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攻撃魔法と成長の一ヶ月

 さて、次の日になりました。

 昨日と同じように練習場で魔法の練習をするんだけど、今日は主にレルスさんが闇属性以外の基礎属性の攻撃魔法を教えてくれるみたい。


「じゃあ、今日こそ俺の出番だね。

 まずは簡単なボール系から始めよっか」

「ボール系ですか?」

「そう、攻撃魔法って結構属性が違うだけの似た魔法が多いんだよ。例えばさっき言った、ボール系にアロー系、バレット系やカッター系、後はニードル系とエッジ系もあるかな」

「では、一種類でも覚えれば属性を変えて使えるって事ですね」

「うん、そういう事。それじゃああの的に向かってお手本を見せるね。『ファイヤーボール』」


 レルスさんが呪文を唱えると火の球が作られた後、的に向かって行ってぶつかった。

 へぇ、こんな風になるんだ。じゃあ赤ちゃんの時に出した水の玉も扱い方によっては攻撃魔法になってたって事か。危なかった。


「それじゃあやってみようか」

「はい! えっと『ファイヤーボール』」

「おお、一発クリア。流石だねー。こうも吸収が早いと教えがいがあるよ」


 よし! 成功。でもレルスさんの方が的の中心に当たってたからそこはもっと練習だな。


「じゃあ次は、属性を変えてやってみようか。それじゃあお手本を『ウォーターボール』」


 さっきと同じ様に今度は水の球が的に向かって行ってぶつかる。


「いきます『ウォーターボール』」


 私が唱えて放った物も同じように的にぶつかった。うーん、なかなかレルスさんみたいに綺麗に中心に当てれないなぁ。やっぱり一朝一夕で出来るものじゃないか。


「じゃあ次は『ウィンドボール』」

「はい、私も『ウィンドボール』」


 私達が放った球はどちらも勢いよく的にぶつかった。今度は今までより中心寄りになったかな。

 この後は、地属性のアースボールとレルスさんに俺は持ってないけど、マグノリアちゃんなら出来るよと言われて闇属性のダークボールを試してボール系は一通り終わった。レルスさんの言う通りお手本を見なくても今まで他の属性を見せてもらっていたから支障なくダークボールは使えたよ。


「ちなみに、ファイヤーボールなら敵を燃やせたり火傷にできるし、ウォーターボールなら火属性の敵に効きやすかったり打撃を与えられる。ウィンドボールは当たれば鋭く斬りつけられるし球のスピードが他より早くて素早い敵に当てやすかったりする、アースボールは打撃の威力が強いし、質量があるから力押し出来たりするよ」

「色々と属性によって違いがあるんですね」

「そう、だから魔物相手にしろ人相手にしろ有効な魔法を見極めて使う事が大切だって事を覚えておいてね」

「はい!」


 色々と属性によっての違いの説明をしてくれた後は、最初に言っていた他の種類の魔法の練習に移った。


「よし、一通りしてみたけどどれもすぐに使えてるし、始めたばかりって考えるとすごい出来だよ。部類としては上級に入るエッジ系も大丈夫だったから、一旦攻撃魔法の練習は終わりでも良いかもね」

「そうなのですか?」

「うん、あれ浮かない顔だけどどうしたの?」

「いえ、まだまだ色々と教えて頂けると思っていたので少し悲しくて」

「大丈夫ですよ。攻撃魔法以外でマグノリアさんの教えて欲しいものがあればお教えしますから」


 私が悲しんでいるとそばで見ていてくれたサージュさんがそう言ってくれた。

 他にも教えて貰えるのは嬉しいね。何を教えて貰おう。

 ちなみに、サージュさんは様付けで私の事を呼んでいたけれど、サージュさんは先生で私は教わる生徒側だからもっと砕けた呼び方にして欲しいと伝えたらさん呼びに変えてくれた。


「参考として何を教えて頂けるかお聞きしてもいいですか?」

「そうですね、私であれば調合スキルを持っているので魔法薬や薬の作り方、スキル取得が出来るかは分かりませんが簡単な魔道具の作成をお教え出来ます。スキルが取得出来れば難しい物も作れる様になりますよ」


 魔法薬も薬も作れたら便利だよね! 後、魔道具はスキル取得出来るかどうかで変わるみたいだけど、作れたら楽しそうだな。


「うーんと、俺は攻撃魔法以外も得意な魔法があるし、後は弓が得意だから弓も教えられるよ。それと魔法と弓の合わせ技もかなぁ」

「俺は簡単な護身術や格闘術を嬢ちゃんに教えられるぞ。本格的までは無理だと思うが、少しでも使えるようになっていて損はねぇと思うぜ」

「俺は、そうだな剣術ぐらいか。あ、あとここに居る全員が出来るが魔物や動物の解体や捌き方を教えれるな」

「解体や捌き方は俺っち達みんな出来るっスけど、トレランツが一番上手いからそれを教えるならトレランツがいいッスね。

 俺っちはナイフの扱いや気配察知、後は簡単な罠の見分け方や作り方、解き方を教えられるっス」


 流石Aランク冒険者、皆それぞれ得意分野があってどれも一流で凄いんだろうな。

 こうして、ここから日替わりで魔法の練習をしつつ皆から色々な技術を学ぶ事になった。

 でもここまで思った通りに、いや、それ以上の結果になるとは。私がどうして冒険者であるレルスさん達に家庭教師になって欲しかったのか、それは魔法はもちろんだけど冒険者として必須な魔物の解体とか、その他諸々の技術を身に付けたかったから。称号のおかげでスキルの取得もし易いみたいだしね。

