表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/92

ダンジョン「オーア」攻略編 了 (最後の宝箱と今後の予定)

 罠の有無をアスティさんが確認してくれたので三人で宝箱の前に立つ。


「宝箱はバジリスクを倒した姉さまが開けて!」

「あけてー!」

「バジリスクはみんなで倒したんだよ?」

「でも、最後は姉さまの攻撃で倒れたから姉さまに開けて欲しいの!」

「ふふ、ありがとう」


 本当にうちの子は可愛い! 可愛過ぎるね!

 まじまじと宝箱を見ると、今までの宝箱より装飾が豪華で少し大きい気がする。

 ゆっくりと宝箱の蓋に手をかけて開けていく。

 中には小さなハープが入っていた。

 見た目は美しい緑色。

 よし、鑑定してみよう。


 《癒しのハープ》

 魔力を用いて弾けば音が聞こえる範囲の生き物を癒す。

 傷に限らず疲労や魔力枯渇など色々なものを治せる。

 人の手で作ることは難しく国宝級の魔道具と言えるだろう。


 いや、すごっ!

 国宝級なんて物が出てくるとびっくりするわ。

 これは、バルツさん達が持って帰る方がいいよね。

 今後の予定を話しているバルツさんに声をかける。


「宝箱の中にはハープが入ってました」

「ハープ?」

「見てもいいですか?」

「はい」


 クラルテさんにそう聞かれたので頷いて、宝箱から取り出したハープを渡す。


「これはまた、面白い品が出ましたね」

「どういう物なんだ?」

「魔力を用いて弾けば音が届く範囲の生き物を癒せるそうです。時折出る癒しの効果を持った楽器の一種ですね」

「ああ、そういうやつか」


 やっぱり、クラルテさんは鑑定魔法を持っているっぽいな。

 それにしても、癒しの効果を持った楽器って時々出てくるんだ。そんな楽器がある事自体知らなかった。

 調べ終わったクラルテさんがハープを渡そうとしてくれたけど、私には必要ない気がするんだよね。

 治癒魔法は色々と使えるし国宝級ってのが怖い。

 だから、バルツさん達で使ってくださいと言ったんだけど断られてしまった。


「どうしてですか?」

「いや、バジリスクにとどめを刺したのはリアだからな。あと、俺達は似たような魔道具を持っているから必要ないんだよ」

「バジリスクは皆さんと一緒に倒したんですよ。それに、私も治癒魔法が使えるのでこのハープを使う事は無いと思うんですが」

「リアさんが使わなくてもアールさんが使ったりも出来ますし。回復手段は多い方がいいですよ」


 あー、そういう手もあるのか。


「でも、国宝級っていうのがとても怖いです」

「そこは気にしなくていいよー。マジックドロワーに入れておいて、人前で使わない様にしておけばバレたりしないし」

「それに、国宝級と言っても大体の国が似たような魔道具を一個は持っているはずです。なので、それを手に入れるために狙われる可能性は低いですよ」

「そうなんですか?」

「それより、リアやアールの能力の高さで狙われる方が絶対に多いぞ」


 バルツさんの言葉に二人が思いっきり頷く。

 いや、それはそれで困るんですが……。

 結局、癒しのハープは私達が貰うことになった。

 怖いのですぐにマジックドロワーにしまう。

 せっかく手に入れたからには使えるようになりたいな。

 ただ、練習はウーアシュプルング大樹海の家でしよう。

 国宝級を人が多いところで出すのは怖いので。


「それじゃあ帰るか」

「はい」


 到達登録版にバルツさんが魔力を注ぐと、すぐに光り始めて一瞬で転移した。

 バルツさん達はいつも通りトマスさんに報告をして、私達はそれを待つ。

 トマスさん曰く、二十階のボスにオークキングがいた事を含め周知と注意喚起をして、二十階のボスからはAランク以上がいるパーティーのみ推奨とするらしい。

 特に、三十階のボスはバジリスクだからAランク冒険者が複数いないと危ないし。

