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ダンジョン「オーア」攻略編 二 (プリンとアイテムボックス)

 私達の前に現れたのは、複数のゴブリン。


「ギャギャ」

「ギャー!」


 ゴブリンはランクが低くても倒せる弱い魔物。だから私が倒してもいいのかな? って考えていたら、バルツさんが広場を出てゴブリンの方へ行く。

 見ているとバルツさんは何も持っていなかったのにいつの間にか片手に黒い大きな剣を持っていた。

 そのまま、ゴブリン達に近づき一瞬の間に斬り捨てて倒す。

 倒されたゴブリンはドロップアイテムを残して消えた。

 ふぉ、流石Sランク。早業だ。あと、剣はどこから出したんだろう? マジックバッグかアイテムボックススキル、それか時空間魔法スキルを持ってるのかな?


「かっこいい!」

「おっ、アール褒めてくれてありがとな。そういえばアール達の前で戦った事は無かったか。今回、道中の戦闘はあいつらに任せてたし」


 オーアスへ向かう途中にも魔物はいる。

 害がほとんどなくて襲ってこない魔物は放っておくけど、ゴブリンとかオークとかの討伐推奨系や襲ってきた魔物は倒していたんだよね。

 私やアールも手伝いますって言ったらこれは今回の仕事の一つで、俺達だけで大丈夫だからゆっくりしててねってアスティさんに言われたんだ。

 今回、バルツさんと一緒に来ている人達は辺境伯直属の兵士なんだって。

 辺境領は人間相手より魔物相手の戦闘の方が断然多いから、ダンジョン調査はその訓練も兼ねているらしい。

 で、道中の魔物討伐も増え過ぎないようにとか街道の安全を守るためにしている。

 それも魔物との戦闘訓練を兼ねてるから、私達は手伝わなくていいみたい。その間はずっと三人で見学してました。

 一緒に来ている兵士さん達は、経験の少ない人達らしいけど見ている分には十分に動けていたし強そうだった。


「リアさん達はダンジョンに来るのは初めてでしたよね?」

「はい」

「この階段を降りてすぐ横の広場は、セーフティゾーンと呼ばれています。ここに魔物が入る事はまずありません。なので、冒険者はここで食事をしたり休憩したりします」


 ダンジョンのクラルテさんが説明をしてくれた。

 へぇ、そうなんだ。知らなかったな

 よく見るとセーフティゾーンと言われた場所は、地面や壁の色が違う。

 階段や通路はだいたい同じ土色だけど、セーフティゾーンは水色っぽい。

 これなら分かりやすいね。

 気がついた事を伝えると、よく気がつきましたねと褒められた。


「ダンジョンによってセーフティゾーンの色は違いますが、必ず階段や次の層の入り口近くにあります。これを覚えておくと便利ですよ。

 セーフティゾーンに魔物が入る事はまずありません。ですが例外として、稀に起きるダンジョンの異常時はセーフティゾーンの効果が消えて、魔物が入れるようになるので気をつけてください」

「はい」

「また、同業の冒険者も善人ばかりでは無いので、セーフティゾーンで休む時は注意しましょう。物を盗まれたり、お金などを奪うために襲ってくる外道もいますからね」

「それは、怖いですね」

「特にリアさんはエルフの女性ですから、気をつけるに超したことはありません」

「はい! 気をつけます」


 あー、やっぱりどこにでも悪いやつはいるんだね。

 まぁ、闇ギルドとかあるしそういう犯罪者がいるのは当たり前か。

 私達ならそう簡単に負ける事は無いけどちゃんと警戒しておこう。


「そろそろ、進むぞー」

「はーい!」


 アーテルが元気よく返事をしたところで、ダンジョン探索再開。

 地下一階は調べ尽くされているらしく、そのまま次の階段へ向かう。

 また、ゴブリンやケイヴスパイダーなどのランクの低い魔物が出てきたけど、すぐにバルツさんの手で倒されていた。

 ドロップアイテムはアスティさんかクラルテさんが回収している。


「五階まではほとんど探索したらしいから、六階以降を詳しく調べるぞ」

「了解です。一階は前より魔物が少なめな感じですねー」

「ええ、前はもう少し出てきた気がします」


 そういう事も気にしなきゃいけないんだ。

 これは、メモしておこう。

 その後は、私達も戦闘に加わりながら五階までの探索があっという間に終わった。ほぼ、最短距離で階段に向かったから一時間ぐらいしかかかってない。

 六階に着いたら、一度セーフティゾーンで休憩する。


「思ったより早かったな」

「ええ、もう少し時間がかかると思っていました」

「やっぱり魔物が少ないような気がするんですよねー」


 そうなんだ。

 まぁ、想像してたより戦闘回数は少なかったように思う。

 じゃあ、ここからは気を引き締めなくちゃね。


「姉さま、お腹減った」

「えっ?」

「何か食べたいなぁ」


 考えてみると私も少しお腹が減ってるな。

 リリーも頷いてるし、作り置きしてる料理かお菓子を出そう。

 私達だけ食べるのも悪いし、三人にも何を食べたいか聞かなきゃね。

 アスティさんとクラルテさん、その二人と話し合っているバルツさんに声をかける。


「バルツさん、アスティさん、クラルテさんは甘いものとしょっぱいものどちらが食べたいですか?」

「うん、急にどうしたんだ?」

「アール達がお腹を空かせてるので、何か出して食べようかなって考えてて。皆さんの分も用意するので、どんなものが食べたいかを聞きに来ました」

「おー、そういう事か。俺達の分までありがとな。リアの料理は何度か食べさせてもらったがお菓子は無かったな。だから、甘いものを頼む」


 バルツさんは甘いものと。

 他の二人にも聞こう。


「お二人はどうしますか?」

「うーん、どっちも気になるけどー、俺も甘いのがいいな。リアちゃんありがとね」

「私も甘いものをお願いします。リアさん、お気遣いありがとうございます」

「いえいえ。じゃあ、用意しますね」


 みんな甘いものか。

 じゃあ、私達も甘いものにしよっと。

 さて、何にしようかな?

