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バルツさん達への報告

 ダンジョンの入口の建物にやって来たバルツさんは、私達の方へ一直線に駆け寄ってきた。


「リア! アール! リリー! 無事か? 怪我してないか?」


 バルツさんは焦った表情で問い掛けながら私達をまとめて抱きしめる。


「だっ、大丈夫です。私もアールもリリーも怪我一つしていません。心配させてごめんなさい」

「いや、無事なら良かった。リア達が強いのは分かっているが、人は魔物相手とは違うからな。本当に良かった」


 強く抱きしめられながら心底安心した声で言われて、申し訳ないと同時にとても嬉しかった。

 この状況でどうかと思うけどすごくドキドキしてしまう。

 こんなにも気にかけてくれているとは思っていなかったし、抱きしめられるなんて予想外すぎたから。


「バルツさん、ぼくちょっと苦しいよ」

「おっ、すまん。アールもリリーも大丈夫か?」


 二人に問い掛けながら私達を離す。

 ちょっと残念だなんて思ってないよ!


「うん! 姉さまとリリーと一緒に悪い人達をやっつけたからね! あと、ダニエルさん達も」

「だいじょうぶだよ! たのしかった!」

「ははっ。そうか! 楽しかったか」


 リリーは楽しんでいたのね。

 不謹慎かもしれないけどリリーらしい感想だ。

 バルツさんもそう思ったのだろう。結構ツボだったみたいでガッツリ笑っていた。

 それに、ダニエルさん達も子どもの魔物相手に不謹慎だなんて怒ったりはしないだろうし。

 そう思いながらダニエルさん達を見ると、さっきまでのやり取りで目を白黒させていた。

 そりゃそうか。

 こんな子供達のところに辺境伯が一目散に来たら驚くよね。


「お前達が巻き込まれたパーティーか?」

「は、はい」

「怪我は?」

「闇ギルドの連中に攻撃されて負いましたが、そこにいるリアちゃんに貰ったポーションでもう治っています」

「そうか。今回の件はしっかり俺達で調べるから安心してくれ」

「ありがとうございます」

「ただし、それにあたって協力を頼む事があると思うが大丈夫か?」

「もちろんです!」


 こういう辺境伯としての姿もかっこいいんだよね。

 さっきまで結構ツボって笑ってたのに、今はキリッとしてるんだからそのギャップはずるい。

 なんて惚けている場合じゃないや。

 私はバルツさんやトマスさんで集まって今後の事を話し合っているところに割って入った。


「すみません。一つご報告したい事があるんです」


 私の言葉で全員の視線が集まる。

 薬師ギルドで使った録音の魔道具を取り出しながら、今までの一連の流れを話してその証拠として魔道具に録音された声を再生する。


「これは……」

「思った以上に好き勝手しているようですね」


 トマスさんは絶句して、クラルテさんは冷気を漂わせながら感想を述べる。


「ポーションの類は、この大陸ほぼ共通で値段が決められているようなもんだ。その値段を新人だのなんだのって理由で変えるなんて、出来るはずないんだがな」

「リアちゃんの話だと闇ギルドとここの薬師ギルドの一部が繋がってる可能性があるって言ってたけど、この録音を聞いて納得したよ」


 バルツさんはギルドマスターの暴挙に呆れ果ててるし、アスティさんは私の意見に同意してくれた。

 やっぱり、あの中級治癒ポーションに麻痺薬が入っていたのは闇ギルドと繋がってるからだと思うんだよね。

 だってそれ以外にする必要が無いもんな。


「さて、これからどうするかだが。まずは、この違法な奴隷達を解放して経緯を聞くか」

「しかし、この違法な隷属の首輪は高レベルの契約魔法スキルと光属性が無ければ解除できないようです」

「厄介な代物だな。流石にこのオーアスじゃそこまでの人材はいないぞ」

「ええ、光属性持ち自体が少ない上に高レベルですからね」


 バルツさんとクラルテさんの会話を聞いて考える。

 私、もしかしてその条件をクリアしているような……。

 多分、バルツさん達も私が契約魔法や光属性を持っている事は知っているけど、そこまで高レベルだとは思ってないんだよね。

 ちなみに、今の私のステータスはこんな感じ。



 マグノリア・アウイナイト

 種族︰エルフ

 年齢︰13

 魔力︰8

 状態異常︰なし


 基礎属性

 火︰6 水︰7 風︰7 地︰6 

 光︰10 闇︰4 無︰6


 特殊属性

 氷︰4 雷︰4 金︰3 樹︰5


 スキル

 時空間魔法︰8 精霊魔法︰1 鑑定魔法︰7

 契約魔法︰7 治癒魔法︰10 付与魔法︰5

 結界魔法︰6 浄化魔法︰6 メニュー︰6

 隠蔽︰6 偽装魔法︰5 魔力察知︰6

 魔力操作︰7 言語理解︰5 調合︰6

 魔道具製作︰6 解体︰5 罠︰3

 料理︰7 清掃︰4 念話︰5

 弓術︰5 剣術︰2 格闘術︰3

 気配察知︰5 物理耐性︰4 精神耐性︰5


 称号

 異世界転生者

 先祖返り

 女神の趣味友

 努力家



 うん。自分で時々確認するから知ってたけどチートだよね。

 属性レベルもスキルもそれぞれレベルが上がってたりするから、どれが上がったのか全部は把握できてないかも。

 一つだけしっかり把握してるのは、属性レベルは個人の適性によって上限レベルが決まっているから本当の上限の十レベルになる事はまず無い。

 けれど、光属性は治癒魔法の無駄打ちのおかげでその十レベルになってるし、ついでに治癒魔法スキルもしかり。

 調べてないからハッキリと断言は出来ないけど、光属性と治癒魔法スキルのレベルがここまで高ければ死者蘇生に近い事ができる可能性があるんだよね。

 私は神様じゃない。

 だから、もしそんな事をできるとしても私の手が届く範囲で助けれる人のみ使う事になると思う。

 そこまでの魔法は安易に使えないし、使いたくないから。

 なので、目の前でそんな風になる人が出ないように立ち回るつもりなんだ。

 そろそろ話を戻そう。

 光属性は上限だし契約魔法スキルのレベルも高くて、余裕で必要なレベルを超えているだろうけど、フェイクを入れる為にも聞いてみよう。


「あの」

「どうしたんだ?」

「その方達の首輪を外すには最低何レベル必要なんでしょうか? 一応、光属性も契約魔法スキルも持っているので」

「そういえばリアさんはどちらのスキルもお持ちでしたね。うーん、そうですねぇ。最低でも契約魔法スキルが五以上、光属性のレベルが七か八は欲しいところです」


 それなら余裕でできそうだ。


「どちらも大丈夫そうです」

「それはすごいですね」

「明確なレベルまでは聞かないがそこまで高レベルだとは思ってなかったな」

「皆さんの前で強い光属性の魔法を使ったのは、バジリスクと戦った時ぐらいでしたもんね」

「まぁ、でもエッジ系だったしあの時の威力を考えれば当たり前か」


 バルツさんの言葉を聞いて、クラルテさんもアスティさんもバジリスク戦を思い返しているみたい。

 そして、直ぐに納得したのか深く頷いていた。


「それでは、リアさん。この方達が眠っている間に解除して頂けますか?」

「はい!」

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