 ちなみに、Aランクがいなくても二十階のボスに挑めるしそれ以降の階にも行ける。

 ただし、それがどういう結果をもたらすかは少し考えれば分かるわけで、余程の命知らずじゃない限りする人はいないらしい。

 うん、少し安心した。

 宿に着くと今後の予定を話し合う事になった。


「あと、一週間ぐらいはオーアスに滞在するぞ。その間は観光するなり、オーアや他のダンジョンに行くなり、ギルドの依頼をするなり、好きな事をしていいからな」

「はい。もしかしたら何日かオーアスの外に出るかもしれないんですが、いいですか?」

「いいぞ。ただ、出掛ける前に誰かに一声かけてくれ」

「分かりました」


 話が終わったらアーテル達と宿の自分達の部屋に行く。

 そこで一つ相談があるんだ。


「ねぇ、アーテル。そろそろヴァイスに会いに行こうか?」

「うん!」

「それで、ヴァイスに会った後、王都の春祭りにも行こうと思うんだけどどうかな?」

「行きたい!」


 すぐにアーテルが賛成してくれて一安心。

 三つある魔物の卵の内、一つをヴァイスに渡そうと考えてるんだよね。

 けど、こっそり会うのにそこで渡したら誰から貰ったのかとお父様達に疑問を持たれる。

 なので、明後日行われる王都の春祭りに参加してそこでヴァイスに魔物の卵を売るつもりなんだ。

 ふふ、名案でしょう!


「春祭りで屋台をやってみようと思うんだけど、何を売るのがいいかな?」

「姉さまの料理はすごーく美味しいからそれを売るのはどう?」

「料理か。それもいいね」


 料理もありだけど、それだと魔物の卵を売るのはおかしいか。

 さて、どうしようかな?

 お祭りといえば、食べ物の屋台に色んな出店、後は金魚すくいとか射的が思い浮かぶ。


「あっ!」

「どうしたの?」

「くじ引きってどうかな?」

「くじ引き?」


 そっか、アーテルは知らないんだ。

 というか、もしかしてこっちにくじ引きって無い?

 私はすぐに紙を用意してアタリとハズレを作っていく。

 それを箱の中に入れて混ぜたら、アーテルとリリーに引いてもらった。


「引いたら折りたたんでいる紙を開いてみて」

「あっ、アタリって書いてある!」

「リリーも!」


 二人とも一発で当たりを引くとは、やっぱり運がいいのはアーテルとリリーっぽい。

 ダンジョンで宝石や魔宝石が沢山取れたのは二人のおかげな気がするな。

 当たりを引いた二人に賞品のプリンを渡して感想を聞く。


「どう、面白いかな?」

「うん! 楽しいよ!」

「たのしい!」


 二人とも楽しかった様なのでくじ引きの出店をする事にした。

 私はバルツさん達に出掛ける事を伝えて、オーアスの路地裏に入る。

 そこから、セレスタイト王国の王都へ転移して商人ギルドへ向かった。

 そこで、明後日の春祭りで出店を出す事が出来るかを聞いてみる。


「ええ、出店登録と空いている場所の使用料さえ払えば可能です」

「じゃあ、手続きをお願いします」


 商人ギルドのギルドカードを出して手続きをする。

 使用料は小銀貨一枚。場所はお客さんの多い大通りではなく、少し外れた貴族街近くの道になった。

 場所によってはもう少し使用料の高いところもあるらしい。

 個人的にはこの場所を取れて助かった。

 ここなら王都の家からも近くてヴァイスが来やすいだろうし。

 諸々の手続きが終わったらすぐにオーアスへ帰る。

 明日ヴァイスに会って、明後日は春祭りで出店出す。

 それをアーテルとリリーに伝えた後三人でくじ引きの準備をする事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ダンジョンのお話が楽しくて生き生きと活躍しているリア達にホッコリしつつ、でも今頃ヴァイスは死ぬほど心配してるだろうなと思うたび楽しみきれない切なさがあったので生存報告&プレゼント回が待ち遠…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