能力を確認しよう
はい。振り返り終了。それにしても長い。もっとね、短くまとめたかったんだけど濃いから出来なかったよ。これでも細かい説明とか一部省いた方だから。
あと、今気がついたけどアレス様がっつり私の心の中読んでるよね? 心の声と会話してたもんな。後で気がつくとか私はあの時どれだけテンパっていたんだ。
そんな事を考えてると私のいる部屋に誰かが入ってきた。
「あら、起きていたのね。おはよう、マグノリア。機嫌がよさそうで良かったわ」
「あうあ、あー」
あっ、この世界のお母様だ。思ったんだけど乳母とかじゃないんだよね。公爵家だし勝手に乳母かメイドにお世話されるんだと思ってた。
というか赤ちゃんだから仕方ないんだけど喃語なのがちょっと恥ずかしい。よし! 頑張って早く喋ろう。
「マグノリア、もうすぐお父様が帰ってくるから楽しみにしててね。ふふ、リエールったら早く貴方に会いたくて陛下を急かしながら仕事をしているそうよ」
「あう?」
この世界の、マグノリアの両親は美男美女だ。
そしてエルフの先祖返りであるマグノリアも当然可愛いし、将来は美人だろうからとっても嬉しい。ええ、前世は平々凡々な顔でした。
それにしてもお父様は王様を急かしたりして大丈夫なの?
あー、そういえばお父様はセレスタイト王国の宰相で王様とは学友で親友だって事は少しだけゲームで触れられてたような……。
そうだ。アーテルルートでアーテルに王様が言ってたんだ。「第一王子ともっと歳が近ければ私とリエールのような関係になれたのだがな」ってさ。
まぁ、仲が良いから急かしても問題は無いんだろうね。うん、そう思っておこう。
そんな事を考えていたらドタドタと走っている大きな足音が聞こえてきた。
「ただいま! 帰ったよ! ディア、マグノリアはどうしているんだい?」
「リエール、おかえりなさい。マグノリアなら起きていてご機嫌よ。それにしても貴方ったら廊下を走ったりしてマーサに叱られますよ」
「あのバ、いや陛下が中々今日の執務を済ませてくれなくてね。僕は早くマグノリアの顔を見たいっていうのに、早く終わっていたら走らなかったんだよ。ディア、お願いだからマーサには内緒にしておいてね」
はい、今走って部屋に駆け込んできたのが今世のお父様です。私は逃げないから落ち着いて欲しい。
それにしてもお父様、途中で陛下の事バカって言いそうになってる気がするんだけど良いの? 不敬では?
後、我が家のメイド長であるマーサに叱られるのは仕方がないと娘は思います。
「ふふ、仕方がありませんね。秘密にしておいてあげますよ」
そう言いながらお母様は私を抱き上げた。
「はい、お父様が帰ってきましたよ。やっぱりとても機嫌がいいわね」
「そうだね。とても楽しそうだ。マグノリア、ただいま。よしよしご機嫌だね」
ニコニコしているお父様に頭を撫でられる。
「ああそうだ。ディア、身体は大丈夫かい? 無理をしてはいけないよ。君がマグノリアのことを自分でしたい気持ちはわかるが、君に何かあったら僕は悔いても悔やみきれない。辛くなったらすぐに言うんだよ」
「ええ、大丈夫よ。もちろん無理はしないから」
微笑みながらお母様がお父様に答える。
「そうしてほしい。先祖返りを産むのは母体の負担がとても大きいんだよ。過去の文献にもそう書いてあった。ましてやディア、君は身体が弱いのだから。マーサもいるし、乳母やメイドもつけたければつけられるんだよ」
「はい。リエールありがとう。気をつけるわ」
そうか。もうこの時点でお母様の身体に負担があったんだ。
ゲームでは、先祖返りを二人産んだことによる身体への負担と、産後の肥立ちが悪くて亡くなったっていう事しか描かれてなかったけど、この世界だと元々身体も弱いんだ。
お母様には生きていて欲しい、でもアーテルが産まれないのは辛い。
どうすればいいんだろう?
