表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/92

テスト結果と公爵領の領都到着

 翌朝。

 私がこの別館の充実したキッチンで作った朝食をみんなで食べてから、昨日腕試しのテストを受けた部屋に向かう。

 これは余談なんだけど、ネーロは普通に人族と同じ食事が出来る。

 ネーロ曰く、ほとんどの精霊は食事を取らなくても周囲の魔力などで生きていけるけど、食べる事も出来るし食べた物は魔力に変換されるらしい。

 アーテルの場合、人間の性質も持っているから食べる事が必須なのでは? との事。

 最後にネーロは、


「今後、精霊としての性質が主になったりしたら食べる必要が無くなるのかもしれないけど、さすがにそれは私にも分からないわ」


 と締めくくった。

 話を戻して、その部屋に入ると中にクラルテさんとアスティさん、そしてバルツさんがいた。


「おはようございます」

「おう、おはよう」


 それぞれが朝の挨拶をして用意されている椅子に座る。


「さて、テストの結果ですがお二人共満点。リアさんには、いくつかアンビティオ魔法学院で習う専門的な問題も出していたのですがそちらも満点でした」


 おおー。良かった!

 自信はあったけど隠遁生活が始まってからは勉強から離れてたし、少しだけ心配だったんだよね。

 アーテルも勉強を家で頑張ってたから出来ると思ってたけど、予想通りで安心した。


「この様子であれば、アールさんはもちろんアンビティオ魔法学院に編入できますし、リアさんが研究院に編入する事も可能だと思いますよ」

「えっ? 研究院に?」

「ここからは俺が話す。弟が大好きなリアの事だからアールの事が心配だろうと思ってな。だが、リアの様子を見ている限り、アンビティオ魔法学院に普通に編入する意味は無さそうだと考えた。それなら、研究院に編入というより所属してみるのはどうだという提案なんだがどうする?」


 バルツさんの話に混乱しつつも考える。

 まぁ、アーテルの事は心配だけどまさか私まで学院に通うなんて考えてなかったから。

 研究院は自分の得意だったり、興味のある研究室を選んで所属できるところだよね。

 興味はあるけど……どうすればいいんだろう?


「そんなに難しく考えなくていいぞ。アールだって取っている授業がない日は行く必要が無いが、研究院はもっと緩いからな。冒険者活動も普通に出来るだろう。

 簡単にリアがどうしたいかで考えればいい」

「えっと、私はアールの事も心配ですし、興味もあるので行きたいです!」

「よし、決まりだな! その様に書類は作っておくから後で必要な所を記入してくれ」


 バルツさんの言葉に頷きつつ頭の中を整理する。

 うん、悪い話じゃないよね。

 元々、セレスタイト王国にいた時はソッレルティア魔法学院の特級院にヘールフルンから行く予定だったし。

 魔法関係はもっと詳しくなりたい、と思っていたりもしたから。


「明後日ぐらいにヴァルメリオ公爵領の領都に向かうから、そのつもりでいてくれ」

「はい! 色々とありがとうございます」

「おう! 気にするな。そうだ、あっちでうちの親族に会うことになるんだが、リア達なら大丈夫だろう。一応、頭の隅に置いといてくれ」

「分かりました」


 ヴァルメリオ公爵家の方達に会うのか。

 うわ、緊張する。

 私も公爵家の人間だけどさ、今はただの冒険者だからね。

 アウイナイト公爵家の令嬢としている時は、貴族令嬢の仮面を被ってそれなりに頑張ってたけど今はその仮面脱ぎっぱなしなんですよ……。

 まぁ、忘れてはいないからきちんと出来ると思うけど。

 それに今は冒険者であって公爵家の令嬢じゃないから、最低限のマナーと感謝をもって接していれば悪い事にはならないと思う。



 腕試しのテストから数日後。

 現在、私達はヴァルメリオ公爵領の領都に来ています!

 この領都も辺境領の領都と同じか、それ以上に賑わっていた。

 アウイナイト公爵領の領都にも何度か行ったことがあるけれど、大きな領の領都はどこも賑わっているみたい。

 王都と変わらないって言ったら言い過ぎかもしれないけど、それぐらいに大きくて広いし人も多い。

 ヴァルメリオ公爵領は、アンビティオ魔法学院があるからその影響もあるんだろうけど。

 ちなみに、アンビティオ魔法学院はヴァルメリオ公爵家が運営している。

 こんなに大きな学校なのに公爵家とはいえ、一貴族が運営していると知って驚いたよね。

 元々、このアンビティオ魔法学院はヴァルメリオ公爵家の初代様の奥様が思い立って作った学院らしい。

 そう、その初代様の奥様こそバルツさんのご先祖であるヴァンパイアなんだ。

 バルツさんから聞いた話だと、ネフライト王国が出来る前この辺りは小国が争う紛争地帯だった。

 その争いを収めてネフライト王国を作ったのが初代の国王。

 そして、その弟が初代ヴァルメリオ公爵様でその奥様であるリリス様はエレスチャル魔王国出身なんだって。

 ちなみに、同時期にセレスタイト王国も出来ている。

 その頃から両国は協力関係を築いているので、未だに争いもなく仲が良いんだよね。

 話を戻して、リリス様は初代ヴァルメリオ公爵様が亡くなられた後、諸国を巡っていたらしいんだけど自国に足りない物は何かと考えて、魔法を深く学べる場として千年前ぐらいにアンビティオ魔法学院を作った。

 セレスタイト王国のソッレルティア魔法学院はその五百年後ぐらいに、アンビティオ魔法学院をお手本にして作ったんだよね。

 ソッレルティア魔法学院は王立だけど、創設には私達のご先祖さまのメラン様が関わっていたと最近知った。

 メラン様の秘密の部屋に置いてあった日記に書いてあったんだよね。

 読んだ時はびっくりしちゃった。

 メラン様ってすごいよね!

 秘密の部屋や魔道具とかですごくお世話になっているから、一度会ってお礼を言いたいとずっと思っている。

 そうこうしている間にヴァルメリオ公爵領にある、バルツさんの別邸に着いた。


「この別邸はほとんど使ってないから好きにしていいぞ。支援している冒険者に貸してもおかしくは無いし、何か言われることも無いだろう」

「ありがとうございます」


 バルツさんが屋敷の入り口の飾りに手を翳すと扉が開いた。


「この飾りに魔力を登録しておけば、自由に出入りできるようになる。今しておくか?」

「はい、お願いします」


 バルツさんにやり方を教えて貰いながら登録を済ませて、屋敷の中に入る。

 状態維持の魔法がかけてあったらしく、お屋敷の中はどこも綺麗だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