第4話 少女ミア
「え、じゃ、じゃあもしかして」
「はい、今頃はもう終わっているでしょう」
「そ、そんなぁ」
女の子はそう言って落ち込んでしまった。
「まあ、また来年もありますから」
「そうじゃなくて、私今は一切お金も何も持ってないんです。私の家は貧乏だけどなんとか入学金を出せたんです。なのに今年入学できなかったら」
そう言ってしまいには泣き始めてしまった。
「まあ、まあ、少し落ち着きましょう。僕の家に招待しますから」
「う、うぅ、ん、え、いいんですか」
「そうな事情を聞いてしまった女の子一人残していけるわけないじゃないですか」
「え、ありがとうございます」
「分かりましたから、少し落ち着いて下さい」
「は、はい」
「よし、なら。 転移魔法 テレポート」
「え、今どうしたんですか」
「秘密です」
僕はそう言って部屋の構造を少し変えた。
「あ、あの私ミアって言います」
「ミアさんですね、僕はクレイって言います」
「クレイさんですね」
「はい、じゃあそこの椅子に座っていて下さい」
「わ、分かりました」
僕はそう言って簡単な料理を作り始める。
「クレイ、さんってなんで一人暮らしなんですか」
「まあそこは僕の出身の問題です」
「そ、そうなんですか、、すいません」
「いえいえ、一人でいるのは僕のかってですし」
「そうなんですか」
「はい、できましたよ」
僕はそう言って料理を振る舞った。
「あ、ありがとうございます」
食事後、
「ミアさんはここを使って下さい」
「あ、ありがとうございます」
「いいですよ、ここは僕くらいしか居ませんから」
僕はそう言って自分の部屋に戻っていった。
翌日、
「あ、おはようございます、ミアさん」
僕が朝食を作っているとまだ眠そうなミアさんが目を擦りながら部屋に入ってくる。
「ふぁぁ、おはようございます、クレイさん」
「おはようございます、好きな所に座って下さい」
僕がそう言うと昨日と同じ所に座った。
「はい、どうぞ」
僕はそう言って朝食を差し出し自分も朝食を食べ始めた。
朝食後、
「ミアさん、こっちに来て下さい」
「え、どうしたんですか」
僕はそう言って家を出て魔法学校の門の近くに来た。
「え、クレイさん、もしかしてここは」
「そうです、魔法学校です」
「ここが、、、」
「ミアさん、入学したいですか」
「え、あ、はい。でもそんなこと」
「ニヒルウィース・テンプスレドゥクゥティオ・ノストルム 時戻し」
すると回りの時間は制止してどんどんとあたりが真っ白に染まっていく。そして、
パリン
音がすると回りの光は嘘のように消えて時が動き出した。ただし一日前の時間が。
「え、クレイさん、これは」
「さよならです、ミアさん」
「え、どういう」
「ルークス・メモリア・デレンス 記憶消去」
「ほへ、」
僕が魔法を発動すると一瞬明るくなったと思うとミアさんは倒れてしまった。
「はあ、やっぱりこうなるか」
この魔法は記憶を操るだけあってその分、術者にも被験者にも大きな負担を与える。それだけにこのように魔法が終わると倒れてしまう事が多い。
「しかし、また顔を見られるわけには」
せっかく魔法を使ったのにもう一度見られては元も子もない。だから、
「おーい、レイ先生。」
「ん、クレイか。今日は来ないでくれって言っただろ」
「いえいえ、この子を連れてきただけです」
僕はそう言って抱きかかえていたミアさんをレイ先生に渡す。
「この子は」
「僕の知り合いで、ここに入学するんですがここに来るまでに少し体調を崩したみたいで連れてきたんですよ」
「分かった、それでこの子の名前は」
「はい、ミアっていいます」
「そうか、ミアか。よし、伝えておこう」
「ありがとうございます」
僕はそう言って今日のところは家に戻った。