第75話 娘
「ちょ、ちょっと待ってはくれぬか。」
「なにを待つんだ。俺が義務も理由もないだろう」
そう言って剣を振りかざした時、
「ウィル、こっちは終わったよ」
そう言ってこちらに走ってくるミアは領主を睨むような複雑そうな目を向けてから俺の方に来た。
「ん、、お、おぬしは」
「ミア知ってるのか」
「い、いえ」
「間違いない、おぬしミアか。」
「領主、知ってるのか」
「わしの娘じゃ、あれだけわしが可愛がってやろうとしたのに」
「なにが可愛がるよ、一年中拘束しては狂気じみた仕打ちを毎日続けるくせに」
「な、おぬし」
「そうか分かった。領主、お前は死ね」
俺は剣を振りかざす。
「ウィル、私に殺らせて」
「流石にそれはダメだ。親子の間で殺し合いをしては」
「ウィル、私はもう親子の縁なんてとっくに斬ってる」
「そうか、なら試してみるといい」
俺は創破をミアに渡すと、一歩下がる。
「こんな親なんて、、死ね」
ミアは創破を振り下ろす。が、刃は領主の首の皮一枚を切り赤い一筋の血が流れた。
「、ぅ、、やっぱり」
ミアは創破を投げ捨てると、座り込んでしまった。
「そ、そうかそうか、やはりおぬしにはわしを殺すことは出来なかったようじゃな」
そう言って偉そうに立ち上がる領主。俺はそんな領主を殴りつける。
「なにか勘違いしてないか。俺はお前を許したやけじゃないぞ」
「く、な、なにを、、なっ、、や、やめぬかぁ」
俺は領主を鉄の鎖で拘束すると、それを町までテレポートして置いてきた。
「な、親子の縁は簡単にはきれない」
「ウィル、、、」
「まあいい、そろそろ澪達も終わるだろう。行こう」
俺はまだ下を向いているミアと手を繋ぎ、澪達が戦闘していた方面に歩いて行った。
「あれ、ウィルさん。ミアさんどうしたんですか」
「少しな、、また後で話す。今は早めにここを離れるぞ」
俺達はそう言うと、行きしなの道をそのまま歩いて帰った。
その日の夜、
「ウィルさん、ミアさんどうしたんですか」
ユキは疲れたのだろう、野営を始めるとすぐに寝てしまい、ミアも色々あってすぐに寝てしまっていた。
「実は、結果だけ言うと、ミアはあの領主の娘だったらしい」
「え、ほ、本当ですか」
「そうだ、それでミアが領主を斬ろうとしたんだが、、」
「出来なかったんですね」
「そうだ、それで少し落ち込んでな」
「けどボクは、いいことだと思いますよ。だって親子の縁なんて斬っても斬れませんから」
「そうだな、やっぱり人だもんな」
俺はそれだけ言うと空を見上げた。
「ウィルさん、」
俺は聞こえだが、聞こえないふりをして、空を眺めていた。




