第65話 潜入成功
「おぬし、どこから来たのじゃ」
嫌らしい目で俺を見る領主の視線がイライラするが、それを表にだすわけにもいかず、
「マ、マジカルトです」
「そうか、あそこの校長は元気か」
「あ、はい。校長はお元気ですよ」
「そうか、そうか。わしとあやつは旧知の仲でな」
「そ、そうだったんですか。」
「それにしても、おぬしなかなか肝が据わっているな」
「そ、そうですか」
自分を大きく見せようとしゃべり方がおかしいが、ずっと下品な目で俺を見ているのでは台無しであった。
ガタン、
「お、ついたらしいぞ、では降りよう」
「あ、はい」
外から金色の鎧を纏った騎士がこれまた下品な笑みを浮かべ馬車を開ける。そして俺はそれを笑みを浮かべ見ている領主の気が分からない。
「領主様、到着いたしました」
すると領主は馬車から出る。そして領主が手招きするので俺は馬車から出た。
「一応、おぬしには客室に向かってもらうぞ」
「あ、はい。分かりました」
「こっちだ、早くこい」
騎士がそう言って無理矢理俺を引っ張っていった。
「ここだ、ここで少し待て、」
そう言って連れてこられた部屋は下品な程、高級な物が所狭しと置かれている部屋で、俺が一番目に入ったのが、机の上に置かれていた香水だった。
「そう言うことか」
これは人間の思考能力を極めて低下させる成分が入っており、その上人の感覚を数倍に高める物だった。
「はあ、領主はなにが目的だ」
下品な程の装飾にが施された部屋は完璧な密室で、外からはなんの交渉もされないであろう。
「まあいいや、一応座るか」
俺は置いてあった椅子に腰をおろすと、近くにあった菓子をつまむ。
「ん、これは」
この菓子にもまた薬が入っており、恐らくは媚薬であろう。
「あいつ、相当堕ちてるな」
俺は平気で菓子をつまむと、これまた置いてあった紅茶を飲む。これまた当然のように媚薬が入っておりまあ、俺はそれも平気で飲む。ついでに言うが、何故俺がこんなにも薬物を飲むかというと、俺には薬物が効かないからだ。この俺の肉体は俺が特注で創った肉体で、薬物は勿論、雷や、炎などもほとんど効かないだろう。そして、そのおかげて俺は下界でも神技が使える。すると、
「おぉ、待たせて悪かったな。リュー、さあ、紅茶でもどうだ」
そう言って領主は新しい紅茶をメイドに頼む。
「は、はい。いただきます」
これまた当然のように媚薬が入っていたが、俺はそれを気にも止めず普通に飲む。その時の領主の嫌らしい目と言ったら酷かった。
「さあさあ、まだ私についてはなにも言ってなかったな。私はここの領主をしているナイル・ラ・エントローだ。」
堂々と告げるが、俺にはここの領主にそうな堂々と告げる権威があるか分からない。
「私の妃にしてやろう」
恐らくは抑えきれなくなったのだろう、領主は下品な表情全開で俺の腕を掴む。
「え、な、何を」
「決まってるだろう。さあ、」
そう言って余計に引っ張られる。
ビリッ
「はあ、流石に男とは嫌だぞ。それもこんな奴なら余計にな」
俺は魔法で領主を気絶させると、ソファーに寝かせる。
「それにしても、どうしようもないな、こいつ」
俺はそう呟き再び紅茶と菓子をつまみ始めた。




