始まりの朝
新年が始まり、何かの始まりを感じますね。
翌日早朝…
私は眠たい目を擦っていた。
「アカメー…サリエラの眼がもう限界だって言うから寝ていい?」
「何を寝ぼけた事を言っておるんじゃ。今日はグラシアスの旅立ちの日じゃぞ。せめて、私たちだけでも見送ってやらんと可哀想じゃろ。」
「う〜…美味しいもの食べたら元気出るのになぁ…」
「じゃあ、今日はとっても美味い野菜料理を食わせてやるぞ!ただし、ちゃんと見送った後でな!」
「う〜…しょうがないなぁ…」
私はアカメに連れられてグラシアスたちとの待ち合わせ場所に行く。
…
「おはようございます!今日も良い天気ですね!」
グラシアスが嬉しそうに大きな声で言う。
「あー、念の為に他の者達の眠りを妨げない程度の声にしてやってくれ。」
「す、すみません…こんな僕に居場所をいただけることが嬉しくてつい…」
リラが目の前の道から出てくる。
「グラシアス…見送る…春風の村…」
「うー…リラ、一人で大丈夫?」
「うん…リラ…強い…」
「そう?なら、良いんだけど…ふわぁ…」
私が大欠伸をしながら言うとアカメがからかう様に言う。
「お前さんら、通じるのが早いのぅ…私はもうちょっとかかったから悔しいのじゃ…」
「あはは…僕は未だによく分かってませんけどね…」
苦笑いするグラシアスにリラが言う。
「大丈夫…グラシアス…理解…出来る…」
「いえ、僕はなんとなくしかわかってませんし、サリエラさんの様に理解出来てませんよ。」
「フフッ…大丈夫…アカメ…鈍感…」
「良いもん良いもん!どうせ私は理解力の乏しい男ですよーだ!」
アカメがプクーっと頬を膨らませてそっぽ向きながら言う。
「アカメ、拗ねちゃった…」
「大丈夫…アカメ…機嫌…良くなる…すぐ…」
心做しか少しだけ楽しそうにリラが言う。
その瞬間大きなカブトムシがアカメの目の前を飛ぶ。
「おっ!あっちにでっけぇカブトムシが飛んでったのじゃ!捕まえるんじゃあ!」
「ほらね…」
「あはは…」
リラが少しだけ嬉しそうに微笑んで言う。
グラシアスはアカメの切り替えの速さに苦笑していた。
私はカブトムシを追いかけようとするアカメを捕まえる。
「グラシアスのお見送りが終わってからにしなよー」
「ああああああぁぁぁぁぁー!!!!!!!!でっけぇカブトムシがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
喚くアカメを見てリラが言う。
「アカメ…リラ…家…カブトムシ…1匹…」
「マジで!やったのじゃあ!」
そう言うとアカメはとても楽しそうに意気揚々と先頭を歩き出す。
「アカメ…カブトムシ…大好き…かっこいい…言う…」
「なるほどな。アカメのことよく知ってるんだな。」
「うん…この村…出来た…リラ…居た…だから…」
「それなら嫌でもよく知ってる仲だな。」
「うん…サリエラ…そのうち…わかる…」
「それだと私も嬉しいな。」
なんて言ってると村の入口に着いた。
夜明けの日差しが山の頂上から輝きを放つ。
「気持ちの良い日差しだな。」
「僕の羽と同じくらい綺麗で美しい景色ですね!」
「アリアールが初めて来た日を思い出す様な景色じゃのう!」
「フフッ…懐かしい…」
金色の太陽に照らされてそれぞれの思いを口にする。
「グラシアス…行く…」
「はい!春風の村までよろしくお願いします!」
「もう行くのか?」
「うん…夜ご飯…時間…無い…」
「リラ、道中気をつけてね!」
「フフッ…大丈夫…リラ…夕方…無事…帰る…」
リラは安心させる様にニコッと笑うとスタスタと歩き始めた。
「グラシアスー!達者でなー!」
「はいー!今までどうもお世話になりましたー!またいつか遊びに来ますねー!」
「おうー!いつでも来ていいんじゃからなー!」
バカでかい声で別れを告げるアカメとグラシアスに苦笑しながら、ふと視線を感じて振り向くが誰も居なかった。
私は不思議に思って首を傾げていると…
「どうしたんじゃサリエラ。お前もやっぱり行きたかったのか?」
「ううん…なんでもないよ!そんな事よりお腹空いた!」
「ハッハッハ!サリエラは食いしん坊じゃのう!ならば、早く帰って飯の支度をせんとな!」
「うん!アカメの料理、美味しいから早く食べたい!」
「…」
そんな二人を遠くから見る少女が居た。
「アリア…」
ポツリとそう呟いて少女は闇に融けるようにその場を去る。
ここまでで出てきた村の紹介をしますね。(って言っても二つだけだけど…)
初めの村
アカメの村で一番初めに出来た村。
アカメ達が住んでる村でもある。
この村には謎が多く、度々謎のテクノロジーが発見される。
春風の村
春の陽気が村全体に溢れていて常に晴れて、心地の良い春風が吹いている村。
水が苦手な種族が集まって暮らせる様にとアカメが作った村。
近くに綺麗な湧き水が出る場所があり、水源はそこから確保出来る。
たまにヒト以外の種族が居る事もある。




