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六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり⑩~

 そう――俺の手牌は「一萬」「二萬」「三萬」「イーソー」「リャンソー」「サンソー」「ななぴん」「はちぴん」「きゅうぴん」「中」「中」「五萬」「七萬」『六萬』(アガリ牌)。


 リーチのみの『一翻』だけで、『1300』点だけだ――このままでは順先輩との『11200点』の差は到底埋められない。


 だが、俺には裏技があった――文字通り『裏』を利用する技法。


「先輩――まだ『ドラ』の確認をしてないですよ」


『ドラ』とは――麻雀の一局ごとに山から一つだけ『表』にされている牌がある。 その牌の『次』を表す牌が手牌にあれば『1ドラ』=『一翻』である。(「一萬」→「二萬」、「東」→「南」)


 さらに、順先輩が行った「カン」をすると、『カンドラ』と言ってドラ表示されている隣の牌もめくれる――つまり順先輩がカンを四回使用したため『計5つ』のドラが表示されている。


 順先輩は、役満でアガろうとした『四槓子スーカンツ』を逆に利用されたことで、歯が割れるほどキツく奥歯を噛みしめながら、眉根を寄せて睨んでくる。 


「――だが竜伍。 お前は楽観しすぎではないか…? お前の手牌は、主に『順子シュンツ』が多い。 それでは例え5個あるドラ表示といえど、自身の牌と上手く噛み合う保証はないぞ…!」


 そう――基本ドラで爆乗せする時は、例えばドラ表示が「一萬」である場合、自身の手牌に「二萬」の刻子(同じ牌が三つ)があれば一気に『三翻』追加されるのである。 だが、今回の俺の手牌は順子(並び数字)が多いため、ドラ表示と噛み合っても『一翻』しか追加されないのだ。


 そして――順先輩に『逆転』するには『5つ』のドラが必要だった。


「では――ドラの確認をさせていただきます」


 一枚目――「九萬」。


 二枚目――「六萬」。


 三枚目――「ななぴん」。


 四枚目――「リャンソー」。


 五枚目――「ろくぴん」。


「バ、バカな……!? 5つ全てが、貴様のドラ牌ではないか……!?」


 これで俺の手牌は『1300点』の安手から、見事に『12000点』へと跳ね上がった――。 『この時点』で順先輩の『敗北』は決定した。


「ふふ、ふはははは…! この私が敗北したのか――? 面白い、実に面白いぞ竜伍……!」


 順先輩は負けたにも関わらず、清々しい笑顔でニッと白い歯を覗かせていた――そして俺は、不吉な笑みをひけらかす。


「先輩――面白くなるのはこれからですよ?」


「なに…?」


 俺の言葉を聞いた順先輩は、ひくっと口角が吊り上がる。


「まだ『裏ドラ』の確認をしてませんからね――」


『裏ドラ』――『リーチ』をかけてアガった人だけの特権で、ドラ表示牌の『下段』にある牌を『裏返す』ことができる。


 俺はその権利を行使して、次々と下段の牌を裏返していく――。


 六枚目――「二萬」。


 七枚目――「はちぴん」。


 八枚目――「伍萬」。


 九枚目――「一萬」。


 十枚目――「發」。


 これで俺は、ドラを『11個』獲得したのだった――『12000点』は『24000点』へと跳ね上がり、三倍満となる。


 順先輩の得点は――残り『6600点』だった。


「……ふっ。 見事だ、竜伍――この私をパンツ姿まで追い込むとは……!」


 ぷるぷると肩を震わせながらも、先輩の威厳を保とうと腕を組みながら堂々とする順先輩――だが、俺はさらに追い討ちをかける。


「順先輩――俺の手牌をもう一度、よく見てください」


「まだ何かあるのかっ!?」


 順先輩はいつもの飄飄とした態度は見る影もなく、目元に涙を浮かべていた――。



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