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在宅勤務で倒せ大魔王!~または30過ぎ無職うつ病魔法使いの異世界リハビリ生活~  作者: 於田縫紀
第6章 国の動静。俺の動静。

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第36話 ちょっと寄り道

 最近、外の時間とこの世界の時間が少しずつずれて来た。

 以前はきっかり中の時間の3日=外の世界の1日だった。

 それが今、中の世界の2日半=1日という感じだ。

 おかげで外で動かなければならない時間を空けるのが大変だ。

 俺の場合は時間が決まっているのはせいぜい心療内科の予約時間くらい。

 後は昼だろうと夜だろうとコンビニ飯だ。


 でも会社勤めとかそう言った外の世界と密接につながっている人はどうしているのだろう。

 少し考えて気が付いた。

 俺ほど廃人プレイをしていないから問題ないのだろう。

 外の世界とゲーム世界を区別して、ゲームはあくまでゲームとして遊ぶ。

 あとは基本的にコンピュータの自動プレイ。

 あのケモナーなトンロ・トンロの村長もきっとそうやって社会的に正しく生きているのだろう。

 いや、彼の場合は少々怪しいかもしれないな。

 いずれにせよ俺のゲーム世界への入り浸り具合は異常だ。

 両親親戚縁者友人恋人その他がいたらパソコンを取り上げられ強制入院させられるレベルだろう。

 その辺は俺自身わかっている。


 ただファナの表情変化だのニルカカの村人だのあの辺を見ていると、とても単なる演算世界、VRMMO世界とは思えないのだ。

 志村氏はビッグ・バンから演算して自然発生させた世界だと言っていた。

 その世界で自然発生で出て来た生物は俺達と同じように意識を持つのだろうか。

 それともそんな考えは単なる感傷みたいなものなのだろうか。

 確かめる方法は無い。

 そして俺は今日も『プルンルナ』世界に入り浸る。

 社会的に間違っていると分かっていても。


 こんな事を考えたのは時間がずれてきたからだけではない。

 創造神(うんえい)にある特別な魔法を渡されたせいでもある。


『この絶対封鎖魔法(シバルヴァ)は『プルンルナ』世界の魔法では倒せない大魔王及びその出現を助ける者に対抗するための魔法です。具体的には発動対象を単体サーバの中に封じ込め、外部ネットワークとの接続をリレーで物理的に遮断します。厳密には発動対象以外を他のサーバに追い出した後にネットワークを遮断する仕組みなですけれど。

 敵がプログラム的存在なら隔離できますし外部からの通信ならそのまま動かなくなります。いずれにせよこれを使用することで敵の手掛かりを掴むことが出来ると期待しています』


 そんな神託(メッセージ)とともに使用可能な魔法に入っていたのだ。

 これを使えば俺が外部から通信しているのか『アウカルナ』世界群内に自発的に誕生したプログラムなのかはわかるかもしれない。

 ただ創造神(うんえい)の説明が真実かどうかは残念ながらわからない。

 それもあって今はまだ使わないつもりだ。

 それに俺の優先順位は決まっている。

 ファナの幸せだ。

 たとえそれが他から見て社会的に間違っていても。


 さて、1月になった。

 学校もどきというか私塾は相変わらず続いている。

 取り敢えず皆さん文字は書けるようになった。

 表音文字だから文字を読み書きできるようになると色々進歩が早い。

 行商人が書いた伝票に何が書いてあるかも理解できるし本もゆっくりなら読める。

 ただ算数は結構皆さん進度がバラバラ。

 指で数えられる数の加減算は何とか全員クリアした。

 でも2桁になると辛い者若干名。

 3桁以上の計算で手間取っている者若干名。

 計算する数が3個以上になると手間取る者が若干名だ。

 ちなみに早い子は掛け算九九の暗唱まで行っている。

 元々その辺まで出来ていたファナは分数に入る処だ。


「頑張れ、この辺の計算が出来ると自分で徴税使と渡り合えるぞ」

「それは流石に村長かイバン、サクヤさんにやってもらうつもりだがな」

「でも行商人と渡り合う時も便利だぞ。儲けがどれ位かわかるし」

 数学はもう各自用にプリントを作っている状態だ。

 当然そんな物を作るのは俺の仕事。

 なので畑仕事等はほぼ使用人の5人に任せきりになる。

 なお使用人の皆さんにも文字学習のプリント等を渡してある程度指導はしている。

 やっと皆さん数字と一桁の加減算までは出来る状態になった処だ。


 そして休憩時間は。

「輝け俺の拳。唸れ俺の腕。今、必殺のダイナマイトパンチ!」

 ホセがそう叫んで身長程もある巨大な岩に右ストレートを繰り出す。

 ズドードン!

 低い音が響き、次の瞬間!

 ビシビシビシビシビシビシッ……

 バリッ、バリバリバリバリ……

 岩が見事に割れた!

 周りを取り囲んだ俺と生徒一同から惜しみない拍手が巻き起こる。


「ふふふふふ、もうこれでクマ魔獣なんかに後れを取らないぜ」

 ホセはダイナマイトパンチの魔法をマスターした!

 でも俺はそんな魔法を教えた覚えは無い。

 この世界が舞台のゲーム『パリアカカ』にだってそんな魔法は存在しない。

 これが裏設定という奴だろうか。

 いや、きっと違う。


 まあホセは別として、他の皆さんもそこそこ初歩の魔法は使えるようになった。

 一番小さいルスちゃんさえほぼ熱魔法は完全に使える状態だ。

 これで今後は冷凍処理に俺やファナが走り回らないで済む。

「これでジャガイモ収穫の時は俺達が冷凍だの伝票書きに走り回らないで済むな」

 今度は楽をするぞ!

 いや収穫の時はどうせ俺も働くのだけれど。

 でも日のある間は収穫して、夜になったら灯火魔法を使いながら人様の収穫物を数え上げ伝票を作るなんて地獄な作業、もうたくさんだ。

 今度は自分の家の収穫分だけ頑張るぞ!

 そんな俺の思いを感じたのかファナがぼそっと言う。

「でもサクヤ様は皆さんに信用されていますし、きっと今回の収穫期も色々頼まれると思います」

 いやそんな予想は聞きたくない。

 お願いだ皆頑張ってくれ。

 頼む!

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