エピローグ 〘純愛〙
「ウィル君、何してるの」
「フィオナか、ちょっとな」
「何してるのよ」
「地上の観察だよ」
そう、ここは現世とは違う空間にあるとは言え、たまに現れる空間魔法を操る人間には、ごく稀に見つけられる時がある。だから、たまにはこうして観察し、危険人物がいないか確認する。ちなみにミア達の件だが、みんなフィオナと同じように元々いなかった存在と認識させた。ちなみに言うと、ミアと初めてあった頃、ミアに忘憶の魔法が効かなかったのは、フィオナの遺伝子が入っていたせいだからだった。
「そうなんだ、、私さ、エンドレスって人に酷いことされた時、ウィル君ずっと泣いてたでしょ」
俺はこの話になった瞬間、エンドレスが甦り、気が高ぶったが、一応抑えた。ちなみに今、エンドレスはここの地下で永久に続く苦痛に耐え続けていた。
「そうどなぁ、、あの時は、フィオナがあれだけの苦痛を受けていたのもそうだが、、それに対してなにもできない自分にも不甲斐なさを感じてた」
「そうなんだ、けどね、私嬉しかったんだよ。ほんとに、痛かったし、熱かったけど、それ以上にウィル君が泣いていたのが苦しかった。けどそれが嬉しくもあった。」
「、、、」
「私ね、不安だったんだ。ウィル君は神様でしょ。けど私は人だったでしょ。だからいつか、お別れしちゃうんじゃないかなって、そして、ウィル君は、ほんとは私なんて、なんでもないんじゃないかって、」
「、、、」
「けどね、あの時、ウィル君が本気で、私の為に泣いてくれてた。これが凄く嬉しかったんだよ。」
「、、、俺はな、大好きだった。」
「ふぇっ、」
直接、こんなにも正直な想いを伝えたことはなかったので、フィオナは顔を真っ赤にしてしまう。
「だから、泣いた。覚えてるか。あの日の前、、フィオがこれを買ってきてくれて、嬉しかったんだ。そして、その前後に俺は不死身の魔法をかけてたんだぞ。俺は後悔したよ。だって、、、」
「それ以上言わないで。それでも私は、大好きだよ。痛かったし、悲しかったよ、けど、それに、私の為に涙を流してくれた、、」
「ありがとう、こんな俺でも許してくれて。」
「そんな、私なんて、、」
「フィオはいてくれるだけど嬉しい。生きていてくれるだけで、、」
「ウィル君、、フィオって、」
「あっ、」
「呼んでくれたね、最近、中々呼んでくれなかったから」
「ま、まあ、皆がいるしな、」
「それは、、、もう皆家族じゃない。だからそんな二人っきりの時だけなんて、」
「、、そうだな。フィオ」
「それでいいよ、ウィル君」
俺達はそう言って、微笑みあった。
ここは、神の世界、天界。けれど、中では地上と何一つ変わらない平和な日々が続いていた。ミアがいて、澪がいて、フィオがいる。そしてユキもルークもブルラも。俺は皆がいるからこそ、存在できる。俺の根本の神としての権能、
「純愛」
俺は、権能としてでなく、気持ちとして大事にしている。俺はこの身が果てるまで皆と一緒にいようと思う。俺は純愛の神ウィルラドール。他者を一途に愛せる、たった一人の、初まりの神だ。
これで、最終回となります。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
また、まだまだ未熟な部分もありますがご了承ください。文字脱字も多くあると思いますが、これなどに関しても了承していただけると幸いです。