六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり⑦~
「ふふ…、ふははははは!!」
「!?」
突然笑い出す順先輩――俺が国士無双ではなく違う役でアガったのが、そんなに可笑しかったのだろうか……?
「いつ以来だ――こんなに高揚する勝負は…!」
順先輩はまるで、ゲームを買ってもらえない子供が、誕生日プレゼントで親に買ってもらったような桜満開の笑みを浮かべていた――。
「さぁ…勝負の続きをしよう!」
2人の差はわずか『800点』。 形勢はどちらに傾いてもおかしくない南一局目――親番は俺からだった。
ここはぜひ、流れのままもう一度アガって連荘したいところ……!
手牌の確認をすると、再び『国士無双』のテンパイしている状況だった――よし…! もう一度、チャンタを狙うぞ…!
そう意気込んで、俺は「1」「9」を用いた牌が来るのを待つが、一向に来る気配がなかった。 どうゆうことだ…? それに順先輩の捨牌に「1」と「9」が見当たらない――。
そこで俺はハッと気付く――山に「1」と「9」の牌が隠れているのではない。 すでに順先輩の手牌に「1」と「9」の牌が独占されているとしたら……!
「ふっ…。 今回は私の方が早かったようだな」
そう言った先輩は、忌々しいまでに顔を笑いの形に歪めながら、冷水を浴びせるような声で宣告していた――。
「ツモ。 混老頭、対々和――計5200点」
やられた……! 混老頭とは、俺が先程アガったチャンタの上位版で、この役を完成させるには「1」「9」「字牌」の刻子(同じ牌を3つ揃えること)を組み合わせることで成立する――。
しかも、混老頭を作る際に刻子を4組使用するので、必然的に対々和という役まで貰えるのだ――この2つの役を合わせると計4翻。
先程まで僅差だった状況が一変した。
順先輩――30600点。 橋本竜伍――19400点。
2人の差は『11200』点まで、広がっていた――。 結局俺は、この人には勝てないのか…?
追いついたと思ったら、一瞬で突き放してくる麻雀最強高校生の順先輩……俺はどうすればいいのか悩ましげに髪を掻き上げる。
点差は約10000点ほど。 この差を埋めるためには――?
そして始まる――終わりを迎える最終局の南二局目が。




