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代償愛  作者: リリ
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初めの物語

私たちが門をくぐると…


「ようやく来たか…サリエラ、リラ…そして、神の子と竜の子、初めまして。我が名はヴェ…いや、今はアカメ・ベルエールと言う名の破壊者だ。」


真っ赤な鱗、黒龍門の黒龍の10倍は大きな身体…

そして、私が初めてアカメとあった時の大きな赤い目と強靭な手足…


レイナがアカメに挨拶をする。


「こうして会うのは初めてですね。改めまして、私は神竜の子…名はレイナ・アストロと申しますわ。」


アリスもアカメに挨拶をする。


「初めまして大きな竜神様!私は竜人のアリスだよ〜」


はっきりとは覚えてはいないが、確実に私はあの姿を…全く同じ姿のヴェルを知っている!

根拠も理屈も無いけど、絶対にヴェルを知っている!

私はアカメを見て言う。


「アカメ、その姿って…誰なの?」


アカメは少し困った様に目を細めながら言う。


「まあ、待て。これから話す事に全て答えがある。もちろん、リラが幼い頃に知りたいと言っていた事も答えよう。」


リラが珍しく食い入る様に言う。


「リラのオトーとオカーの事、知ってるの?!オトーとオカーは生きてるの?!何処にいるの?!」


アカメは目を閉じて言う。


「落ち着くのじゃ…我がわざわざこの姿になってまで話す事に答えがある。だから、今は黙って話を聞くがよい…」


しばらくの沈黙の後、アカメは目をゆっくりと閉じて話し始める。


「これは数百年前に存在したある2人の研究者によって生み出された、遠く極東の破壊者の竜人と信じ続けた化猫の物語である…」







時は超古代文明の時代…

この時代は君たちの住む現代より少しだけ高度な技術社会だった。

そんな世界にとある研究者が居たのだ。


「001(ダブルオーワン)が分裂した時は驚いたが実験は大成功だ…ついに私は成し遂げたのだ…!」


1人の女が緑の溶液に浮かぶ2つの塊を嬉しそうに見ながら言う。


「これが箱状の物質の異常能力生命体(アンティラの箱)の力を使って創った、最初の龍と人の遺伝子を持つ者…竜人かぁ…」


1人の女は緑の溶液に浮かぶ2つの塊をうっとりとした表情で見る。


「おや?こちらの002(ダブルオーツー)も大きくなってきたね。」


女は隣の溶液に浮かぶ1つの塊を楽しげに見て言う。


「こいつが完成すれば、世界で一番強い子になるぞ…どんな生物も兵器も異常能力体(アルノーツ)もこの子の前では無力さ。001の抑止力として限界まで強い遺伝子を組み込んだからね。ほんとに苦労したんだから、001も君も順調に大きくなってくれないと困るよ〜」


女の名はメルティア・ノーレンス。

君たちの世界で言う科学者だ。

それも君たちの想像するより遥かに高度な技術や知識を持つまるで魔法使いの様な科学者だ。

ただメルティアの場合は我々の常識が一切通用しない異常能力体による超常現象を使った人体実験や生物兵器を開発している科学者と言ったところだが…


「ンフフフフフ♪この調子でどんどん強い子を作っちゃうぞ〜」


メルティアはさらに研究を進め始める。



半年がたった頃、メルティアは緑の溶液の前で喜びに包まれていた。


「おおー!001は2人ともだいぶ人らしい身体になってきたねぇ〜」


そして、その隣の溶液に浮かぶヒトを見て言う。


「002の君は猫耳が生えてきちゃったけど、それはそれで萌え要素があっていいねぇ〜」


そして、その隣で赤い溶液に浮かぶヒトを見て言う。


「君はこの遺伝子も受け入れたのか…じゃあ、これもやってみようかな?」


メルティアが赤い溶液に浮かぶヒトに機械で何かを打ち込んでいく。


「Project X…君が完成すれば、私が死んだ後も間違いなく、私のほぼ全ての生物兵器をコントロールし、また新たな生物兵器を生み出せるだろう…001や002ほどとはならなくても、素晴らしい力を持った破壊兵器になってくれるよね。」


