第7話 過去
「ク、クレイさん、ここは」
「ここは魔法学校がある町から西に歩くと見える森です。ここなら誰に聞かれることもないでしょう」
「、、、」
「僕は昔、貴女のような人にあったことがあります。」
「、、、」
「彼女は言いました。貴方は学ぶべきだと」
「、、、」
「僕は数百年ずっとそれを探しています」
「、、、」
「それはなんなのでしょう」
「、、、クレイさん」
「あ、すいません、ここに居るとつい考えてしまう」
「クレイさんは今まで何をしてたんですか」
「そうですね、僕は言葉の意味を探していた。ずっと。しかし彼女は死んでしまった。それも僕がいたせいで」
「、、、、、」
「だから僕は貴女にはそんな運命を辿っては欲しくない。」
「、、、私はそんなことでは死にませんよ」
今度は笑顔でそう僕に微笑む。
「しかし、」
「ならクレイさんが守って下さい」
「はあ、貴女は度胸があります」
「私は信じています」
ミアさんがそう言った瞬間、僕は彼女もそんなことを言っていたと思い出した。
「今日、私クレイ君の家に泊まってもいい」
「君ってなんですか」
「嫌でしたか」
「いえ、良いですよ」
「なら良いじゃないですか、で、泊まっていいですか」
「良いですけど、どうしたんですか」
「私お金ないって言ったでしょ」
「あ、そう言えば」
「はい、つきましたよ」
「え、ここが」
ミアさんが木に触れると、
「きゃ」
木の樹洞が大きくなって人が通れるくらいになった。
「え、これは」
「入り口です」
僕は樹洞の中を降りていく。そしてそのあとをゆっくりとミアさんは降りてくる。
「はい、いらっしゃい」
「わぁ、本当につながってた」
「言ったでしょ。さあ、ご飯にしましょう」
僕はそう言って夕食を作り始める。
「クレイ君って私より料理上手いよね」
「そうですか」
「ええ、私は料理なんて苦手です。」
「じゃあ、これでも食べましょう」
僕は夕食を振る舞いその日は遅かったので部屋に入って早めに寝た。
次の日、僕達は歩いて魔法学校まで行く。すると門の前にレイ先生が立っていた。
「お、お前達仲直りしたと思ったら二人で登校か。お熱いじゃねえか」
「そ、そんなことありませんよぅ」
「ただ二人で来ただけですよ。そんな勘違いですよ」
「そ、そうか」
その時ミアさんが少しがっかりしたように見えた。
「そう言えばミアさん、レイ先生と言えば学校内でどんな評判ですか」
「え、強くて、優しい先生だって」
「ま、まさか」
レイ先生が驚いて叫ぶが、
「ねえ、レイ先生。僕と勝負しませんか。今度の学園大会で」
「え、どう言う」
「いやいや、待て。それは俺の信用が」
「へえ、生徒との決闘に怖じ気付くんですか」
「くっ、、、分かったよ。出てやるよ」
「決まりですね」
僕はそう言って項垂れるレイ先生をおいて校門をくぐった。