考え込んでいたらだんだん感情が身体に引っ張られたのか、とても悲しくなってきた。
「ひっ、う〜、あー、ぁああ」
「あらあら、ご機嫌だったのにどうしたのかしら?」
「だっ、大丈夫かい?」
あたふたと慌てているお父様を見ていると少し落ち着いたけど、問題は解決していない。それに関しては今後徐々に考えていくしかないのかな。
泣いてしまったせいか、瞼が重くなり私はゆっくりと眠りについていった。
目を覚ますと周りは暗くなっている。あれから結構な時間寝てたみたい。
そういえば、転生したんだからステータスを確認した方がいいよね。でもなー、怖い。だって女神様張り切ってたんだもん。
けど、先送りにしても仕方ない。よーし! 見るぞ。
(ステータス)
心の中でそう唱えると透明な水色の板が目の前に現れた。
マグノリア・アウイナイト
種族︰エルフ
年齢︰0
魔力︰7
状態異常︰なし
基礎属性
火︰3 水︰6 風︰6 地︰4 光︰7 闇︰2 無︰5
特殊属性
氷︰1 雷︰1 金︰1 樹︰1
スキル
時空間魔法︰5 精霊魔法︰1 鑑定魔法︰5
契約魔法︰6 ※メニュー︰5 ※隠蔽︰5
魔力操作︰5 言語理解︰5 料理︰4
清掃︰2 念話︰5
称号
異世界転生者
先祖返り
女神の趣味友
あれ? なんだかツッコミどころが多すぎでは? ちょっと女神様、時空間魔法以外に色々とあり過ぎなのですが……。
まず、魔力と属性。魔力や属性、スキルの横に書かれている数値はレベルで、一~十までありレベルが高ければ高い程良いって女神様が言ってたな。
で、魔力のレベルは成長によって上がることもあるがすごく稀らしい。
属性やスキルのレベルが高いと使える魔法や出来ることが増えたり、魔法やスキルの使用に必要な魔力が減るし、関連する作業の質が上がったり、所要時間を短縮する事も出来る。
属性やスキルのレベルは、魔力とは違い魔法やスキルの使用、そして関連した作業で上がる。だが、レベル五を超えると上がりにくくなり、複数のレベル五以上の属性やスキルを持っていると高能力者と称される。
そして、いない訳では無いが全属性所持は稀であり、特殊属性も複数持っているだけで魔法学院で一目置かれる存在になるらしい。
また、属性のレベルは相性や才能によってどこかのレベルで上限がある為、全ての属性のレベルを十にする事はまず不可能。
なお、スキルは才能や適性があれば後天的に増やす事が可能。
はい! 女神様に教えて頂いたステータス関連の情報を振り返ってみたんだけど、私のステータスがすご過ぎる。
いや、初期から高レベルの属性やスキルを所持している事があるのは聞いていたけど、基礎属性全所持な上に特殊属性も複数持ってるなんて事は聞いていないんですが。
あー、でも貴族の場合は様々な血を混ぜてるから一般の人よりは基礎属性全所持はある方なのか。
女神様からインプットして貰ったこの世界の情報と照らし合わせてみると、特に王族や高位貴族には時々基礎属性全所持が生まれるみたいだ。
ましてや、アウイナイト公爵家は先祖にエルフや精霊、そして先祖返りも何人かいる家系だからそこまで珍しい事でも無いらしい。
ふー、安心した。それでも特殊属性を四つは絶対多いんですがね!
で、次。スキルも思った以上に多くない?
料理とか清掃は前世の経験なのかなって予想が出来るけど、それ以外にやばそうなのが幾つか。
まず、時空間魔法はつけて頂けるって聞いてたからいいとして、スキルレベルが五になってる鑑定魔法、メニュー、隠蔽、魔力操作、言語理解、念話は多分女神様からの贈り物だよね。
後、メニューと隠蔽に米印があるのはなんだろう。そこに注目すると文章が浮かび上がってきた。
※メニュースキルは転生者であるマグノリア専用スキル。マップ機能、自動マッピング機能、過去の鑑定結果記録機能、脳内メモ機能等がある。スキルレベルが上がる事により機能が増える可能性あり。
※隠蔽スキル常時発動中。時空間魔法、鑑定魔法、メニュー、隠蔽、魔力操作、言語理解、念話などの上記スキルと一部称号を隠蔽中。スキル保有者によって隠蔽するスキル、称号の変更も可能。
やっぱり、さっき気になったスキルは女神様からの贈り物っぽいね。という事はそれ以外のスキルは生まれ持った物なのかー。
精霊魔法と契約魔法どちらも人族だと希少なはず。けど、エルフの場合は精霊魔法スキルを持ってる人がそれなりにいるみたいだし、これは先祖返りの影響って考えていいよね。
あと、メニュースキルがありがたいけどやばい。とても便利ではあるけど私しか持ってないって怖い。
後は称号だけど、本当に隠蔽スキルを付けてくれててありがたいと思ったよ。称号に注目するとこちらも説明の文章が出てきた。
異世界転生者
異世界に転生した者に与えられる称号。この称号の持ち主は新しくスキルを取得しやすく、スキルのレベルも上げやすい。
先祖返り
先祖返りに与えられる称号。元の種族よりも能力が高くなりやすい。
女神の趣味友
文字通り女神の趣味友に与えられる称号。この称号の持ち主は特定の場所で女神と念話で話すことが出来る。やったね!
