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フォルトゥナ・エクスプローラ・オンライン  作者: 須藤 晴人
第十一章: またまた遺跡探検!

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011_06_謎がいっぱいリスクオン

「二人とも、大丈夫? ケガとかしてない?」


 ようやく死者の都を出て、飛竜で安全な空の上まで脱出できたところで、わたしは二人に声を掛ける。


「ああ。無事だ。だが、あれは一体何だったのだ? 何を話しているかは分からなかったが、お前は知っているようだったな……?」


 後ろから聞こえてきた訝し気な声に、わたしは思わず振り返る。ツバサは困惑した顔だった。


「え? まあ忘れちゃってるかもしれないけど、ツバサも戦ったことあるよ。わたしと最初に、泉のそばで会った時、先に戦ってた黒雲――」


「あれが黒雲ですって? 貴女達とは全く見た目が違ったわ!」


 わたしが答え終わるより前に、ミライが落ち着かない様子で、信じられない、とでもいうように強い調子で否定した。ん……? なんか変だ。そういえば、二人はセイが入ってきたのを見てぎょっとしてた。そうだ、パワーアップしてた事よりも前に驚いてたわけだから、いきなり強くなってたことに驚いたわけでもない。何か見たことのないものが来たから、だったんだ。


「見た目が、違った? 装備は前と違ったし、ちょっとどうかなって格好だったけど、わたしには確かにセイに見えたよ」


「そう……貴女には前と同じに……他の黒雲と変わらない姿に見えるのね。でもそうね……私には、それこそあなたの大嫌いな骸骨が動いているように見えたわ。真っ黒な骸骨……それは破壊神の姿の一つよ。だから……でも、違ったのね」


 ミライが少しだけ安心したように言った。破壊神が来たのかと思ったから、あんなに驚いてたんだ。そっか、わたしが見てるのはこの世界にゲームの画像を重ね合わせたものなんだっけ。だから重ね合わせる画像が同じだったら、本体が違ってもわたしには分からないんだ。でもガイコツってどういうことなんだろう?? 


「お前と一緒にいた黒雲、だと? だがその時は、あれほど強くはなかった。殆どの黒雲と同じく、ただ闇雲に武器を振り回すだけで、脅威ではなかった。今も技術は拙い。だが他の黒雲とは段違いの力と速さだ。あれは精強な黒雲(マドカ殿)以上だった。さっきは動きが読めたし距離もあったから、辛うじて躱せたに過ぎん」


 ツバサが静かに、固い声ではっきりと言った。マドカさん以上って……そんなのどうしたらいいんだろう? それに、残ってくれた二人がピンチってことじゃないか! ……いや、でも引き受けた以上、彼らは何とかするはずだ。先にクレーディトに帰って待ってて、と言われたんだから、大丈夫、信じて待とう。



「ふぅ……なんとか、帰って来れてよかった。宝剣がどこに行ったのかは分からないけど、絶対見つけるから。超越者の男が残したっぽいメモのこととか、セイの事とか、研究所の人やレイさんにも聞いて、調べてみる。二人も何か気づいたことがあったら教えてね。気になること、いっぱいあるけど……今は次にそなえて、ゆっくり休もう。二人ともいつも寝る時間に動いてたんだしさ」


 クレーディトの研究所の中庭に降り立ち、わたしは半分自分に言い聞かせるように、なるべく元気よく二人に告げた。二人とも不安や迷いはある感じだけれど、ひとまずうなずいて、家に戻っていった。わたしも拠点に戻ろう。マドカさんとカンが、きっと帰ってくるはずだ。リスクオンの状況や、セイの事も聞きたいし、次にどうしたらいいかも考えなきゃだし。



「あれっ!? なんで二人がここに……?」


 マドカさんとカン、二人の帰りをログイン時間ギリギリまでは待とうと考えて拠点に戻ったら、もう既に二人がいて、ホワイトボードの前で話し込んでいた。驚くわたしに二人が振り返った。


「あら、リン。ミライ達も無事かしら? ……そう、良かったわ。アタシ達が何で先に帰って来てるかって? 緊急帰還だわよ。

 そんな顔しなくていいわ。そもそも武器は持ち込ませてもらえなかったし、元々そうなる可能性が高いと思ったから、スコップ(エクスカリバー)とかミライが作った目印のチョーカーとか、失くして困るものは持ち込んでないの。それに費用はレイに請求してやるから何にも問題ないわよん」


 マドカさんが余裕たっぷりにパチンとウィンクした。でも、緊急帰還でここに戻ってきたってことは……。


「負けた……んですか? やっぱりセイ、やたらパワーアップしてたから……」


 ツバサもあの力はマドカさん以上じゃないかって言ってたし、二人が緊急帰還でここにいる以上そうなるわけだけど、信じたくない。


「そうね。正確には、足止めって目的も果たしたことだし、撤退しちゃいましょ、ってとこね。

 味方がもっと頼りになるイイ男だったら、アタシももうちょっと頑張って、あいつらの数を減らしてみても良かったのかもしれないけど」


 くすりとちょっぴり意地悪な笑みを浮かべて、マドカさんは再びホワイトボードを整理し始めていたカンの方を見た。


「すみませんね、頼りにならん不細工で。俺もできる事ならイケメンに生まれたかった」


 彼は手を止めてマドカさんの方を振り向くと、ため息を吐いた。


「全くアンタはもう! そうじゃなくて、頼りがいの方を強化しなさいよね。そうしたらあとは髪型とか眉毛とか服装とかちょっと整えれば、雰囲気イケメン一丁上がり、だわよ!」


