黒龍門の戦い
眠い
いや、関係ねぇじゃんっ!
「秘術:消えぬ炎!」
「はぁ!くらえ!」
「竜の力を見せてあげる!えいや!」
三人の息ピッタリの連携技で黒い人狼の様な敵を撃退する。
「よし!アリス達の勝ちだね!」
アリスが嬉しそうに言う。
「フフッ…僕も頑張った。」
リラが楽しそうに微笑みながら言う。
「にしても…腹減ったなぁ…」
ぐぅーとお腹を鳴らしながら私は言う。
「サリエラは燃費が悪いようだね。」
「リラ、どういう意味だ?」
「お姉ちゃんたち、喧嘩しないでよー」
そんな戯れをしていると聞き覚えのある声がする。
「やっと見つけたわよ…」
「サリナ?!」
サリナはやれやれと呆れた様に言う。
「全く…私が何回死んでも見つけられないんだから困ったものよ。」
「…え?」
何回死んでも見つけられないんだから…?どういう事だ?
私は何が何だかわからなかった。
サリナ…と名乗った化猫の少女は言う。
「あ、そっか。サリエラは私の能力…知らないんだっけ?じゃあ、戸惑っても無理はないか。」
サリナはあの場所の人のはず…
それがなんでここに…?
私の頭ではもう訳がわからなかった。
「サリナ・サーシャは神龍の子なんだよ。この世界が始まる前から生きているの。まあ、今はサリナ・サーシャではなく、レイナ・アストロって名前なんだけどね。」
レイナから発せられるとんでもない事にアリシアールとアリスが驚く。
「なるほどな…あの時の違和感はこのせいだったのか…」
「あら?気づいてたの?驚かせようと思ってたのに…残念…」
「いや、これで気づかないやつはいねぇだろ…」
「それもそうか!」
なんて会話をする二人のすぐ側でアリスとアリシアールはボソッと言う。
「「僕は(私は)わからなかったんだけど…」」
レイナが楽しそうに声をうわずらせながら言う。
「って事だから、これから私もサリエラについて行くからお二人さんもよろしくね!」
「よ、よろしく…?」
レイナが楽しそうに言うのをちょっと戸惑いながら答えるアリシアールを見ながら言う。
「リラ、この辺って狩りして良い場所ある?」
「この辺はさっきの黒いやつみたいな化け物ばかりだから食べられないよ?」
「マジかっ!サリ…レイナの歓迎会ついでにご飯食べたかったのに!」
「でも、もう少ししたら着くと思うよ。」
アリシアールがそう言うと私の身長(155cm)100人分はありそうな巨大な門が見えてきた。
アリシアールが緊張した声音で言う。
「皆、気をつけてね。ここからすんごいのが出てくるから。」
「すんごいの…って?」
レイナがそう言うと巨大な門から私の5倍は体格差のある黒い龍が現れる。
アリシアールはそいつをまっすぐと見て言う。
「ヴェルエールさんに呼ばれてここまで来たんだけど、通してもらえない?」
黒い龍は目を開いてアリシアールを見ると言う。
「我を倒す事が出来れば通してやろう。それがこの地の理…」
「仕方ない…」
アリシアールは私達の方を向いて満面の笑みで言う。
「こいつ、ぶっ倒しちゃお?」
「おー!龍と龍の戦いだね!血が滾るぅ!」
アリスはとても嬉しそうに翼をメキメキと生やして言う。
レイナはアリスを見ながらマジかよって顔をしていた。
「良かろう…我が名は黒竜:エリューシャレイ!かつてこの世の伝説の王となりし龍なり!行くぞ人の子よ!」
「私はサリエラ・ヴェルエールだ!黒竜よ、私たちが相手になってやる!」
私は自身の爪を龍の爪に変化させて力強く地を蹴る。
「僕もやっちゃうぞー!秘術:天津水龍!」
アリシアールの足元から巨大な高圧の水の龍が現れ、サリエラに追従する形で地を抉りながら黒竜へと進んで行く。
アリスはそのまま勢いよく黒竜の前まで走って龍の鱗を纏った拳を突き出しながら言う。
「くらえ!アリスちゃんの必殺ドラゴンパンチ!」
黒竜の左足に当たったアリスの拳からチュドーン!と凄まじい音の衝撃音がなる。
「さぁて、レイナも手助けしちゃうぞっと…大地の龍よ…我が声に傅き…我が命を聞き入れよ!神体強化:土!」
レイナが2倍ほどの大きさの巨大な竜人の姿で土の翼を使い、宙へ飛び、急降下の蹴りを突き出す。
「右足貰い!でぇい!」
サリエラの爪が黒竜の右足に炸裂し、その後から着いてきてた高圧の水の龍がその足に食らいつく。