いや、最後! ツッコミどころしかないじゃん! 「やったね!」じゃねぇよ!
ふぅ、落ち着こう。あんまりね、感情が高ぶっちゃうと今の年齢に引っ張られて泣いちゃうから。
うん。落ち着いたかな。女神様と話せるのは特定の場所らしいし、今は考えるのはやめやめ。
それじゃ、気分転換に魔法を使ってみよう。
女神様からお聞きしたのとインプットして頂いた情報を読み解くと、声を出さなくても発動出来るらしい。あれだよ、よくあるイメージ力が大切ってやつ。じゃあ、やるぞ!
(ライト)
心の中で光の玉を思い浮かべると、目の前で光の玉が生まれた。おおー、こんな風になるんだ! 体の中で魔力が動いたのも分かったし、魔法を使うのに支障は無さそう。良かった。
じゃあ、詠唱っぽくない思い浮かべたままでも発動出来るのか試してみよう。
(水の玉)
出来た! じゃあ咄嗟に呪文や詠唱が出なくても大丈夫かも。これはいい発見だ。宙に浮く水の玉をふよふよと左右に動かす。やば、楽しいわこれ。
そんな風に遊んでいたら誰かの声が聞こえてきた。
「そろそろ、マグノリアが起きるかもしれないから見に行ってくるわね」
「私もついて行きます」
「ありがとうマーサ」
これはお母様とマーサの声だ。
ありゃ、早く水の玉消さないと。えっと、うーん、消えろ! よし消えた。ふぅ、あっぶな。
水の玉が消えたのと同時に、お母様とマーサが部屋に入って来た。
「やっぱり起きていたのね。あら、寝る前は泣いていたのに今は機嫌が良さそう。ふふ、安心したわ」
「マグノリアお嬢様は眠たかったのでしょう。眠られた事で機嫌も治ったのでは?」
「ええ、そうかもしれないわね。それにしても、起きてもご機嫌で誰もいないのに泣かないなんていい子ね」
微笑むお母様に抱き上げられ、優しくあやされる。
まぁ、精神年齢大人ですし、いくら身体に引っ張られて泣きやすくなっていても周りに誰もいないぐらいじゃさすがに泣けないよね。
「奥様、第二夫人の件大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
「しかし、なぜ今になって奥様もいらっしゃるのに第二夫人を娶るなどという話が出るのか。
まぁ、セレスタイト王国や周辺諸国で一夫多妻や一妻多夫が認められているのも、そうなさっている貴族の方もいるのも存じ上げています。
ですが、アウイナイト公爵家はずっと一夫一妻ですし、何よりお嬢様が御当主になる事だって出来ます。
それなのに、無理矢理第一子が女の子であるを理由にして、第二夫人を娶る事を勧めてくるなんて酷い話です」
あっ、なんか重要な話してる。あー、この辺りで第二夫人ができるんだ。それにしてもマーサ凄く怒ってるね。
「でもね、お義父様とお義母様が亡くなられた時、まだリエールは当主では無かった。それを、カルミア侯爵家当主エーアガイツ様の力添えもあったお陰で、支障なく当主になる事ができたのは貴女も知っているでしょう。
それに、セレスタイト王国は女性でも当主になる事ができるけれど、やはり男性の当主が多いのも事実。実際、女性が当主になる時は障害が多いと聞くわ。であれば、周りに第二子や第三子で男の子を望まれるのもわかる。そうなると私ではダメだもの」
「奥様……」
「もちろん、もし授かる事があるのであれば、私は産むつもりだけれどリエールは反対するでしょうし。それに妊娠の可能性が低く身体の弱い私よりも、若くて元気で恩のある侯爵家の令嬢を第二夫人に勧められて断れなくても仕方が無いわ」
お母様、辛そうだな。でも、私にはまだ何もできなくて……悔しい。
けれど、一つだけ分かったことがある。お母様は次にもし妊娠して、その時に自分の命が危うくても産むつもりだ。多分、お父様に反対されても産むだろう。
であれば私は守るだけだ。アーテルの事を。姉として、母代わりとして、時には父代わりにもなって必ず守る。だって本来のマグノリアならそうしただろうし、私もそうしたいから。
もちろん、お母様が助かる道も探す。無理かもしれない、でもやれる事は試してみる。せっかく貰ったスキルと称号、チートなんだからなんでも使ってやるんだ。