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キラーカウ討伐と解体

 落とし穴に落ちたゴブリン達にもトドメを刺して、倒したゴブリンの解体をしていく。

 ゴブリンの素材は低品質の魔晶核と、討伐証明の右耳だけ。

 ゴブリンメイジやゴブリンアーチャーとかの上位種になれば、もう少し使える部位が増えたりするんだけど。

 あと、魔晶核の質が上がる。

 残ったゴブリンの亡骸は、アンデッドや疫病の元にならないように燃やして埋めた。

 よし、後処理完了。


「じゃあ、次は森の近くにある草原でキラーカウを探そっか」

「はーい。早く見つかるといいね」

「あい!」

「そうだね」


 奥まで入っていた森から出て、近くの草原を探索する。

 あっ、ホーンラビットだ。

 目的の魔物じゃないし、他の冒険者が狙うかもしれないから倒さなくてもいいか。

 危険度も高くないしね。

 脳内マップをスクロールして、キラーカウらしき群れのアイコンを探す。

 もう少し進んだ方にいそうだな。

 気持ちのいい風が吹き抜ける草原を三人で歩いていく。


「晴れていて良かったね」

「うん! なんだがピクニックみたい」

「ふふ、そうだね。ピクニックらしくお弁当もあるよ」

「やったー! 嬉しいな」

「やったー!」


 いつも喜んでくれるから、こっちも嬉しくなる。

 あと、相変わらずリリーはアーテルの真似をするのが好きだね。

 すごく可愛いので続けてください。

 ちなみにお弁当は、色んな種類のサンドイッチを用意した。


「姉さま、あれ」


 アーテルが示す方向を見ると、何体もの牛がいた。

 あれがキラーカウか。思ったより大きいな。

 少しづつ近づいて様子を見る。

 私達にまだ気づいてないみたい。

 よし、今のうちに何体か倒そう。

 依頼には、最低二十体と書かれていた。

 そりゃ、この大きさの牛を倒せるとしても二十体倒して持ち帰るのは大変だよね。

 高ランクの冒険者なら、高性能のマジックバッグやアイテムボックススキル持ちがいるだろうけど、もっと実入りのいい仕事があるし。

 この依頼が残るのも頷ける。

 まぁ、キラーカウの被害が大きくなったりしたら報酬とか関係なく高ランクの冒険者が駆り出されるんだと思うけど。

 そんな事を考えながら、魔法でキラーカウの首をいくつか落とす。


『ウィンドカッター』


 一度の詠唱でいくつかの刃を用意して、一気に落とした。

 同じ魔法で、アーテルも二体のキラーカウを倒す。

 流石に、何体も倒されると他のキラーカウ達も私達に気がつく。

 脚を踏み鳴らして、こちらに突進しようとしているキラーカウを見つつ魔法を用意。

 そして、突進してきた瞬間に発動する。


『アースウォール』


 キラーカウの目の前に土の壁が現れて、そこに角をめり込ませる。

 角が深く刺さったら、身動きが取れなくなるよね。

 あとは、同じ要領で何体も倒していけば、あっという間に依頼の二十体を超えていた。

 さて、流石にこの量の解体は大変だな。

 アーテルに手伝ってもらいつつ、十体の解体を終わらせる。


「そろそろ、お昼ご飯にしよう」

「うん、お腹減った」

「解体手伝ってくれてるからすごく楽だよ。アーテル、ありがとね」

「ふふ、ぼく、姉さまの役に立ってる?」

「もちろん! それに、アーテルがいてくれるだけで、私は助けられてるんだよ」


 そう答えれば嬉しそうにアーテルが笑う。

 本当に私は良い弟を持ったな。

 アーテルと過ごせば過ごすほど、ヴァイスの事が心配になる。

 ダンジョンから帰ってきたら、一度公爵家の隠し部屋に行こう。

 そして、ヴァイスに会う。

 リリーの事も紹介したいし、色んな出来事を話したい。

 それに、私が作ったご飯も食べてもらいたいし。

 アーテルにそれを伝えるとすぐに賛成してくれた。

 アーテルもヴァイスと仲がいいから、早く会いたいよね。

 よし、気を抜かずに頑張るぞ。

 なんて、気合いを入れ直したところで考える。

 ご飯を食べ終わったから、解体を再開しなくちゃなんだけど、そろそろきつい。

 ギルドに持ち込めば、解体してくれるんだよね。

 ただしその場合、一つ問題がある。

 残りの十数体、全部はマジックバッグに入り切らない。

 という事は、マジックドロワーに入れる必要があるんだよね。

 マジックドロワーから出す時に、マジックバッグから出したように見せればいい。って考えたけど、そんな容量のマジックバッグを登録したばかりの私達が持っているのはおかしい気もする。

 だったら、マジックドロワーが使える事を教えるって手もあるけど、流石に時空間魔法はレア中のレアスキル。だから、まだすごく容量の多いマジックバッグを持っているって思われてる方がましだろうし。


「どうしようかな?」


 そうだ! アイテムボックススキルを持ってる事にしよう。

 アイテムボックススキルなら、マジックバッグより容量が多いし、レアだけどまだある方のスキルだもんね。

 まぁ、マジックドロワーみたいに容量無制限ではないけど、スキルレベルや魔力量で変わるらしいからスキルレベルが高いとか、エルフで魔力量が多いって事にできる。

 本に、アイテムボックスとマジックドロワーの発動は見分けにくいって書いてあったし、どうにか誤魔化せると思いたい!