 数年後には誘拐事件が起きるし、その時に色々と出来ることが増えていればもちろん選択肢も増える訳で、誘拐されずにそのまま家で暮らすことが出来る可能性もある。だけど、一人で生きていく事になる可能性だってあるんだ。それなら冒険者が使う技術やスキルを身に付ける事が大切だと思ったんだよね。




 はてさて、色々な技術を学ぶ事が決まってから一ヶ月ほど経った。思った以上に一気に詰め込まれたけれど、この先祖返りのエルフの身体はスペックが高くてどれも上手くこなせている。

 そして今のステータスはこんな感じ、


 マグノリア・アウイナイト

 種族︰エルフ

 年齢︰6

 魔力︰7

 状態異常︰なし


 基礎属性

 火︰4 水︰6 風︰6 地︰5 光︰7 闇︰3 無︰5


 特殊属性

 氷︰2 雷︰2 金︰2 樹︰4


 スキル

 時空間魔法︰5 精霊魔法︰1 鑑定魔法︰5

 契約魔法︰6 治癒魔法︰4 付与魔法︰2

 メニュー︰5 隠蔽︰5 偽装魔法︰1

 魔力察知︰1 魔力操作︰6 言語理解︰5

 調合︰4 魔道具製作︰2 解体︰1

 罠︰1 料理︰5 清掃︰3

 念話︰5 弓術︰2 剣術︰1

 格闘術︰1 気配察知︰2 物理耐性︰1

 精神耐性︰3


 称号

 異世界転生者

 先祖返り

 女神の趣味友

 努力家


 になっている。

 新しいスキルが十四個も増えたし、属性レベルも幾つか上がったりしている。新しいスキルは取得したばかりなのでレベル一が多いけど、特に好きだったり得意なものは少しだけレベルを上げることが出来た。

 この中で取得出来て嬉しかったのは偽装魔法スキル。闇属性で自分の印象を薄めたり、罠を隠したりしていたらスキルを取れたんだよね。

 このスキルがあれば種族を人族に偽装したり、もっと簡単に罠を隠せたりするから超便利だ。

 それにしても、いやチート過ぎでは? この身体スペック高過ぎなのでは? 称号の効果があるとしてもここまでスキルを取得出来るとは思ってもいなかった。

 ついでに新しく称号まで増えてるし、この一ヶ月がヤバすぎる気がする。ちなみに新しい称号の説明はこんな感じ。


 努力家

 ひたむきに努力しそれが実った者に送られる称号。今後も変わらず努力をすれば高確率で努力が実るようになる。主にスキルなどのレベルに効果あり。


 とっても実用的でいい称号だよね。ありがたいや、ありがたや。私のここ最近の頑張りが認められた感じがしてすごく嬉しい。


 そして今は実技が一通り終わったので、色々な分野の座学を勉強中だ。主に先生役をしてくれるのはもちろんサージュさん。


「ご存知かもしれませんが、今日は冒険者のランクとダンジョンについてのお話をしますね」

「はい!」


 おお! ダンジョン! 流石は剣と魔法の世界だね。楽しみ。


「初めに、冒険者のランクはS~Fまであります。私達は全員、個人ランクがAでパーティーランクもAです。

 まず、Fランクは登録したてで、いくつか依頼をこなせばだいたい直ぐにEランクに上がれます。その後のランクもCランクまでは依頼をこなす事で評価され、ランクを上げることが出来ます。

 BやAランクに上がるには試験とギルドマスターの承認がないとランクアップ出来ません。そして、Sランクにいたっては多くの実績はもちろん、国内のギルドマスター達の会議で過半数の賛成がなければSランクになる事は出来ないのです」


 という事はやっぱりレルスさん達はすごいんだな!

 どういう仕組みでランクアップ出来るのかって気になってたから知る事が出来て嬉しい。


「次はダンジョンの説明に移ります。ダンジョンとは世界に点在するある種の異空間で、中にはもちろん魔物がいます。あとは宝箱などから宝石や秘薬などの宝物、武器や鎧といった装備品が入手出来たりしますね。そして、ダンジョンの中の魔物は特殊でテイムスキルや契約魔法でテイムや契約をする事は出来ず、また死体は残らず一部分のみがドロップアイテムとして出現します」


