六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり⑪~
「俺の手牌にある『伍萬』――何か気付きませんか?」
「その赤色は……まさか、赤ドラだったのか!?」
『赤ドラ』――麻雀牌136枚のうち、たった3~4枚(ルールによって枚数が変わる)だけ『赤色』の文字表記されている牌がある。 それが赤ドラである。 赤ドラはアガった時に、手牌にあるだけで『1ドラ』追加される。
「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラーー!!」
俺は合計『12個』のドラを獲得しており、『24000点』の三倍満は『32000点』の役満へと昇格したのだった。
順先輩の『30600点』あった得点は、見事にマイナスとなった――。
「――さぁ、順先輩。 アナタの点棒は無くなりました……脱いでもらいますよ?」
やっとエデンへと辿り着いた俺は、頬をだらしなく緩めながら鼻息を荒くしていた――ついに、俺がDTを卒業する時が…!?
「……ふむ。 この私が見事飛ばされたのか――強くなったな、竜伍」
「へっ?」
手をワキワキと動かしながら興奮していた俺だったが、順先輩の意外な返答に戸惑ってしまう――あれ…? なにこの空気…。
「覚えているか――私たちが最初に出会った時のことを。 最初、お前は麻雀を知りもしないのに麻雀部へと足を運んできた。 そしてそこで、四つの内の一つである「東」をお前は見事に当ててみせた――今思えば、あの瞬間からこうなる運命だったのかもな――」
えーと、順先輩…? しみじみするのは後にしてくれませんかねぇ…? 今はそれよりも、ずっと大切なことがあると思うんですよ。
「私はずっと――私と対等に戦える強敵を待ち望んでいた。 だが、いくら待てどそんな相手は現れなかった――お前と会うまでは。 お前と出会うことで、私は麻雀に対して冷めていた熱が再び燃え上がった――ありがとう」
順先輩は、ぱあっと花が綻ぶような笑顔で俺に対して素直な感謝を述べていた――その笑顔を見た俺は、心臓がドキリと跳ね上がる――。
「負けは負けだ……潔く脱ぐとしよう――だが竜伍。 その前に一言だけいいか?」
頬を赤らめながら、目元に涙を浮かべて上目遣いする順先輩――もしかして先輩は、俺のことを――!?