 あっ、そうだ! オーアスへ向かう前日にプリンを作ったな。

 私は固めのプリンも好きだけど、とろっとろのなめらかなプリンが大好きなんだ。

 この前、試行錯誤してなんとか理想のプリンが出来た。

 結局、味見用のやつはアーテル達と食べたけど残りはマジックドロワーにしまったままだし。

 よし、プリンにしよう!


「これをどうぞ。プリンっていう主に卵と牛乳、あとは砂糖などを使ったお菓子です」

「おお、美味そう!」

「アスティの言う通り、すげー美味そうだな」

「いただきますね」


 三人はそれぞれ一口食べると一瞬止まった。

 そして、こちらを向く。


「うまっ、美味すぎるだろ。リア、これは売れるぞ」

「うまぁー。ケーキとか甘いお菓子はあるけど、こんなにとろとろにとろけるお菓子は初めてだよ」

「っ、これは美味しいですね。リアさんの料理の才能は本当に素晴らしい」


 すごい褒められてる。

 この世界ってケーキやクッキーはあるけどプリンは無いんだよね。

 ただ、ケーキも前世に比べると種類が少ないし、甘過ぎたりとかしてクオリティに差がある。

 だから、思った以上にプリンがウケてるのかな。

 まぁそれは置いておいて、喜んでもらえたから良かった!


「姉さま、おいしいねぇ」

「おいちいねぇ」


 アーテルとリリーがほっぺを両手でおさえながら言う。

 かっ、可愛い! 可愛すぎる!

 喜んでもらえて良かったと返事しながら二人の頭を撫でた。

 そろそろ、私も食べようかな。

 とろとろのプリンをスプーンですくって口に入れる。

 う〜ん、とろける。なめらかな口溶けに卵と牛乳の優しい味、そこにスイートアントのお砂糖のしつこくないのに濃厚な甘さが加わる。

 美味しい。味見した時も思ったけど、予想以上に上手く出来たね。


「美味かった! また、頼んでもいいか」

「はい、いいですよ。まだ作ったのは残ってますし」

「やったー!」

「おっ、アールもプリンが好きなんだな」

「うん、大好きだよ! というかぼくね、姉さまの作るものは全部大好きなんだ!」


 アーテルが可愛いわ、言う内容が嬉しいわ。

 私の感情はしっちゃかめっちゃかです。

 まぁ、どちらも良い感情なのでどんとこいですけどね!


「一つ、気になっていた事を聞いてもいいか?」

「いいですよ? どうしたんですか?」

「リアが使っているのはアイテムボックスじゃないだろ?」

「えっ」


 えっ、なんでバレた?

 おかしいなぁ。本にはアイテムボックスって言ってもバレなさそうな感じに書いてあったのに。


「どうしてそう思ったんですか?」

「俺の部下にもアイテムボックス持ちがいるが、そいつのと魔力の動き方が違う気がするんでな。アイテムボックススキルなら魔力はほとんど動かないが、お前さんのはよく魔力が動いている。まるで、魔法を発動しているみたいに」

「まさか、バレるとは思ってませんでした。私が使っているのはアイテムボックススキルではないです」


 そっか。そういう所が違うんだ。

 ちゃんと無詠唱でやってたのになぁ。


「言っておくが責めてるわけじゃない。ただ、気になってたんだ。それに、俺は種族と俺個人の能力のおかげで魔力の動きに敏感でな。だから、普通の人族や獣人族なら気づかないと思うぞ」

「そうなんですか?」

「ああ。あと、気になったのはアイテムボックスじゃないなら、何を使ってるのかってことなんだが」

「時空間魔法のマジックドロワーです」


 そう答えると、アスティさんが驚く。

 バルツさんやクラルテさんは驚いてないから察していたみたい。


「これまた、すっげーレアなスキルを持ってるんだねー。そりゃ、アイテムボックススキルだって誤魔化すわ。犯罪じゃないし、これからも誤魔化しておいた方がいいよ」

「やっぱり、そう思いますか?」

「ああ。俺達みたいな魔族やエルフからすればそこまでじゃないが、人族、特に強欲で面倒な貴族はそういう人材を欲しがる。隠しておくのが最善だな」


 そうですよね。

 お父様達にさえ隠したのは、誘拐された時に使えるって事もあったけど、お父様が知ったら国に報告しないといけなくなるかもしれないって思ったから。

 そのぐらいこの時空間魔法スキルは貴重なんだ。

 で、まぁ、国に知られると色々と面倒事が起きそうだと思って時空間魔法を隠蔽からずっと外さずにいた。

 といってもおっちょこちょいな私は、ミルフォイル様にバラしてるんだけどね。

 でも、ミルフォイル様なら私の事情を察して、私が知られると困る相手には教えないって断言できるから心配はしてない。

 というか、それをミルフォイル様に教えてから今まで一度も私が時空間魔法スキル持ちだって誰かにバレたことないし。

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