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研究室の見学 その二

 次に向かったのは魔物研究室。

 ここでは、野生の魔物の生態や学院では習わない従魔関連の詳しい授業を受ける事が出来るそうだ。

 学院長のリリス様が言っていた従魔との連携を学ぶ授業を担当しているのも、この魔物研究室のエニル・サランジェ教授。

 研究室の中に入ると座っている研究生の横に従魔が控えていた。

 その為、研究室は広くて研究生と研究生の座る間隔も広めに取られている。

 従魔は狼系と鳥系が多く、次にリスなどの小動物系が多くいるように見えた。


「魔物と動物の違いはなんだと思う?」


 教授の質問に研究生が考え込む。

 魔物と動物の違いか……。

 この世界には魔物もいるし、地球にいたような普通の動物もいる。

 魔力の有無か? と思ったけどこの世界では生きとし生けるもの全てに魔力があるから違うな。

 じゃあ、魔力の量?

 私がそう考えた瞬間に研究生の一人が手を挙げた。


「保有する魔力の量でしょうか?」

「正解。だけど、他にもある」


 他にもあるのか。

 じゃあ、身体の中に魔晶核の有無かな?

 私がそう考えた瞬間に、さっきとは違う研究生が手を挙げ答える。


「魔物には魔晶核が必ずありますが、動物にはありません。植物系の魔物にもあるので、これが魔物たる所以だと思います」

「うん、正解。魔物と動物を明確に区別する部分は魔晶核の有無、そして普通の動物では持てない量の魔力だよ」


 見学しているだけなのにとても勉強になる。

 ソッレルティア魔法学院では、魔物の事は軽くしか習わない。

 特級院に行けば深く教えて貰えたんだけど、その前に誘拐されたしセレスタイト王国に戻るのは危なそうだったから、行けなくなったんだよね。

 バルツ様のおかげでアンビティオ魔法学院に私もアーテルも通えるようになったから、めちゃくちゃありがたいとしみじみ思う。


「ちなみに聖獣や神獣、龍の分類は魔物だが、この者達は特殊なので分けて考えるのが今の魔物研究では一般的だね。

 また、普通の動物が魔物に変化した時はちゃんと体内に魔晶核が作られるんだ。そしてその部分の魔力が濃くなるから、倒す時はそこを狙うと倒しやすい事が多いよ」


 そうなんだ。

 知らない事ばかりで面白いな!

 普通の動物が魔物に変化するのは知っていたけど、作られた魔晶核の部分の魔力が濃くなるのは知らなかった。

 普通の動物が変化した魔物を倒す時に役に立つ知識だね。


「また、魔物が人化スキルを得て魔族に近くなり、最終的に魔族になる事がある。

 その場合、魔物の中にあった魔晶核は魔族特有の魔力器官に変化し、その変化のあった者のみ正式な魔族と認められている」


 という事は人化できるリリーやその母親の女王様、ホーリーバジリスクのルーセントも魔晶核が消えて魔力器官に変わったら、もう魔族なんだね。

 その場合、従魔契約はどうなるんだろう?


「そして、まず滅多にないが人化できる従魔がそうなった場合、従魔契約はそのまま残る。

 魔物から魔族に変化していても魔物の時に契約した従魔契約は消えない。しかし、その場合は特殊な状況となるので、今まで以上に従魔を大切にするべきだと言っておこう」


 契約はそのままなのか。

 滅多にないって先生は言っていたけど、私は二人と契約してるし気をつけないとね。

 まぁ、私は従魔扱いというより家族だと思ってるからそこまで変わらない気がするけど。


「次に従魔術スキルについて。従魔術スキルが無くても契約魔法などで従魔にする事は可能だよ。だけど、従魔術スキルを持っていれば契約した従魔を自身の家などから呼び出す事が出来るんだ。召喚術に似た魔法ではあるけれど、それより魔力の消費が少ないし魔法が主体の戦闘をする人にとっては切り札の一つになるね」


 従魔術スキルがあればそんな事が出来るんだ。

 私はまだ持ってないから欲しいな。

 時空間魔法を使えば似たような事は出来ると思うけど、従魔術スキルより手間がかかると思う。

 これは本格的に従魔術スキルを取得する努力をしてみようか。

 多分、色々と試せば取得出来るはず。


「どこにでも連れ歩ける従魔ばかりではないし、そういう意味でも従魔術スキルは便利だよ」


 そりゃそうだ。

 リリーのスイートクイーンアントとしての姿やルーセントのホーリーバジリスクとしての姿だと連れ歩くのは難しい。

 リリーとルーセントは人化出来るからいいけど、人化出来る従魔の方が珍しいんだから、呼び出せるのは助かるよね。


「さて、新入生に向けたおさらいも終わったところで自分の研究がある子はそっちを進めてていいよ。

 新入生や編入生は僕に聞きたい事を聞くもよし、自分で調べたり今後の研究の題材を探すもよし。

 それじゃあ、始め」


 サランジェ先生の掛け声で研究生はそれぞれ動き始めた。

 やっぱり魔物研究室も楽しそうだし、今後の役に立ちそうだから入りたいな。

 私は案内の先生と共に魔物研究室を後にしつつそう思った。

 そこからいくつかの研究室を見学して、最終的に所属したい研究室を決める。

 研究室は複数選べるし、ほとんどの研究生が二つ以上選んでいるみたいなので私も三つ選ぶ事にした。

 今後、気になる研究室があれば後から所属する事も可能らしいので今は三つだけにしておく。


「所属したい研究室は決まりましたか?」

「はい。魔道具研究室と魔法薬研究室、魔物研究室の三つに決めました」

「最初に気になっていると言っていた研究室ですね。では、こちらの書類に記入してください」


 案内の先生が渡してくれた紙に名前や所属したい研究室を記入していく。

 記入し終わった紙を先生に返せば、私の今日の予定は終わりだ。


「今日は色々とお世話になりました」

「いえいえ、よい研究生生活が送れるよう応援しています」

「ありがとうございます」


 先生と別れてこれからどうするか考える。

 帰るならアーテルと一緒に帰りたいし、学院に所属するんだから少し学院の中を見て回ってもいいかな?

 よし、アーテルの授業が終わるまで学院内を見学して過ごそう。

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