 そうと決めたら、すぐに行動に移す。

 素早く残っている十数体のキラーカウをマジックドロワーに入れた。


「よし、終わったね」

「うん」

「じゃあ、領都に帰ろうか」

「はーい!」

「あい!」


 リリーにせがまれたので、三人で手を繋いで帰る。

 二人に癒されながらゆったりとした時間が流れていった。

 領都に着いたら、すぐにギルドへ向かう。

 いつも通りマカレナさんの受付に並び、順番を待つ。


「お帰りなさい」

「ただいまです。あの、解体できたのと、解体しないままのキラーカウがあるんですが、どうすればいいですか?」

「ギルドの左側の建物が解体所になっているので、そこで出しましょう」

「了解です」


 マカレナさんと一緒に解体所へ向かう。

 そこでは、色んな魔物を沢山の人が解体していた。

 お、おう。血の匂いがすごいな。

 まぁ、この量を解体してるんだから当たり前か。

 アーテルとリリーは、興味津々な感じでキョロキョロと周りを見ている。


「それでは、この辺りに出してください」

「はい」


 マカレナさんに指示された場所に、マジックドロワーから出したキラーカウを並べる。

 数えながら出していくと十五体あった。

 十体は解体したから、二十五体も倒してたんだ。

 次々に出すから、周りの人達も手を止めて見ている。


「おっ、キラーカウの依頼を受けた子がいたんだな」

「あの子はエルフか。面倒な依頼なのによく受けたな」

「俺も思った。キラーカウはDランクでも倒せるが、二十体も倒すのには何日もかかるし」


 そっか。いくらDランクから倒せる魔物でも、一日で終わる依頼じゃないんだ。

 そう考えると本当に面倒で大変な依頼だと思う。

 私が並べたキラーカウに解体をする人達が集まって来た。


「こりゃ、たまげた」

「全部、首を上手く落としているな」

「おお、これなら解体しやすい」

「なぁお嬢ちゃん、ランクは?」

「えっ、Bランクです」


 私がそう言うと集まっていた人達がざわめいた。


「おお! この子達が、登録したばっかりなのに昇格試験を受けて合格したって、話題になってた子達か!」

「それなら、こんな綺麗に倒せるのも納得だな」

「この依頼、何日で終わらせたんだ?」

「リアさん達は今日依頼を受けて、今さっき帰ってきたんですよ」


 マカレナさんがそう説明する。

 すると、解体をしてくれる人達が感心しながら頷いた。


「やっぱり、優秀な子達ってのは本当だったんだな」

「この数はBランクでも二日ぐらいに分けるだろうに」

「それを一日でやってのけちまうんだから、すげーな」


 ずっと褒められてるけど、嬉しいより複雑かもしれない。

 そりゃあ、魔法やスキルの練習しては頑張ったけど、大元はチートな称号と身体のお陰だからね。

 ちょっと、ズルしてる気がする。

 まぁ、誰かの役に立ててるなら気にしなくてもいっか。

 剣も能力も使い方次第だよね。

 解体してくれているのを見ている間に、マカレナさんが手続きをしてくれていた。


「既に解体してくださった物もここに出していただけますか?」

「はい」


 用意された入れ物に出す。

 ついでにゴブリンの討伐証明の耳と魔晶核も出しておいた。


「今回はどちらも討伐依頼なので、素材はリアさんの自由です。どうしますか?」


 どうしようかな。

 キラーカウのお肉は美味しいらしいし、角も薬や魔法薬に使えるから欲しい。

 うん、お肉は三体分、角は半分ぐらい持って帰ろう。

 ゴブリンの方はどちらも要らないかな。

 魔晶核も低品質だし。

 決まったので、それをマカレナさんに伝える。


「分かりました。では、持ち帰る素材はもうしまって大丈夫ですよ」

「はい」


 すぐに、持ち帰ると決めた素材をマジックドロワーにしまった。

 そういえば、マジックドロワーの事聞かれなかったな。

 もしかして、元からアイテムボックススキルだと思ってくれたのかも。

 わざわざ、嘘を言う必要がなくて良かった。


「それでは、こちらが討伐依頼の報酬。そして、こちらが素材を売却したお金です」

「ありがとうございます」

「こちらこそ、なかなか受けてもらえない依頼をしてくださって助かりました」


 ふふ、誰かの役に立てるって嬉しいよね。

 そして、私達はマカレナさんと少し雑談をしてから雪月亭に帰った。

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