黒竜が両足のダメージに僅かによろける。
「その眼、ぶっ潰してやる!」
レイナの急降下の蹴りが黒竜の右目を抉る。
黒竜はさすがに痛かったのかそのまま首をうねらせて倒れる。
アリシアールが警戒心のない声で言う。
「ふう…楽勝楽勝っと…さて、ここを通らせてもらうかね。」
「あら?今ので終わりなの?アリス、もうちょっと戦いたかったなぁ…」
アリスは残念そうに先を歩くアリシアールに言う。
レイナもすっかり勝ったと思ってアリシアールの後ろを着いていく。
私は妙な胸騒ぎを感じて黒竜から距離をとる。
アリスがどうしたの?と言いたげに私の方にやってくる。
「おーい!サリエラー!アリスー!もうこいつは動かないから私たちの勝ちだよー!」
アリシアールがそう言うと黒竜の身体が一瞬ピクリと動いた気がした。
私はヤバいと思って慌てて叫ぶ。
「リラ!レイナ!早くそこから逃げて!あいつはまだ倒れてない!」
私がそう叫ぶと黒竜は力強い咆哮をあげながらその巨体を起こす。
「え…?」
「…ッ?!」
黒竜は自身の咆哮で怯んだアリシアールとレイナをその巨大な左腕で力一杯に薙ぎ払う。
アリシアールとレイナは声をあげるまもなく、近くの大木に打ち付けられて気絶する。
アリスと私は即座に戦闘体勢を整えてアリシアールとレイナを戦場から遠ざける。
「あいつ…なかなか狡い事やりやがって…」
私がそう言うとアリスがテンションアゲアゲで言う。
「ヒャッハハハ!龍のくせしてムカつく野郎だぜ!おい!サリエラ!俺様が一人であの野郎ぶっ潰しても良いだろ?」
明らかに先程のアリスとはとは別人格だ…
前に見た時とは性格も性質もかなり違うがおそらくベルゼニュートの人格だな。
私はベルゼニュートとなったアリスに言う。
「それはオススメ出来ないな。やつはおそらく今の攻撃程度じゃ、傷一つつかない。となれば、一人で行ったところで返り討ちにあうのがオチだ。」
「じゃあ、どうしろってんだァ?さっさとあの野郎をぶっ倒さねぇと俺様も表に出られる時間は限られてるんだぜぇ?」
私は少し考える。
そして、今閃いた案をベルゼニュートに伝える。
「ぷっ…はははははははは!単純だがおもしれぇ事考えやがるじゃねぇか!」
「そうだろ?なんたって、相手が相手だからね!」
「よーし!なら、後はてめぇに任せるぜ!ヒャッハァ!」
ベルゼニュートは自身の身体を一気に龍の鱗で覆い尽くし、凄まじい勢いで木々を薙ぎ倒しながら進んで行く。
私もそれに着いていく形で拳を龍の鱗で覆って走る。
「ヒャッハァ!俺様のぉ!全力パンチでもくらいやがれぇ!剛拳!激龍砲!」
ズガーン!と先程のアリスの時より格段に威力の上がった拳が黒竜の胸に深々と突き刺さり、凄まじい衝撃を放つ。
「さぁて!マッサージの時間だ!くらいやがれ!龍拳!ドラゴンメテオ!」
まさに龍の落とした隕石のようなその拳が先程ベルゼニュートが深々と突き刺した胸に突き刺さり、轟音を鳴らす。
ズガカガガガガガガカ!と体格差5倍の黒竜がまるで投げ飛ばされた赤子のようにぶっ飛ぶ。
私はベルゼニュートの方を向いて言う。
「次!」
「ヒャッハァ!言われなくてもわかってらぁ!」
そのままぶっ飛ぶ黒竜を追いかけてその胸にアッパーの殴打を叩き込みながら宙へ飛び上がる。
そのままベルゼニュートが一撃、また一撃とその拳を叩き込む事で黒竜が加速をつけて宙に浮く。
黒竜は反撃しようとするもベルゼニュートが殴った衝撃で自身の身体がそこだけ歪み、ベルゼニュートの盾となるせいで反撃が出来ないでいた。
私は自身の60倍はある巨大な大岩を持ち上げて勢いよく飛び上がる。
私はそれを空中でぶん投げながら言う。
「ちゃんと避けろよっ!おぉりゃあああああああああ!」
ベルゼニュートは私の声を聞いて殴打を叩き込むのを辞めて黒竜の身体を勢いよく蹴り、地上へと退避する。黒竜が殴打から解放されて体勢を整えようとして見た光景に言う。
「なんじゃこりゃあああああああああああああああ?!」
黒竜の悲痛な叫びは大岩の衝撃に掻き消され、黒竜が白目を向いたまま地表に叩きつけられる。
私はベルゼニュートと警戒をしながら黒竜に近寄って言う。
「はぁ…ここ一番でしんどかった…」
「ヒャッハハハ!俺様もあの時より全力で暴れる事が出来て嬉しいぜ。あの時、てめぇがアリスのやつを説得してくれたおかげで俺様は全力で力を使う事が出来た。その借りはきっちり返さねぇとなぁ!」