メルティアは楽しそうにその様子を見る。

まるで破壊兵器を生み出す事だけに喜びを感じているかのように…

ただただ喜びの声をあげる。




数ヶ月後…


「ンフフフフフ♪やっと、皆、ここまで大きくなったねぇ…感動ものだよ。」


メルティアは溶液に浮かぶヒトを全て取り出してうっとりと眺めている。


綺麗な夕焼け色の髪を揺らして猫耳の少女が言う。


「メルティア…楽しそう…アリアもする…」


白い髪の少女が言う。


「アリア、メルティアの邪魔をしたらダメだよ。エクスとあっちで遊んでる約束でしょ!」

「だって…エクス…ゲーム…ヘタクソ…」

「むぅ〜!そんな事ないもん!パズルならエクスだって、アリアより早く出来るし!」

「パズル…楽しくない…アリア、パズル嫌い…」


メルティアは嬉しそうに緑の溶液を見て言う。


「たった今、君たちの弟と妹が完成したんだ!君たちもしっかりと見るといい!」


アリアは無言で興味ありげに見つめる。

エクスはやれやれと言いたげに言う。


「メルティアはエクス達が居るって言うのに、まだそんな事をしてたんだ。」

「あら?この子達の方が君たちより早く作り始めててよ?」


エクスはよく分からないと言いたげに言う。


「ふ〜ん…じゃあ、お姉ちゃんとお兄ちゃんなのかな。」


アリアはバレバレだが、興味津々なのを隠すかのように目を背けて言う。


「後から生まれた…にいとねえ…面白い…」






しばらくの月日が流れた。


「すげぇ…これが俺の新しい姿か…」


赤い鱗の龍が楽しげに飛び跳ねる。


「ヴェルってば、はしゃぎ過ぎだよ。研究所が壊れたらどうするの?」


青い鱗の龍が言葉とは裏腹に楽しげな声で言う。


「レイスだって、嬉しそうじゃん。俺はもっともっと強くなるんだ!」

「はいはい。まあ、程々にしなさいよね。」


エクスはそんな2人を見て言う。


「すごーい!二人ともすっごく大きくて強そうだよー!」


猫耳の爪が長い少女が言う。


「アリア…爪伸びた…」


エクスはその爪を見て言う。


「おおー!何でも斬れそうな凄い爪だね!レイスとヴェルの爪より強そうだよー!」


そんな4人を見ながら、一人の科学者が言う。


「お前たち、今日から新しい家族が増えるよ。こっち来な。」


4人は科学者に連れられてとある部屋に入る。

そこには特に優秀な戦闘能力のある8人の子供がいた。

1人はヴェルと良く似た赤い鱗の竜人、もう一人はレイスと良く似た青い鱗の竜人、さらにはアリアに良く似た容姿で黒い体毛の猫耳の少女が居た。

他には羊みたいなヒトや、人狼に犬のようなヒト、妖狐も居たし、ゴリラみたいな人も居たし、性別の違うヒトも居た、とにかく様々なヒトが居たんだけどね。

どれもメルティアの手によって作られた最強格の生物兵器だ。


「はい。それじゃあ、皆、自己紹介よろしくぅ!」


メルティアがそう言うと桜色の髪の妖狐が真っ先に前に出て元気よく言う。


「あいあいさー!うちはリシェアールと同じ妖狐のメスのアリシアやで!リシェアール共々、これからよろしゅうしたってや!」


続いて銀髪の妖狐が静かに前に出て言う。


「リシェアール…よろしく…」


黒い体毛に覆われた人狼が言う。


「僕は人狼のオスの如月だよ!よろしく!」


黒い体毛の化猫が言う。


「俺は化猫のオスのアングリッテだ!よろしくな!」


モコモコの白銀に輝く長い髪に黄金の巻いた大きな角が輝く少女が震えながら言う。


「私は金角(ゴルドシープ)のメスのゴーテスです…よろしくお願いします…」


その後、それぞれの自己紹介を済ませる。



数年後…


あれからすぐに戦闘訓練が始まり、その訓練も終盤に差し掛かっていた。


「それじゃあ、生き残った君たち6人…いや、正確にはここまで逃げずに耐えた6人には、これから私の支持した地点での近隣の村の破壊行動と超常現象を引き起こす異常生命体との戦闘を想定した訓練をしてもらう。」


