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目覚めた彼は

「そういえば眠ったままのこの方はエドゥアルドさん達のパーティーメンバーではないんですか?」


 話を聞いた時から気になっていた事を聞いてみる。


「ああ。私達が奴隷にされてから知り合った子だからな。自己紹介などは本人がした方が良いと思うのだが、私達が知っている事情を話すべきだろうか?」


 それは、聞いてもいいのかな……。

 いや、気にはなるけど本人の心情に配慮するべきだよね。


「いえ、この方のお気持ちもありますから大丈夫です。ただ、皆さんは目が覚めたのにまだ目覚めていないのが心配で……」

「そうだな。エドゥアルド達は意識もハッキリしているし、リア達も手加減して倒したみたいだからそろそろ起きてもおかしくはないと思うが」

「それは、多分この子だけ隷属の首輪をされていた期間がわし達よりも長いせいだと思うんだの」


 バルツさんの疑問にドワーフのボーダルさんが答える。

 あんな自我まで抑え込むような違法な首輪を長期間されていたって事?

 意識や記憶にも影響があったりするみたいだから、そう考えるとなかなか目覚めなくても不思議じゃないね。

 本当にあの帝国は非人道的だな。

 まぁ、セレスタイト王国やネフライト王国にも闇ギルドはあるし、非人道的な事をしている人達はどこにでもいるんだろう。

 どこの国でもどんな場所でも非道な事が無い訳じゃない、ただアンバー帝国はそれが顕著なんだよね。


「あんな物を長く着けられていたなら目覚めなくてもおかしくはない。リア、一度この子に治癒魔法をかけてみてくれないか?」

「分かりました。けど、一体どの魔法を使えばいいんでしょうか?」


 怪我とかを治すヒール系や状態異常を治すキュア系は知っているけど、この場合は何を使えばいいんだろう。

 そう思って質問をしたらクラルテさんが答えてくれた。


「そうですね。この場合は『マインドキュア』でしょうか。主に魔法や魔力などの影響で意識を失ったり、精神に異常が起きたり、影響を受けた方に使う魔法です」

「『マインドキュア』ですか。今思ったんですが、その魔法を一度も使った事が無い私より、クラルテさんが使う方がいいのでは?」


 さっきは引き受けたけど精神や意識に干渉する魔法をぶっつけ本番で使っていいのかな? と不安になったんだ。


「リアの考えも分かるが、さっき彼らの首輪を外したのはリアだろう? そうすると、今この子の身体にはリアの魔力が巡っている。その場合、また別の者の魔力が身体に入ると負担がかかる可能性があってな。それ以外に方法が無いのなら仕方なくそうする事もあるが、幸いリアは高レベルの光属性と治癒魔法スキルを持っている。だから、そういう時はリアの魔法で癒すのが最善だな」

「そういう理由だったんですね。分かりました。頑張ってみます」


 理由を聞いて納得した。

 だけど、どうしてもぶっつけ本番は怖いのでマジックバッグから取り出すフリをしつつ、マジックドロワーから小さな人形の魔道具を出す。

 これは昔、サージュさん達から魔法を習っていた時に使っていた魔道具だ。

 この魔道具に向かって魔法を使えば、その魔法が正しく発動しているかどうかが分かる。


「流石、リアさんですね。先にトライドールで練習するのはいい考えです」

「やっぱり、初めて使う魔法を最初から人に向かって使うのは怖くて」

「ええ、気持ちはとても分かります。いくら治癒魔法系が失敗した時、不発になるだけと知っていても誰かの意識や精神に影響する魔法となれば不安にもなりますよね」


 クラルテさんの言葉に頷きながら魔力を練る。

 そして、しっかりと集中して眠っている彼を傷つけている魔力や魔法の影響が消えますようにと考えながら魔法を使う。


『マインドキュア』


 魔法を使った瞬間、魔道具の人形が青白く光って成功を教えてくれた。

 その後、何度も人形相手に試して自信がついたところで眠っている彼に近づく。

 そして、さっきよりももっと癒せと祈りながら詠唱する。


『マインドキュア』


 彼の身体が光り全員が見つめる中、十秒ほどたったところで瞼が少し動く。


「ん、うーん。ふぁぁ。ここは……?」

「上手くいって良かった。あの、大丈夫ですか?」

「……きみ……は?」

「貴方と戦った冒険者です。痛みや気分の悪さとかはありませんか?」

「……だ、だいじょうぶ……」


 意識が戻ったばかりだからかもしれないけど、なんだがおっとりとした人だな。

 体調が心配でぼーっとしている彼を観察する。

 水色の髪に同じく水色の瞳。髪の間からは水色の小さな角が二本見える。


「お名前をお聞きしてもいいですか?」


 彼はクラルテさんの質問に戸惑いながらも口を開く。


「……セシリオ」


 セシリオさんっていうんだ。

 姓を言わないって事は無いのか、私達を信用出来ていないのか。


「答えにくければ無理をしなくていいが、どういう経緯で奴隷にされたか教えてもらえるか?」

「……僕は……生まれた時から奴隷」

「えっ?」


 思わず声が出てしまった。

 生まれた時から奴隷ってどういう事?

 質問したバルツさんや他の人達はその意味を予想出来ているのか顔を顰めている。


「という事は出身はアンバー帝国か?」

「……そう……だよ」

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