 へぇ、という事はダンジョンなら魔物の解体をしなくて済むのか。

 あっでも、その分素材は少なくなるよね。どのぐらいアイテムがドロップするのかは分からないけど、魔物まるまる分のアイテムは落ちないだろうし。


「ちなみにダンジョンで死体が残らずにドロップアイテムだけになるのは、ダンジョン自体が生きていて入ってくれるだけで餌となる人間を呼び込む為に宝や魔物を用意してる。だけど、魔物を生成するのに必要な魔力は多いからドロップアイテムだけを残して他の部分は吸収して再利用する為って説が有名だね。あー、人間がダンジョンに入ってくれるだけで餌になるってのは、ダンジョンが入って来た人間から感知されない程度のごく少量の魔力を吸い取っているんだってさ。

 ここからは少し怖い話になるけれど、ダンジョンで人が亡くなると一定時間が経ったあとダンジョンに魔力として吸収されてしまうんだ。だからその前に遺体を運び出すのが冒険者の常識なんだよ」


 サージュさんの説明の後に豆知識的な感じで、レルスさんが補足してくれたけどその内容が怖い。特に後半が少し怖いじゃなくてガッツリ怖いんですが!

 まぁ、それは頑張って忘れ去る感じで置いといて、ちょっとした疑問が思い浮かんだので質問をする事にした。


「はい、質問があります」

「はい、マグノリアさんどうなさいました?」

「えっと、どんな方法でもダンジョンの魔物を仲間にする事は出来ないのですか?」

「そうですね。ダンジョンで既に生まれ活動している魔物はどんな方法を使ったとしても仲間にする事は出来ません。しかし、ダンジョンには魔物の卵というアイテムを宝箱などから入手出来ることがあり、その生まれる前の魔物の卵をダンジョンの外に持ち出してテイムスキルや契約魔法で契約などをする事が出来れば生まれてきた魔物は仲間になります」

「へぇ! すごいですね! それでは、サージュさんも魔物の卵を入手した事があるんですか?」


 魔物の卵なら仲間に出来るんだ!

 私には契約魔法があるんだし契約出来たら楽しそうだな。


「ええ、ありますよ。ただその時は知り合いにどうしても魔物の卵を必要としている方がいらしたので、その方にお譲りしました」

「ふふ、とてもお優しいですね」

「いえ、ただ単に善意という訳ではなく、魔物の卵はどのような魔物が生まれるかはわからないので少し賭けでして、またあの頃の私達は今に比べだいぶ余裕が無かったのでお譲りする方が楽だったのですよ」


 そうなんだ。まぁ、一つの命だし簡単じゃないよね。でも、聞けば聞くほど魔物の卵に興味が出てきちゃったな。


「あの、少し怖いけれど私もダンジョンに行ってみたいです! 連れて行って頂けますか?」

「ふふ、お気持ちはすごく分かりますが、リエール様の許可が無いと無理でしょうね」

「では、どうにかしてお父様を説得しないとですね」


 よし! すぐにお願いしよう。

 だってダンジョンは異世界の醍醐味でしょ。


「マグノリアさんはとても優秀で考え方も大人びていらっしゃいます。しかし、それでもまだ六歳ですからもう少し成長してからではないと流石にお許しは出ないと思いますよ」

「やはり、まだ無理ですよね」

「ええ、難しいかと」


 そりゃ、そうか。まだ私は六歳、今年の四月この世界で言うヘールフルンでやっと七歳だもんな。

 いくら先祖返りで能力が高くても、小学校低学年ぐらいの子供を魔物が出る場所に行く事を許してくれるわけないよね。はぁー、残念。


「いつかお父様が許してくれたら、皆さんと一緒にダンジョンへ行きたいです! 連れて行って頂けますか?」

「はい、その時はもちろんお連れしますよ。

 それではダンジョンのお話に戻りましょうか」

「はい!」

「ダンジョンは最初に言ったようにある種の異空間ですから、洞窟のようなダンジョンもあれば草原や火山のようなダンジョンもあります。また、山や森、先程言った草原のような外をモチーフにしたダンジョンでは擬似太陽があったりもします。ダンジョンの入口は地下である事が多いというのに不思議ですよね」


 流石、魔法がある世界。地下に太陽って凄いな。

 聞けば聞くほど、ダンジョンへ行ってみたい気持ちが膨らむよ!


「思った以上にすごい場所ですね。そういえばダンジョンはこの国にもあるのですか?」

「ええ、ありますよ。有名なのはセレスタイト王国南部の王都にほど近いテュルキス領のもので、とても上手く領で運営しているいいダンジョンです」


 へぇ、やっぱりダンジョンは領が管理しているんだ。こんな事を考えるのもどうかと思うんだけど、ダンジョンがあるってすごくお金になるんだろうな。ドロップアイテムも宝箱から出る品もその領で売り買いされるだろうし、ダンジョン目当てに人は集まるし、儲けた商人は税を納める。だからダンジョンを上手く管理する事は領を富ます事に繋がるって訳だ。

 色々と興味深い内容の授業は楽しくてあっという間に終わってしまった。




 こうして日々は過ぎ去り、ついに四月ヘールフルンを迎える。

 あと数日で七歳となる私は入学式を明日に控えていた。

 緊張するけどきちんとしていれば大丈夫だよね。よし、頑張ろう。

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