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冒険者ギルドで昇格試験

 次の日に思わぬ予定が入ったので、今日は薬師ギルドへ行くのをやめた。

 私は、宿に帰ってアーテルと話す。


「はぁ、びっくりした」

「姉さま、大丈夫?」


 大丈夫だと答えながら考える。

 私の実力を見せるのは構わない。

 けれど、アーテルがどこまで出来るかは私も把握してないんだよね。

 その事を本人に聞こうと思ったけど、その前に一つ注意をしないと。

 部屋に防音の結界魔法を張ってから話す。


「アーテル、もし今日みたいに思いついた事があってもすぐに行動しちゃだめだよ」

「うん? どうして?」

「私達はあんまり目立っちゃダメだから」


 私がそう答えるとまだ少し不思議そうな顔をしている。

 まぁ、私がエルフな時点で目立つんだけど極力目立たないようにしたい。

 何より、ああいう時は一度相談して欲しいんだ。


「私達は誘拐されたでしょ。あれは誰かが私達の命を狙ってたから。それは分かってるよね?」

「うん」

「だから、あまり目立って私達が生きている事がセレスタイト王国の誰かに知られると困っちゃうんだ」


 アーテルはハッとした顔をして頷く。

 うん、伝わったみたい。


「だから、もし何か思いついた時は私に相談してから行動してするようにして欲しいな」

「はい。ごめんなさい」

「謝らなくてもいいよ。アーテルだって私が悩んでたから聞いてくれたんでしょ?」


 そう問いかければ、すぐにうんと答える。

 私もそれは分かっている。

 なので、アーテルの頭を撫でてから本題に入る事にした。


「ところで、アーテルもレルスさん達に魔法とか色々教えてもらってたよね?」

「うん、いっぱい教えてもらったよ」

「今、どのくらい使えるのかな?」


 そう聞きながらついでに鑑定でアーテルのステータスを見る。

 そういえば、初めて見るな。

 お父様達はお母様の件があったから、種族以外の詳細な鑑定はしていないみたいだったし。


 アーテル・アウイナイト

 種族︰精霊(闇)

 年齢︰6

 魔力︰7

 状態異常︰なし


 基礎属性

 火︰2 水︰3 風︰3 地︰4

 闇︰8 無︰3


 特殊属性

 氷︰4 毒︰1


 スキル

 闇魔法︰8 影魔法︰1 眷属︰1

 偽装魔法︰3 魔力察知︰4 魔力操作︰5

 解体︰1 罠︰1 料理︰1

 清掃︰1 念話︰3 弓術︰1

 剣術︰5 格闘術︰2 気配察知︰2

 物理耐性︰1 精神耐性︰5


 称号

 先祖返り

 闇の精霊王の加護

 努力家


 おっおう。いや「薔薇騎士は愛を紡ぐ」のキャラクター達は、全員能力が高い描写があったけど、やっぱりアーテルもチートなのね。

 それに、闇の精霊だけあって闇属性の属性レベルと闇魔法のスキルレベルが高い。

 後は、私と同じようにレルスさん達に教えられた技術をスキルとしていくつか取得出来てるのか。

 ふむふむ、アーテルは私と違って剣術の方が得意なんだ。私は弓術の方が好きだし得意だから、バランスは取れてる。

 そして、料理や掃除は私のお手伝いをよくしてくれてたから取得できた感じか。

 魔力察知や魔力操作が高いのは、魔力が多い事と種族特性の影響だと思う。

 で、称号だけど先祖返りと努力家は分かるとして闇の精霊王の加護とは?

 そこに注目すると説明文が出てきた。


 闇の精霊王の加護

 まず生まれることのない精霊の先祖返りが生まれたことを知り、精霊王が健やかに育てよと思って与えた加護。

 闇属性の成長率が上がる他、精神耐性や種族に関連したスキルの成長が早くなる。

 また、他の闇の精霊に愛されやすい。


 おっおう。二度目のおっおうが出たよ。

 あれま、アーテルが生まれたことを闇の精霊王様はご存知って事か。

 これは、すごくびっくりした。

 私、今日驚かされ過ぎでは?