アリアが不満そうに言う。


「村も…破壊するの?」


メルティアはニコニコと笑顔で頷く。

アリアは静かに目を閉じるとそれ以上の発言はしなかった。


何故なら、メルティアは残った6人をまとめて相手にしても無傷で軽々と攻撃を避け、的確な一撃を加えれる圧倒的な戦闘能力を有しているうえに製造者だけあって、6人の体の特徴を熟知しており、性格による戦闘傾向も完全に理解しているので、勝ち目は無いと考えているからだ。


アングリッデは嬉しそうに目を細めていた。



数日後、メルティアからそれぞれにある地点が支持される。


ヴェルとアリアは極東地域の全域、アリシアは中央地域の南東部、アングリッデは南の広大な大陸、如月は遠く北の氷河地帯全域、ゴーテスは南の氷河の大陸地域全域だった。


ヴェルは少し不満げに言う。


「メルティア、どうして俺のところだけ、二人体制なんだよ?」


メルティアは特に気にする様子もなく言う。


「君たちは一緒に居なくてはならない。ただそれだけよ。それ以上でも、それ以下でもないわ。」


ヴェルが怒りを露わにして掴みかかろうとするのをアリアが止める。


「アリア!」


ヴェルが怒りの眼差しでアリアを睨む。

アリアはどこか悲しげな眼差しをヴェルに向ける。


「メルティアの決定は絶対…それは貴方も骨身に染みているはずよ…」


ヴェルはアリアから何かを感じたのか、驚いた様な表情をして大人しくなる。

メルティアが楽しげに言う。


「アリアちゃん、ナイス!私もここで大事な君たちに怪我なんてさせたくないから良かったよ!」

「…」


アリアは何も言わずに目を閉じる。

アングリッデは心の底から楽しげに言う。


「ギャハハハ!お前ら、獲物の取り合いで忙しくなりそうで良いねぇ!ま、お互いに楽しもうや!」


アリシアは少し考え事をしているのか、腕を組んで首を傾げていた。

如月は自分の配置だけを聞いて、すぐに現場に向かった様だ。

ゴーテスが静かに言う。


「メルティアさん、私、ずっと貴方に聞きたいことがあったんです…貴方は私たちを兵器として扱っています。それは良いとして、何故なんの罪もない一般人を巻き込む様な事を命じるのですか?彼らだって、貴方と同じ人間のはずでしょう?」


メルティアは少し沈黙してクククと笑い始める。


「ゴーテスちゃん、君は面白い事を言うね!だが、今回は君の無謀さを称えて、私の目的を教えてあげよう!」


一瞬でその場の空気が変わる。

まるで大蛇に睨まれた子うさぎの様に私たちは瞬きすら出来なかった。


「今回の私の目的は君たちを兵器として完全体に仕上げる事、そして、私の計画を邪魔しようとする組織及び国家、地域の完全破壊を目的としてるのよ。だから、君たちに求めるのはただ一つだけ…」


まるで重力が8000倍になったかのような重圧感が場を支配する。


「私の兵器として、任務を滞りなく遂行しなさい。それだけよ。」




この時点である場所からあの研究者を見ていた"私"はあの研究者が人ならざる者であると認識する。

そして、彼女が何をしようとしているのかも理解する。

しかし、彼女が何故それを行おうとしているのかはわからない。

ただ言える事は、彼女は"世界を破壊によって終わらせようとしている"事だった。

"私"はxxxxが指定された地点にたどり着く前にxxxxが死んだ事にしたかった。

その為に"私"は超常現象を扱う能力でとある科学者の率いる部隊xxxxにxxxxのxxxxをxxxxのシナリオとして伝達した。

xxxxも"私"がこんな事をするとは微塵も思わなかっただろう。

もしxxxxもこれに気づいていたなら…

私は…

………

……


アカメは静かに目を開けて言う。


「今思えば、我は彼女を…アリアを好いていたのかもしれんな…」


何かを感じたのか、リラが一瞬だけ私の方を向いてすぐに目を逸らす。

アカメが少し楽しげにニヤッとする。


「ククッ…そろそろ休憩でもするかの?」


私は皆に目配せをする。

全員が同じ考えだと認識して、アカメに言う。


「続けて…私たちはその先を知りたいの。」

「そうじゃな…」


アカメは再びゆっくりと目を閉じる。


「続きを話すとしよう…」


アカメは再び話し始める。

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