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六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり④~

 順先輩の手牌は『一翻』のみで、俺は「1000点」だけ奪取される――だが。


「ふむ――これで、私が『親』の番だな」


 そう……1000点の安手だが、俺の親番が見事に流される。 しかも、これは2人打ちで短期決戦――最短4局である勝負の内、一局がすでに終了したのだ。 残り3局……!


「――ところで竜伍。 早く靴下を脱げ」


「えっ?」


 次の局を始めようと、全自動卓の中央にある赤い四角のボタン『サイコロボタン』(中にあるサイコロが自動的に振られる)を押そうとする姿勢のまま、金縛りにあったように固まってしまった。 ――えっ? 俺も脱ぐの…?


「当たり前だ――互いにリスクを背負うからこそ、勝負が成り立つ」


 ワン○ースならば、背景にドン! という文字が書かれたであろうカッコイイ台詞を言う順先輩――まぁ、確かに俺だけ脱がないってのは不公平だよな。


 だが、問題はそこじゃない――俺が脱いだ靴下を順先輩が貰うのだ。


 匂いを嗅がれたり、「一生大事にするね」とか言うかもしれない――ふふ、そんなことならこの前の誕生日プレゼントに俺の靴下をあげるべきだった――。


 そんなことを思い、こぼれそうになる笑いを噛み殺しながら、順先輩にそっと靴下を渡すと――窓から捨てられた。


 えええぇえぇぇえええ!?


「ちょっ、アンタ何してんですか!?」


「何って…お前の臭い靴下を窓から放り投げたんだが?」


 見てれば分かるよ! なんでそうしたのかを聞いたのに的外れの答えが返ってきたので、俺は悩ましげに髪を掻き上げる。 ……そして俺の靴下は、臭かったのか。


「ふむ…この勝負、お前が私の全裸を見たいように、私はお前が全裸で外を徘徊する姿がぜひ見てみたい」


 だから服を投げ捨てたってか!? この人は悪魔か!?


「てか、俺がアンタから1000点棒を取り返したらどうするんすか!?」


 これは『脱衣麻雀』だからこそ、靴下=1000点だったわけで、俺がアガって1000点を取り返したらわざわざ校外に捨てられた靴下を取りに行かなければならないのか……そう思っていたら。


「私の履いていた靴下を履けばいいんじゃないか?」


 神はここにいた――なんていう逆転の発想…! 思いつきもしなかった…俺が先輩の服を着るなんて……!


 つまり――俺がパンツ姿まで追い込まれた後に逆転すれば、裸で外を徘徊したくないという理由で先輩のあんなものやこんなものまで、「正当な理由」で着衣することができる…!?


 うん、これは仕方がないことなのだ――本当は着たくないのだが、裸で外を歩いて警察に捕まっては大変だ……決して俺が着たいわけじゃない。


 こうして始まる――波乱の東二局目が。


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