「いや、限度というものがありますよ……」


 腰に手を当てびしっと毒気たっぷりに言い放つマドカさんに、カンはいつものように苦笑いだった。


「まあ、そんなことはさておき。でも……あれ、なんだったんでしょうね? マドカさんがあんなに押されるの、初めて見ましたよ。

 彼女、滅茶苦茶な動きは前からでしたけど、あんなに強くはなかったはずです。でもそれが……何て言うのか、無茶なパワーとスピードで、ゲームのようにバンバン技を炸裂させて……いわゆるチートって感じで強くなってました。この体の性能限界――限界がどこか、知っているわけじゃありませんが――超えてません?」


「そうね……アタシもそう思うわ。確かにパワーもスピードも有り得なかったわよ」


 眉根を寄せ、腕を組んで訝しむカンに、マドカさんが大きくうなずく。この体では出せない性能かもしれない、かあ。


「あ、それなんですけど」


 ふとあることに思い当たったわたしは、二人の話に割って入る。


「ツバサとミライが言ってたんですけど、どうもセイ、わたし達と見た目が違うみたいなんです。黒い骸骨みたいだったって言ってました」


「黒い骸骨……? 機体が違うのか? 何だろう……もっとメカメカしいヒューマノイド的な……? それとも――」


 カンが首をかしげ、腕を組んでつぶやいた。彼はそれからあれやこれや、よく分からない単語をつぶやいていた。


「けど、仮に俺達よりも性能の良い機体があるとして、何でセイさん()()なんだ? まだ試作段階とかで数が無いにしても、彼女だけというのは変じゃないか?」


 カンが眉根を寄せた。


「セイだけ?」


「ああ。ジョーもリカさんも普通だった」


 わたしが尋ねると、カンはコクコクとうなずいた。見た目じゃあ分からないから、強さが今まで通りだった、ってことかな。セイだけがやたらパワーアップしてた、って事なんだ。


「その割にはやられてたわよね」


 横目でカンを見ながら、マドカさんがきびしい突っ込みをいれた。


「まあ……俺だって強くありませんし、それに2対1でしたし……いえ、はい、すみません。対複数人の対処方法の訓練をサボった俺が悪いと言われればそうかも……ええ俺が悪いんです」


 マドカさんに睨まれたカンは恐怖に引き攣りながらひたすら謝っていた。それはさておき。


「うーん、でもそうだね。カンの言う通りセイ、っていうのはちょっと変かも。だって本人も認めてたけど、セイよりもジョーの方が強かったし、セイには悪いけど、ジョーの方が頭も良いし。だからそんな性能のいい機械があって、それが1つしかないんだったら、ジョーが使った方がいいって思っちゃうな」


 わたしは彼に同意する。


「そうねえ……確かに雰囲気イケメンの方が総合的に強そうよね。ま、何かあのコじゃなきゃいけない理由があるのかもしれないけど、今は分からないわね。それはレイにでも聞いてみましょ。

 それよりリン、宝剣はどうだったのかしら?」


 この話はここまで、とマドカさんがセイの謎パワーアップの件は打ちきり、今回の目的だった宝剣の事に話題を変えた。そうだった。やだな、色々起きたから報告をすっかり忘れてた。


「それが……ツバサが隠してた場所からは持ち去られちゃったみたいです。でも、誰が持ち出したのかの手がかりはなくて……。ツバサは自分以外知らない場所だし、竜人が盗掘したとは考えにくいから、犯人は黒雲じゃないかって言ってました」


「黒雲か……ただリスクオンは――少なくとも今回のメンバーは――そっちには行ったことは無さそうだったけどね……」


 カンが腕組みをして、何か考えるように視線を床に落とした。やっぱりリスクオンじゃないんだ。


「それから……英雄の墓の壁に、超越者の男が書いたっぽい文字が刻まれてました。ミライに読んでもらいましたけど、文字がかすれててよく分からなくて……。しまった、研究所でもうちょっと何とか読めるようにならないか聞いてみようと思ってたけど忘れてた」


「写真、撮ってあるのね。じゃ、今から画像の解析と解読を頼みましょ。今日はもう時間もないし、ここまでかしらね。結果が出たら、また考えましょ。お疲れ様」


「そうですね。気になるけど、これ以上は分からないし……。それじゃあ、おつかれさまでした!」


 わたしは二人に手を振ってログアウトする。


 奪われた宝剣に、セイのパワーアップ……。また謎が増えちゃったけど、きっと手がかりはあるはずだ。とにかく小さなことでも何でも見つけて、先に進まなくちゃ。破壊神も、侵略も、止めてやるんだから!

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