアちゃんも無事で本当に……本当に良かった」
「ご心配をおかけしてすみません」
「生きていてくれればそれでいいよ」
サージュさん、トレランツさん、エルンストさん、アビルさんからも同じような気遣いの言葉を貰う。
あの時、全て一人で決めてしまったけれどこんなにも心配してくれる人達がいたのだから、相談をするという選択肢も考えるべきだったなと少し反省する。
もちろん、この決断を後悔はしてないし今のところ家に戻るつもりは無いけどね。
「何があったのか話して頂けますか?」
サージュさんにそう聞かれたので誘拐されるまでの経緯とその時の事、後は第二夫人ハイアシンス様とその生家であるカルミア侯爵家の事を話した。
あの時、誘拐されずに第二夫人のハイアシンス様と闇ギルドの男の会話を録音した証拠を出したとしても揉み消される可能性が高い。
そして、私達が勘づいた事を知れば次はどんな手を使って来るか予想が出来なかった。
だから私はそのままアーテルと一緒に誘拐されて、あの家を出るという道を選んだんだ。
「そういう事だったのですね。マグノリアさんの判断は正しいと思います。カルミア侯爵家の悪い噂は沢山ありますし、それでも罰せられていない。そんな家が悪事に勘づかれた事を知ったら、相手に対してどんな手段を使うかなんて悪い予想しか出来ませんから」
「いくらお嬢が強くても、不意を突かれたらどんな事になるかわかんねぇからなぁ」
「そういう奴らには毒という手段もあるっス。危うい場所から逃げるのは正解っスね」
サージュさん、エルンストさん、アビルさんは口々にそう言った。
肯定して貰えてホッとした。
「今はどんな風に過ごしてるんだ?」
トレランツさんにそう聞かれたので、誘拐されてから今までを話す。
「そうか。ヴァルメリオ辺境伯が後ろ盾になっているなら安心だな。Sランク冒険者としても名が知れているし、良き領主としても有名だ」
「本当にね。マグノリアちゃん達を探したあの時も快く協力してくださったから」
「良き方と巡り会えていて良かったですね」
「はい!」
そして、大切な仲間達を紹介する事にした。
「最初に仲間になってくれたスイートクイーンアントのリリー、闇ギルド事件の時に仲間になってくれた精霊のネーロ、ダンジョンで見つけた魔物の卵から生まれたホーリーバジリスクのルーセントとシャドウレイヴンのトラストです」
「リリーです! よろしくおねがいします!」
「ネーロよ。よろしく」
「ルーセントと申します。よろしくお願い致します」
「カァ!」
レルスさん達も順番に自己紹介と挨拶をした。
それにしてもと言いながら、レルスさんがまじまじと私達を見る。
「どうしたんですか?」
「流石、マグノリアちゃんだなぁって思ってた」
ど、どういう意味だろう?
良い意味なのか悪い意味なのか分からない。
レルスさんの表情は苦笑いというか、何とも言い難い笑みを浮かべてるんだよね。
「えっと、それは?」
「相変わらず規格外って思ってさ」
「そうですね。子どもとはいえスイートクイーンアントに、闇属性の上位精霊、聞いた事の無いバジリスク系の新種、シャドウレイヴンはBランクのはずですが、この子はAランクの魔物並の魔力を持っていますし」
サージュさんに一つ一つ理由を付け加えられてると、客観的見るとそう思われるんだと分かって納得した。
規格外かぁ。相変わらずって事は前から規格外って思われてたって事だよね。
まぁ、魔力量とか持っている属性やスキルの数や種類を考えるとそう思われていても仕方ない要因ばかりだった。
バルツさんにもそう言えば規格外って何度も言われたような気が……。
もしかして色んな人にそう思われてるの?
悪い事じゃないんだろうけどなんだかなぁ。
なんてやり取りをしていると私達に近づく魔物の表示がマップに出ている事に気づく。
同時ぐらいにレルスさん達も気づいたらしく、武器を確認して身構え始めた。
私達の方へ来たのは、十体ぐらいのデスウルフの群れだった。
「これが今回の依頼のデスウルフ達か」
「森からわざわざここまで出てくるってこったぁ、こいつらは下っ端で森にはもっと数がいそうだな」
「まずはこいつらを倒すぞ」
レルスさんが魔法で援護して、エルンストさんは身体強化を使って拳で、トレランツさんも同じく身体強化を使って剣であっという間にデスウルフを倒していく。
多分、三人とも一人でこの数のデスウルフなら倒せるけど、ちゃんと安全策を取って連携して倒しているようだ。
私にも仲間がいるんだし、一人で全部倒さずに連携したり協力する事をもっと意識しよう。
今までもアーテル達と連携してたけどそれ以上に連携が上手くなれば戦い方の幅も広がるし、強い魔法やスキルも大切だけどそれだけに頼ってちゃせっかく信頼出来る仲間がいるのに勿体ないよね。
「さて、倒し終わったみたいですし、これからどうするか考えましょうか」
「はい」
更新が大変遅れてしまい申し訳ありません。
少々、作者がスランプ気味でして今後も自分なりのペースでの更新になると思います。
拙作を読んでくださって本当にありがとうございます。




