第73話 帰路
「マーサさん、行きますよ」
「お、奥様、どこにですか」
「リューでいいですよ。それと、私はもう帰ります」
「で、では私は、、」
「貴女も両親がいるでしょう。送りますよ」
「けど、私はもう奴隷ですよ、」
「さっきも言ったでしょう。私はもうここの領主ですよ。奴隷制度は廃止します」
「じゃ、じゃあ私は、もう、」
「ええ、もう貴女は自由です」
「あ、ありがとうございます」
「さ、行きましょう」
「は、はい」
俺はマーサを連れると、下に降りる階段を降り始めた。
「マーサさん、私は貴女を両親にとどけたらこの町から離れます。それは分かっていて下さいね」
「は、はい」
俺はそれだけ報告すると、階段を再び降り始めた。
「マ、マーサ。ど、どうして」
「リュー様が奴隷制度を廃止して下さったんです。お父さん」
「そ、そうだったのですか。リュ、リュー様あ、ありがとうございます」
「いえいえ、これからは民主制にします。これからは貴方達がこの街をつくるのです。頑張って下さい。」
「あ、ありがとうございました」
俺はその言葉だけ受け取ると、後ろを向いて屋敷の端に歩いて行った。
「あ、ウィル。久しぶり」
「昨日も話しただろ」
「直接会って話すのがだよ」
「ま、そうだな。」
「ウィルさん、今から帰るんですか」
「そうだなぁ、ユキは」
「ユキちゃんなら拠点内にいるよ」
「分かった。じゃあ一度拠点まで帰ってユキを迎えに行く。そしてそのまま帰るか」
「分かった、」
「はい」
俺はそのままミア達と拠点まで走り始めた。
「ウィル、そろそろだよ」
「そうだな、」
少し走り続けると拠点にはすぐにつく。
「ユキ、行くぞ」
「あ、お父さん。どこ行ってたのよ」
そう言えば、ユキには知らせずに俺は領主の所へ行ったのを忘れていた。
「ごめんな、ユキ。少し用事に行ってたんだ。さ、それはそうと帰ろう」
「帰るってどこに」
「俺達の家はここじゃないんだ。ユキはここで生まれたもんな。」
「うん、けど分かった。」
「よし、じゃあ行くか」
「うん」
俺達がそう言って拠点を出ると、そのまま門に向けて走って行く。そして俺達が門を出てしばらくすると、
ゴゴゴゴゴ、
後ろから土煙が上がり、真ん前を領主が叫びながら走ってくる。
「リュー、よくもよくも、おぬしだけは生かしておかぬぞ」
領主はそう言って剣を振り回しながらどんどんと近付いてくる。
「ミア、あれはどうする」
「え、、、あ、そうね。迎え撃つ」
「そうだな、」
俺達は一度その場で歩みを止めると、領主達の到着を待った。そしてしばらくすると領主達の部隊が俺達に追いついて俺に剣を向けた。




