六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり⑫~
「きゃーーー!! 襲われるーーーー!!」
「へっ?」
順先輩は、「よし」とすっきりした面持ちでスカートのチャックに手を掛けて脱ごうとする――服を脱ごうとしてくれてるのは大歓迎なのだが……「襲われる」?
そんなことを言われたら、さっき制服やシャツを窓から投げ捨てられ、パンツ姿である俺を他人が見たら『誤解』されるではないか――。
そして、順先輩の叫び声を聞きつけたのか、廊下からと誰かが走ってくる足音が聞こえてくる――ああっ!? なんてこった……早くこの場から逃げ去らないと…!
しかし、順先輩は約束通りに次々と服を脱いでいく――しなやかで肌が白く見事な脚線美が露出され、次々にブラウスのボタンが一個ずつゆっくりと外されていく――。
「せ、先輩! もっと早く脱いでくれませんかっ!?」
「おい竜伍……男は女を急がせるもんじゃないぞ?」
それはそうかもしれませんが……! ああ、じれったい…! 俺は勝負に勝ったんだ……裸を見る権利がある…!
俺は強引に順先輩の服を脱がそうとすると――ガララと勢いよく麻雀部の扉が開かれる。
「純ちゃん! 大丈夫!?」
「――竜伍、なにやってんの…?」
扉の前に居たのは、マリアさんと雀だった――どうしてここに…!?
「さっき、窓から竜伍が着ているこのダサいTシャツが降ってきたから、気になって様子をみようと部室にやってきたら……!!」
歯が割れるほどキツく奥歯を噛みしめながら、怒髪天を衝く雀――もはや言い逃れができない状況…!
順先輩の全裸を見れないのが口惜しいが、俺はこの場を逃げるために、麻雀部の後ろの方にある扉から脱出しようとする――。
すると、扉を出た先に松葉杖で足を引っ掛けられ転倒してしまう。
「イテテ…。 どうしてここに松葉杖が…?」
辺りを見渡してハッと気付く――廊下には麻雀部5人目のゼロこと鳥海 澪が居た。
「た、助けてくれ、澪…! 俺は襲ってなんかいない……! 裸が見たかっただけなんだ…!」
俺は焦心のあまり、言い訳になっていない犯罪臭の言葉を述べてしまう――すると彼女は、ゴミクズを見るような視線で俺を見下す――。
「きもっ」
そう言い残して澪は立ち去っていく――。 俺はガクリと項垂れて、パン一のまま廊下でうつ伏せになっていた。
誰も俺を助けようとしてくれない…! ならば…!
俺はゴキブリのように手足をカサカサと機敏に動かして、ほふく前進でこの場を立ち去ろうとする――だが、いつの間にか追いついてきたマリアさんと雀が立ち塞がっていた。
「竜伍くん…!」
「竜伍! もう逃がさないよ…!」
俺は退路を断たれた――と思ったが、あるべきことに気付いた。 雀は女性だが男子制服を着用している…だが、マリアさんはスカートを履いているのだ。
つまり、うつ伏せの状態である俺が取るべき行動とは――!?
「前進あるのみ…!!」
野球選手顔負けの見事なスライディングで、マリアさんの股下をくぐり抜ける――そしてそこには、純白で煌びやかなピラミッドが存在していた――我が生涯に一片の悔いなし…!
「きゃあぁあああーー!?」
「マリアさん――とっても似合ってま……げぼらぁ!?」
マリアさんは目元に涙を浮かべながら、恥ずかしそうにスカートを抑えていたので、俺は美しい情景を見たお礼として感謝の意を伝えようとすると――雀に顔面膝蹴りを喰らわされる。
まるでアシカが鼻先でボールを持つかのように、俺の顔面には膝が乗っていた――この後、気を失うまでボコボコにされたのは語るまでもない――。
俺たちは今日もこうして、退屈ではない日常を騒ぎ続ける――。




