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サプライズは突然に

「姉さま! お誕生日おめでとう!」

「リア、誕生日おめでとう」


 アーテルとバルツさんを皮切りに、そこにいた全員からお祝いの言葉を貰う。

 そういえば、へールフルンの三十日は私の誕生日だったな。

 新しい環境な事もあってすっかり忘れていた。


「ありがとうございます!」


 抱きついてきたアーテルとリリーの頭を撫でながら、バルツさん達にお礼を言う。

 そのまま手を引かれて別邸の食堂に向かうと、そこには美味しそうな料理が沢山並べられていた。


「このお料理どうしたの?」

「姉さまのレシピを前に貰ってたでしょ。それを見て僕とみんなで作ったんだ」

「すごいね! びっくりしちゃった。ありがとう」


 私が驚きながらお礼を言うとアーテルやリリー、ネーロとルーセントも嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 本当にうちの子達は良い子ばっかりだ!

 私が喜んでいるとバルツさんに話しかけられた。


「俺達も渡したい物があるんだがいいか?」

「えっ、皆さんまで?」

「ああ」


 バルツさんの返事の後、まずはアスティさんからプレゼントを渡される。

 渡された袋を開けるとそこには解体用のナイフが入っていた。


「リアちゃんが使ってたナイフ手入れしててまだ使えそうだけど、魔物によっては大変そうだからさ。それダンジョン産の良いナイフだから使って欲しいなって」

「ありがとうございます! とても高価な物に見えるんですが、いいんですか?」

「俺のはもうあるし、使わないままはナイフが可哀想だからね。適した人に使ってもらうのが道具や武器にとって一番でしょー」


 取り出したナイフを持ってみると今まで使っていたものより手に馴染んだ。

 刃の部分の輝きも綺麗で斬れ味が素晴らしい物なんだろうな。

 思った以上に高価なプレゼントを貰ってしまって少し驚いた。


「次は私ですね」


 そう言ったクラルテさんから渡された袋を開けると、中には鍋やフライパン等のセットが入っていた。


「リアさんのお料理はとても美味しいですし、お料理がお好きなようだったのでこちらにしました」

「ありがとうございます! このフライパンもお鍋も見た目よりすごく軽くて使いやすそうですね」

「ええ、ヴァルメリオ辺境領の領都にある生活用品に関しては一番の工房で注文した品なので満足して頂けると思います」


 それはめちゃくちゃ使うのが楽しみだ!

 するとバルツさんが私の隣に来て袋を渡した。

 それを開けると中には、美しいセルリアンブルーのドレスと小さな箱が入っていた。


「俺からはそれだ」

「ありがとうございます! でも、どうしてドレスを?」

「リア達はもうBランク冒険者だろ? Aランクに上がるつもりがなくても周りはそうは思わん。場合によってはそういう物を着て行く場所に呼ばれる事もあるからな」


 そういう事か。

 それにしてもバルツさんのセンス良いな。

 セルリアンブルーのドレスには小さな宝石が付いていて、とっても綺麗で好きなデザイン。

 ドレスと一緒に入っていた箱を開けるとその中には、美しいルビーのネックレスが入っていた。


「こ、これはさすがに高価過ぎませんか?」

「リアならこれが何か分かるだろう?」

「えっ」


 バルツさんにそう言われてもう一度ネックレスをじっくり見る。

 するとルビーが濃い魔力を纏っている事に気づいた。


「もしかして魔宝石ですか?」

「おっ、正解」

「もっと高価じゃないですか!」


 私がそう言うとバルツさんは笑いながら魔力をルビーに注いでみろと言った。

 言われた通りに魔力を注げば、ルビーから紋章が浮かび上がる。


「ここまで来ればどういうものか分かっただろ」

「はい、一応。これはヴァルメリオ辺境伯家の紋章ですよね。何かあった時にこれを見せれば、私の後ろにはバルツさんがいるということを伝えられる」

「そうだ。まっ、お守りみたいなものだな。いくらリア達が強くても貴族相手で通用する強さではない事もある。そういう時に使ってくれ」


 高価だし色んな意味で私には荷が重い品に思えたけど、バルツさんの気遣いはすごく嬉しいのでありがたく受け取った。

 バルツさん達とのやり取りが終わった後、アーテルが近くに来て耳打ちしてきた。


「あのね、僕達のプレゼントはヴァイスと一緒に渡すから夜に秘密の部屋に連れて行って欲しいんだ」

「ふふ、分かった。いいよ」

「やったー」


 驚くことにヴァイスも関わっていたらしい。

 うちの子達、可愛すぎでは?

 その後、私はアーテル達が作ってくれた料理を食べながら楽しい時間を過ごした。

 そして、深夜も近づく時間。

 アーテルとリリー、ネーロにルーセントとトラストを連れてメラン様の秘密の部屋へ転移する。

 既に部屋でヴァイスが待っていてくれたらしく、抱きついてきた。


「姉上、お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう、ヴァイス。こんな時間だけど大丈夫?」

「はい。このお部屋にあった偽装の魔道具を使って、僕が部屋にいるように見せているので大丈夫だと思います」


 ヴァイスは相変わらず賢いな。

 この部屋にあるのはメラン様お手製の魔道具だから、見抜ける人はそういないだろう。

 魔道具を上手く使いこなしていて感心した。

 二人から渡されたプレゼントはいくつかの魔宝石がハマった腕輪だ。


「みんなで作ったの。ルーセントが付与魔法スキルを持ってたから、ぼくたちが込めた魔法を腕輪に付与して貰ったんだ」


 詳しく聞くとアーテルは私と一緒に魔道具を何度か作った事があって、その時に魔道具製作スキルと細工スキルなどを身に付けていたようだ。

 そして、この秘密の部屋にあった素材やダンジョンで集めた素材などを使って作ったらしい。

 思った以上にアーテルが色々と出来るようになっていて驚いた。

 アーテルとネーロで隠蔽や偽装の闇魔法やいくつかの攻撃魔法を、ヴァイスとルーセントが治癒などの光魔法を、ヴァイスは結界魔法を使えるようになっていたらしく、それも付与してくれていた。

 リリーは地属性の魔法で強固な壁が展開される魔法を付与してくれている。

 その上、他にもいくつかの魔法が付与されている、という至れり尽くせりの品。

 しかも、腕輪自体に隠蔽魔法がかかっていて美しい腕輪を見せたい場合は、その効果を切ることも出来るようになっていた。

 いや、やり過ぎなのよ!

 嬉しいけど! すごく嬉しいんだけど!

 国によっては国宝級の品に近いのよ。

 多機能すぎて!

 私もそういう魔道具作るから人のこと言えないけど!


「頑張って作ってくれたんだね。ありがとう。すごく嬉しいよ!」


 そう伝えれば全員が嬉しそうな笑顔を浮かべた。

 後でネーロに。


「ちょっとやり過ぎちゃったかしら」


 と言われたのでそこは深く頷いておいたけどね。

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