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在宅勤務で倒せ大魔王!~または30過ぎ無職うつ病魔法使いの異世界リハビリ生活~  作者: 於田縫紀
第5章 影の気配

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第28話 同類相憐れまない

 予想外の形でだが取り敢えず戦いは終わった。

 俺達はそのままこの街の長の処へ案内される。

 こうやって歩いてみるとなかなか大きな街だ。

 2階建て位の木造建物がずらりと並んでいる。

 獣人も遺伝子的には一般人と同じなんだよな。

 どうしてもファンタジー脳だと色々偏見が入ってしまうけれど。


「親分、お連れしました」

「町長と呼べ、町長と」

 そう返してきた男は獣人としては割と小柄だ。

 耳の感じからすると犬系の獣人だな。


「どうも失礼しやした。あっしはここトンロ・トンロの町長でジョン・デ・ベロと申しやす」

 そんな口調だから町長じゃなくて親方と呼ばれるんだ。

 そう思ってふと気づく。

 ジョン・デ・ベロという名前に聞き覚えがあるような……

 ちょっと探ってみるとするか。

「まさかトマトが苦手とかありませんか」

 自称町長はにやりと笑う。

「次はニンジンだな」


 あ、やっぱりこれは……

 でもその前に。

「町長すみません。ファナをちょっと待たせておく部屋か何かはありますか」

「何なら俺が……いや駄目か。仕方無い、部下に街を案内させよう。よう、トッド。お嬢さんにこの街を案内しろ。お前じゃなくてプリシラに案内させた方がいいな。くれぐれも丁重にな。

 あとこの部屋にはローサ以外誰も入れるな。ちょい秘密の会議をする」


「じゃあファナ、ちょっと街を案内してもらっておいで。何なら何か買ってもいい」

 財布をファナに渡す。

「わかりました」

「じゃあトッド、頼むぞ」

「了解です、親方」

「町長と呼べ」

 ファナ達とほぼ入れ替わりでローサが入ってくる。

 扉が完全に閉まった事を確認した後。


「いや、まさかあの映画がわかる奴が来るとは思わなかったな」

 自称町長がそう口を開いた。

「あれは一度見たら忘れない映画でしょう。あまりに酷すぎて」

「そうか。俺はエド・ウッドの一連の映画に比べればよっぽどましだと思うぜ。少なくとも笑える」

「ストーリーが無茶苦茶すぎます」

 ジョン・デ・ベロというのはアメリカの映画監督だ。

 トマトというのはこの監督の『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』という映画の事。

 内容を説明するような野暮な真似を俺はしたくない。

 何なら自分で見てみればいいのだ。

 ただ見た後に時間を返せと言われても俺は関知しない。


「あんな映画を見てみようなんて思うのがそもそも希少な人間さ」

「たまたまです」

「本当か。テストをしてみるぞ。シャークネードシリーズは全部で何作!」

「5作!」

「スペースボール、冒頭の『エピソード11』というテロップの後」

「読めた人は近眼ではない!」

「プリズナーNo.6、白い風船ことローバーが追いかけてくるのはどの警報?」

「オレンジ警報!」

「海外ドラマまで新旧まんべんなく網羅しているカルト映画大好き人間じゃないか!」

「ああ、しまった!」

 そんな茶番をやっている俺達をローサが冷ややかに見つめる。


「何やっているの、あなた達」

「いや、ちょっとご挨拶をな」

 まあ冗談はともかくだ。

 こいつは間違いなく俺達の世界の人間だ。

 でも獣人なんてクラスは設定には無かった筈。

 では一体何者なんだ。

 このカルト映画監督の名前を騙る奴は。


「ジョンも使徒(プレイヤー)よ。賢者までレベル上げした後、獣人化魔法を手に入れて狼の獣人になったの。でもそのせいで魔法適性が軒並み外れて現在はそこそこ強い魔法使い程度ってところ」

「獣人プレイはケモナーの夢だ! でも何故か可愛い獣人の女の子にモテないんだよな。魔法が使える獣人なんてモテモテだと思ったのにさ」

 俺は理解した。

 こいつはきっと色々ダメダメな奴だ。

 趣味が広すぎて下らな過ぎて一般社会にとけ込めない奴。

 博識なんだけれど世間の役には立たないタイプだ。


 あと俺はローサが使徒(プレイヤー)と紹介したのに気付いている。

 つまりジョンは使徒(プレイヤー)だ。

 そしてローサや俺が会社側の人間だと知らず、同じ使徒(プレイヤー)だと思っている。

 そういう事だろう。


「さて、この戦闘だが一体何がどうしてこうなったんだ。俺は途中参戦だから発端が何か全くわからないのだけれども」

「発端も何も、あの男と兵隊がいきなりこの街を襲ってきたのよ。たまたま私がいたから最初の劫火呪文を防御して、あとは兵隊対獣人、私対あの男となった訳。結果的に兵隊側が街の周囲を固めこっちが塀の内側で防御する形になったけれどね。火矢とか火球魔法とかはジョンでも防げるから」

「そう言えば最後の敵兵隊虐殺は旦那の仕業か」

「俺じゃない。あれは敵、ローサがあの男と言っている奴がやった事だ」

「何故だ。理由がわからんな」

「こっちもわからないわよ。奴が何を目的にしているのか」

 ローサの台詞で俺は気づく。

 どうやら神々の話とかはジョンには話さないつもりのようだ。

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