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在宅勤務で倒せ大魔王!~または30過ぎ無職うつ病魔法使いの異世界リハビリ生活~  作者: 於田縫紀
第7章 闇の到来

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第38話 実家で親父に聴取した

 普通に歩くと1日、健脚だと約1時間。

 アベリアの街に到着する。

 アレクフォード男爵家の本拠地と言えば多少は聞こえがいい。

 実態はただの田舎町だが。

 俺は領主様の屋敷こと俺の実家へ。


「あれ、サクヤ様。御帰りですか」

 門番も顔見知りだ。

「ちょっと親父に聞きたいことがあってな。今、いるか」

「はい、特にお客様も来ておりません」

 なら入るとするか。所詮は勝手知ったる元実家だ。


 一応執務時間なので親父の執務室の扉を直接ノックするのは避け、隣の秘書官室を先にノック。

「失礼、ちょい親父に話があるけれど大丈夫かな」

「今なら問題ありません。ヴィットリオ様、サクヤ様がお話があるそうです」

「よし通せ」

 そんな感じで親父の執務室へ。


「どうした。今度は農民が嫌になったか」

 この家を出たのは1年ちょい前だ。

 でもその時と比べると大分親父殿、老けた感じがする。

 口調等は変わらないけれど。

「使用人が有能なんで何とかなっている。ところで王国軍がまもなく北へ侵攻するという話、本当か?」

 面倒なので単刀直入に尋ねる。


「情報が早いな。もうニルカカ辺りまで行ったか」

「という事は本当なんだな」

「ああ」

 親父はため息交じりで頷いた。

「北東の熱帯雨林を攻めて王国の版図を広げ、過去に例のない広大な領土と繁栄を得るんだそうだ。サクヤ、ユパンキ大司教は知っているか」

「その名前は初めて聞いたな。北で広がっていると聞く獣人排斥宗教の関係者か?」

「その辺は儂は知らない。ユパンキ大司教はチンチャイを拠点にしているインティ神殿ユパンキ派を率いる上級神官だ」

 チンチャイとはこの国の北部地方の中心地だ。


「昨年の流行風邪でセサル王子の様態が悪くなってな。御典医では一向に良くならなかったのを、ドメネク侯爵が呼び寄せたユパンキ大司教が治療したそうだ。それ以来国王と王妃、特に王妃からの寵愛を受けてな。国政にも口出しするようになった。今回の大侵攻も奴の提案だと言われている」

「そんな怪しいのが国政に関与しているのか」

「ああ。既に国王の周辺はおべっか使いばかりだ。アランダ公も宰相を辞して自領へ戻ったし、ラプラタ伯もほぼ同時に主席顧問官を辞した。もう王都には碌なのが残っていない」

 思った以上に酷い状況だ。

 元々腐っていたのがもう腐敗を通り越して液状化しそうな勢いだ。


「一応確認するが、まさかうちの家もその侵攻に加担させられたりしていないよな」

「国王自らが御出陣なさるそうだ。他に加わっているのは現国王の取り巻きばかりだな。ドメネク侯、サンティアゴ伯、ドゥフル伯爵といった辺りだ。軍も第一師団と第二師団の他、魔法師団から2個旅団、更にインティ神殿ユパンキ派の上級神官等も随行するそうだ。

 男爵家も幾つかは出陣するようだ。でも生憎うちは国王の覚えがそれほどめでたくも無いのでな。ここで待機だ」

 ちょっとほっとする。

 

 でも国王自ら出陣で、更に魔法部隊も出す訳か。

 本気の侵攻と言ってもいいだろう。

 それでも現場は見通しのきかない熱帯雨林だ。

「密林地帯で獣人を敵に回して、被害に見合う成果があるとも思えないな」

「この先長く伝え広められる英雄的侵攻だと当事者達は言っているがね」

 今日の親父、異常にため息が多い。

 確かにそんな国政と付き合うとため息も出るだろうし老けもするだろう。

 なんだかな、という感じだ。


「王都も以前のような活気はもうない。特に商人どもが一気に減ったな。目端の利くやつらはもう今の王国を見限っている。近隣に攻めてくるような有力な国が無いからまだ何とかなっているけれどな。

 うちの家も周りを固めて有事に備えている状態だ。まあこんな貧乏領地、攻める処も無いと思うがな」


 ラウルにかつて聞いたのと比べ遥かに酷い状態だ。

 俺が軍にいた頃もいい加減腐っていたがそんなレベルじゃない。

 この国はいったいどうなったんだ。

 明らかに何かおかしい。


「なら一介の農民としては大人しく開拓村に引きこもっているのが正解かな」

「お前が軍をやめたのは正しかった。今ならそう判断するところだ」

 辞めた時は思い切り雷を落とされたが。

 となると心配なのは王都にいる筈の兄貴達だ。

「兄貴達は大丈夫か」

「2人とも下っ端官僚として振り回されているようだ。帰ってきていいと言ってあるが、お前ほど不真面目でも思い切り良くもないからな」

 まあ軍には行っていないので今回の遠征で犠牲者になる事は無い。

 それが救いと言えば救いか。


 どうも一度王都を見てみた方が良さそうな気がする。

 宮殿に入らないまでも、近くに行くだけで感じる何かがあるかもしれない。

 最悪の場合2人の兄貴のどちらかに色々聞いてみてもいいだろう。

 聞くとすれば次男のアルバロ兄だな。

 上のエリアス兄は四面四角で何も話してくれない可能性が高いから。


「わかった。今日はこれで帰る」

「ああ。しかし何故こんな事を聞きに来たのだ」

「辺境だと獣人とのつながりもあってな。色々噂が流れて来たから本当か確認しに来たんだ」

「なるほどな」

 一応納得はしてくれたようだ。


「それはそれとして、たまには挨拶に来い。久しぶりに来たと思ったら情報収集だけとはちょっとな」

「農家は色々忙しくて暇がなくてさ。今日も使用人に無理言って来たところだ」

「まあ無理せん範囲でな」

「ほいほい」

 そんな訳で俺は実家を辞して、念のため町の外れに移動魔法用のアンカーを設置した後、王都へ向けて健脚で走り出した。

 

 

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