 この称号はギルドでの驚きを超えてきたよ。

 私がアーテルのステータスで色々と考え込んでいると、アーテルに呼ばれた。


「姉さま? ぼくの話聞いてる?」

「あっ、ごめん」

「もー」


 うん、今のは私が悪い。

 質問しておいてこれは無いわ。

 そこからきちんとアーテルの話を聞くと、やはり剣術の方が好きだし得意だと。

 そして、魔法は私が教えてもらったのと同じように、大体の攻撃魔法は使えるようになっているらしい。

 これなら、明日の実力試験みたいなやつも大丈夫かな。

 一安心した私は、アーテルと共に宿の食堂で夕食をとって早めに寝ることにした。




 次の日。

 空を見ると生憎の雨。

 試験の日なのに幸先悪いな。

 と思ったけど、そこまで関係ないか。

 私もアーテルもチートだし。


「姉さま、おはよう」

「おはよう。今日は早起きだね」

「だって、試験が楽しみなんだもん」


 うん、アーテルってこういうの好きだよね。

 まぁ、変に緊張してないなら良かった。

 二人で支度をして、食堂に行く。

 今日も美味しい料理を出してもらって、元気いっぱいだ。


「試験、無理しすぎないようにね」

「はい」

「怪我に気をつけるんだよ」

「ふふ、はい、ちゃんと気をつけますね。心配してくださってありがとうございます」


 ベランカさんは、私達が冒険者ギルドの実力試験みたいなのを受けると知って、昨日からずっと心配してくれている。

 少しくすぐったいけど、心配してもらえるのはとても嬉しい。

 お父様やマーサ、後はレルスさん達に言ったらみんなも心配してくれたんだろうな。

 気持ちがちょっとしんみりしちゃったけど、切り替えなくちゃね。

 食事が済むと部屋に戻って、準備の確認をしてから宿を出る。


「アール、頑張ろうね」

「うん!」


 ギルドに向かうと、既にマカレナさんがいる受付の横でギルドマスターが待っていた。

 いや、午前中って言ったしこれでも早く来たんだけど、アーメッドさん気が早くない?

 私の顔を見て察したのか、マカレナさんが苦笑いを浮かべていた。


「おはようございます。今日はよろしくお願い致します」

「おはようございます!」

「おはよう。アール君は元気だな。うむ、子供が元気なのはいい事だ!」


 うん、いい人なのは分かるんだけどね。

 なんだろう、せっかちなのかな?

 私がそんな事を考えていると、マカレナさんがそっと近づいてきた。


「おはようございます。ギルドマスターは、久しぶりに現れた期待の新人が楽しみすぎて、朝から待っていたんですよ。あの、圧が鬱陶しいと思いますが、気にしないでくださいね」

「ふふ、はい。そういう事だったんですね。分かりました。気にしないように努めます」


 ああ、そういう事か。

 期待の新人って思ってくれるのは嬉しいけど、こんな所でギルドマスターがずっと居たら目立つでしょうに。

 そして、そんなに目立っていたギルドマスターと話している新参の私達にも視線がビシバシ飛んでくる。

 うん、目立たないようにするのは無理かもしれない。

 マカレナさんの誘導で訓練場に移動し始めたけど、周りの人達もついてきていた。


「あの、皆さんついてきてるんですけど」

「すみません。他の職員が大声でFランクが昇格試験を受けるという事を言ってしまったんです」

「出来れば、あまり目立ちたくないんですが」

「本当にすみません」


 あのー、情報管理! これ大事だよ!

 まぁ、マカレナさんが悪い訳じゃないからこれ以上の言及はやめよう。

 訓練場に着くとそこは思った以上に広い空間だった。


「まずは、リアさんの方ですね」

「はい」

「あちら側に的があるのでそこに矢を射ってください。後半は魔法でお願いします」

「分かりました」


 数メートル先や数十メートル先にある的を狙う。

 これでも弓術の腕はレルスさんに褒められてるからね。

 集中して素早く射る。どの矢も的の中心を射抜けていた。


「ふぅ」


 次は魔法だね。

 まぁ、こっちはボール系にアロー系、後は少し難しいエッジ系で狙おうかな。


『ウィンドボール』


 放たれた風の球は的に命中して、切り傷を与えながら弾き飛ばした。

 ちょっと力んで魔力を込めすぎたかも?

 まぁいっか。次にいこう。


『ファイヤーアロー』


 発動した火の矢は的にあたって、的を燃やす。

 うん、上手くいってる。


『アイスエッジ』


 氷の刃は的を半分に切りながら凍らせる。

 これで全部かな。


「終わりました」

「はい。お疲れ様でした。次はアール君の番です」


 アーテルは自分の番が来て嬉しそうだ。

 まぁ、大丈夫だろう。

 そう考えながら見ていた人達の話に意識を向ける。


「あの女の子強いな!」

「エルフだとしても、魔法の威力が高いし弓の精度もすごいわ」

「こりゃ、ギルマスが受付で待つわけだ」

「二人だけのパーティーみたいだし、これはみんな狙うわね」


 うん、目立ってる。目立たないようにってのは無理だったね。

 後、狙うって何? まさか、パーティーに勧誘されるって事?

 おっおう。面倒くさそう。どうせ全部断ることになるし……。

 そんな感想を抱いていると、マカレナさんが説明を始めた。


「アール君は剣術が得意だとお聞きしたので、リアさんとはまた内容が違います」

「はい!」


 まぁ、剣で的を切っても微妙だよね。

 さて、アーテルのはどういう試験なんだろう。

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