ベルゼニュートは楽しそうに笑いながら言う。
「なんだぁ…あの時の会話聞いてたのか〜…恥ずかしいなぁ…」
「ヒャハハ!そう恥ずかしがる事はねぇよ。てめぇのおかげで俺様もアリスのやつも安心出来た。それだけで俺様達にとっては命かけて恩返しする相手になるんだぜ?」
「フフッ…あの時はあんたは押さえつけてただけじゃないの。共存の道さえ歩めれば今くらいの力は普通に出せるのよ。あんた達は…お互いに理解し合わなければ本当の力なんて出せないからね。」
私がそう言うとベルゼニュートは楽しそうに笑いながら言う。
「ヒャッハハ!違ぇねぇな。」
黒竜の目の前まで来るとベルゼニュートが言う。
「そんじゃ、もう大丈夫みてぇだから、俺様は引っ込んでるぜ?また俺様の力が必要な時はアリスに言いやがれ。」
「そうだね。今度こそ、こいつも倒せたみたいだし、ありがとね。」
「ヒャッハァ!例には及ばねぇよ…俺様とこいつが好きでやってる事だ…」
そう言うとベルゼニュートの鱗がアリスの身体から剥がれ落ちる。
アリスがゆっくりと目を開いて言う。
「それにしても…アリスと彼が本当は凄く優しくて小心者だってわかったのほんと凄かったよね。彼の事をよく知るようになってからは、彼も快く力を貸してくれるようになったし、おかげでこんなにも強くなれちゃったしね。サリエラお姉ちゃんには感謝してもしきれないよ。」
私はアリスの方を向いて言う。
「私がやったのはほんの少しのきっかけを与えただけだよ。お互いに理解出来たのはアリスとベルゼニュートの努力でしょ?私がしたのはきっかけを与えただけ。私一人が何を言ったところでどちらかが拒否すれば片方がどんなに努力しても意味が無いし、わかり合うなんて出来ないわ。だから、今のアリスとベルゼニュートの関係は貴方たち二人の努力の結晶よ。それはちゃんと覚えていてあげてね。」
私はそう言ってアリシアールとレイナの元へ向かう。
「ふふっ…サリエラお姉ちゃんってば…カッコつけちゃって…」
アリスは自分の中の彼も笑うのを感じながらサリエラの後を着いていく。
サリエラ達が立ち去った場所で一人の闇色の服を着た少女が姿を現す。
「サリエラか…良い名をもらったわね…」
まるで彼女は愛おしい者を見るかの様な眼差しで見つめながら銀に輝く長い髪を揺らし、森に消える。
レイナ・アストロ
種族:神
詳細:作中では神龍の子だと言っていたが、正確には神龍の片割れであり、彼女自身は神龍の中の神の存在である。
黄泉返りの能力を持っており、何度死んでも蘇る不死の力を持っている。
作中で語られた転生や蘇生を繰り返している為、年齢にそぐわない知識量をほこる。
ちなみに一度だけ存在事消されそうになった事はあるらしい。
見た目は短く紅い髪の猫耳っ娘でツルペタ。
年齢は15歳、身長は195cm、体重は65kg。
スリーサイズは上から50:48:55。
エリューシャレイ
種族:黒龍
詳細:作中では時代までは語られなかったが、超魔法化学時代(サリエラの現在の時代の800年前)の人の国の王となった龍であり、元々は竜人の少女である。
戦う事が何よりの生きがいで、国王となる前から自ら戦場に身を投じ、勝利を収めていた。
その中で龍化した際、本能のままに龍として人を喰らい過ぎて龍の姿から戻れなくなり、国王となってからは王として生涯を終えるまで龍の姿で敵対者を喰らい続けたと言う。
現在は黒龍門の門番として黄泉の世界から現れる龍として存在している。
好きな食べ物は竜人の時はカレーライスで龍となってからは若い人となっている。
竜人の時の身長は不明だが、龍となってからは9750cm(尻尾と角を含まず)となっている。
黒龍門で召喚される時は550cm(角を含む)ほどとなっている。
スリーサイズは上から5800:4500:4700(龍の時)
銀髪の少女
種族:不明
詳細:黒龍門でサリエラ達が黒龍を倒した後で現れた謎の少女。
サリエラの事を知っている素振りを示し、漆黒の衣に身を包んでいる。
外見的特徴としては膝下まである長い銀髪に蒼い左眼と紅い右眼を持つリンゴサイズ。
年齢は不明、身長は170cm、体重は50kg。
スリーサイズは上から55:40:45




