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春祭りを振り返る

 翌朝。

 オーアスの宿で気持ち良く目覚めた私は昨日を振り返る。




 ヴァイス達が来た後も何組かのお客さんが来て、どのお客さんにもくじ引きを楽しんでもらえた。

 お昼前になったところで、バルツさんに手伝ってもらいながら店じまいをしてから春祭りを回ることにする。


「まずは大通りに行きましょうか。お昼ご飯もそこで買おうかなと考えてます」

「了解。それにしてもアール達は楽しそうだな」

「春祭りに来るのは初めてなので。いや、春祭りに限らずこういったお祭りが初めてですね」

「それならこのはしゃぎっぷりも納得だ」


 優しい眼差しでアーテルとリリーを見つめるバルツさんを見て心が暖かくなると同時に少しドキッとした。

 本当に優しくてかっこいい人だなと思う。

 少し歩けば直ぐに大通りに出た。

 周りを見ると沢山の屋台がある。

 これは買い物しがいがありそうだ。


「姉さま、すごいね!」

「しゅごい!」

「そうだね。私も一度来た事があるけどやっぱりすごいな」


 ニコニコ笑顔なアールとリリーをとても可愛いなと思いながら店を覗いていく。

 おっ、肉串だ。お値段も銅貨三枚で三十ペル、日本円で三百円なら妥当だし買おうかな。

 お店のおじさんに四本の肉串を頼んで焼きたてを貰う。


「バルツさんもどうぞ」

「ありがとな。金は後でまとめて払うわ」

「いえ、手伝ってもらったのでそこは気にしないでください。これぐらいでお手伝いしてもらった賃金になるとは思えませんが」

「そうか。それならありがたくもらっておく」


 そんな会話をした後、冷めないうちに肉串を口に運ぶ。

 お肉は鳥系かな? 結構しっかりした食感で噛めば噛むほど肉汁と旨味が出る。

 味付けは塩と胡椒みたいだけど思った以上に味に深みを感じた。

 これは、いいお塩を使ってますね!

 この味で三十ペルならお得だわ。

 バルツさんの方を見るとバルツさんも思った以上の美味しさに驚いていた。

 企業秘密みたいなものだから聞けないけど、私も今度美味しいお塩を探してみようっと心に決める。


「今の肉串とても美味しかったです」

「そうだな。なかなかここまで美味いものはないから少し驚いた」

「おいしかったね!」

「あい! おいしかった!」


 うん、うちの子可愛い!

 そこからは、いくつものお店でちょっとずつ色々な物を買ってみんなで分け合いながら食べた。

 当たり外れはあるけど、大通りに出すだけあって美味しい物の方が多かったな。

 食べ物以外にも小物や衣服、魔道具を売っている店もあって気になる物は買いつつ楽しい時間を過ごした。




 うん、昨日は楽しかったな。

 バルツさんがいてくれたおかげで視線は感じたけど、ガラの悪い人に絡まれる事は無かったし。

 やっぱり、エルフな私は目立つので子供だけでいたら絡まれる可能性もあるんだよね。

 さて、今日は何をしようかな?

 そう考えながらアーテルとリリーを起こして宿の食堂で朝食を食べる。


「お、リア。おはよう」

「バルツさん、おはようございます。皆さんもおはようございます」

「おはようございます。相変わらずリアさんは早起きですね。昨日はバルツ様と出掛けていたそうですが、大丈夫でしたか?」

「おいこら、それはどういう意味だ」


 ふふ、バルツさんとクラルテさんのやり取りに笑ってしまう。


「大丈夫でしたよ。むしろ色々と手伝ってくださったのでとても助かりました」

「それならば安心しました。バルツ様、胸に手を当てて考えれば私の言っている事に心当たりがあると思いますが?」

「そ、それは……。うん、あるな。すまん」

「いえ、納得できたのであれば良かったです」


 うん、やばい、すごく笑いそう。

 クラルテさんは真面目に言ってるんだから笑っちゃだめだよね。

 よし、治った。

 バルツさんとクラルテさんのやり取りも終わったようで、バルツさんに話をふられる。


「そういえば今日はどうするんだ?」

「考え中なんですが、そろそろ魔物の卵に魔力を注いで孵化させようかなと」

「やったー!」


 私の言葉を聞いてアーテルが喜ぶ。

 そうだよね。ずっと楽しみにしてたもんね。

 しかし、それを聞いたバルツさん達は難しい顔をしていた。


「どうしたんですか?」

「いや、喜んでいるアールには悪いが魔物の卵を孵化させるのは領都に戻ってからにしないか?」

「えっと、理由を聞いても?」

「ああ。その、リア達は色々と規格外だろ? その規格外なリア達が魔物の卵を孵化させたらそこから生まれる魔物も規格外な気がしてな」


 うーん。色々とツッコミたいところがあるけど反論できるかと言われると難しい。

 ただ、そう簡単に規格外な事は起きないと思うんだけどなぁ。


「私も同意します。リアさん達は良い意味で規格外ですが、それをここで発揮すると面倒な事になる可能性がありますから」

「そうですね。俺も領都で孵化させる方がいいような気がするなぁ。バルツ様から聞いた話だと、領都の冒険者ギルドのギルドマスターは事情をよく知ってるみたいだしね」

「そういう事なんだがどうする?」


 バルツさんに問いかけられて考える。

 まぁ、一理あるんだよね。

 けど、私が言ったせいで楽しみにしちゃってるアーテルが納得してくれるかどうか……。


「アール、魔物の卵を孵化させるのはもう少し先になるけどいいかな?」

「そっか……。うん、いいよ。だっていつかは新しい家族に会えるんでしょ?」

「もちろん。領都に着いたら孵化させるから絶対に会えるよ」

「じゃあ、それまで我慢できるよ」


 良かった。私の弟は本当に良い子だ。

 というか、色々と我慢させているのに良い子過ぎるから少し心配になるんだけど。

 私はアーテルの頭を撫でてありがとうとお礼を言う。

 という事は、魔物の卵を孵化させれるのは早くて一週間後ぐらいなのかな。

 結局、この日はアーテルとリリーを連れてオーアスのお店を回ったり軽くダンジョンに入って過ごした。

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