第53話 新入兵
「あー、コホン。さっきの件だが、お前は合格だ」
「あ、はい」
さっきの件から数十分、男は目覚めて何があったか理解したのだろう。
「あー、俺はこの部隊の隊長を務めるクルーグだ。お前をこの部隊への入隊を許可しよう」
「あ、はい。分かりました」
「それでだ、お前は戦闘力は飛び抜けている。しかし兵士として、部隊との協調性は大切にしなければならない。と言うことで、お前は今から実戦訓練を行ってもらう」
「はい、」
「では、すぐに向かう。ついてこい」
俺はそう言われたので、隊長について行った。
「ガルルルルゥゥゥ」
ガキッン
「はっ」
「撃てぇ」
ドカーン
俺が隊長について行くと外から連れて来たであろう魔物相手に訓練をしている兵達がいた。この際だから言うが、魔物とは本来、人が複数人で相手する相手だ。だから俺達のような一人で魔物達を圧倒するのは本当に稀な人間だ。
「注目、」
隊長が大声で叫ぶと訓練をしていた兵士は一斉に隊長に体ごと視線を向ける。その時、相手がいなくなった魔物は後ろに控えていたであろう他の兵士が捕獲していた。
「皆、喜べ。今回我が部隊に新入兵が入った。」
『うおぉー』
あとで聞いたが、この部隊はここ十数年ずっと新入兵がいなかったらしい。
「そして、もう一つ大きな報告がある。」
兵達が見つめる中、
「この新入兵は凄く強い」
その時、あたりが静まりかえった。
「まあ、そんなことを急に言っても分からないだろうから、、、この者に魔物と一人で戦ってもらう」
「ちょ、た、隊長。新入兵にそれはキツいぜ。俺達でも魔物を一人で相手にするのは負傷者が出るんだぜ」
「いや、見ていればわかる」
そう言って隊長が俺に目配せしたので、
「はい、分かりました。」
俺はそう言って壁に掛けられていた木刀を手に取る。
「魔物相手に木刀だと」
兵の数人が呟いたが、俺は特に気にせず部隊に上がる。その時、同時に魔物が連れてこられた。
「あいつ、始めてのくせにぜんぜんビビってねえ」
兵が呟いたが、俺はそんなことは気にせず木刀に魔力を巡らせる。
「隊長、準備完了しました」
「よし、それでは、、、始め」
その合図と同時に魔物を縛っていた鎖は外され魔物は俺に襲いかかってくる。
「はっ」
右手のかぎ爪を振りかざす魔物の腕の骨を的確につき、骨を砕く。そして一瞬止まった魔物の心臓目掛けて一気にスピードをあげる。そしてそのスピードのまま魔物の心臓を貫いた。
「ガ、ガウゥゥ」
魔物は一声大きな悲鳴を上げると倒れ伏した。
「す、凄ぇ」
「あいつ、な、何者だ」
兵達の驚愕する声が飛び交うが、その中で一人。隊長は俺に歩み寄ってくる。
「やはりな、お前ならこれくらいは出来ると思っていたぞ」
「はい、」
隊長のその言葉にはしっかりと返事をした。




