六萬~始まりの終わりは、新たなるはじまり②~
「先輩、一体どこに向かっているんですか…?」
ズンズンと、勢いよく行進していく順先輩に行先を問いかけるも答えは返ってこない――しかし、歩いている場所をよく見ると、いつも見慣れた景色だったので予想がついた。
「部室…ですか?」
明日の大会に備えて、今日の部活動は休みになったはずなのに、どうして部室に赴いているのかが理解できない――そんな風に思い悩んでいると、先輩の足が止まった。
「ああ――私と一騎打ちで、麻雀の勝負だ」
「…どうしてですか?」
明日の大会で自信がないから落ち込んでいたというのに、更に追い討ちをかけるように『麻雀最強高校生』の順先輩と闘う意味が分からない――決して敵う相手ではないのに…。
「ふむ――。 お前自身は気付いてないかもしれんが、最初に私と勝負した時よりもお前は格段に成長している…それに気付かせるには、これが手っ取り早いと思ってな」
右も左も分からなかった初心者が格上の実力者と勝負しても敗因は分からないが、経験を積んだ者ならば強者との力量差が分かる――そういうことだろうか…?
「どれ…。 お前が真の実力を発揮できるよう、『脱衣麻雀』にするか」
「ぜひやりましょう!」
……しまった。 つい、二つ返事で順先輩との勝負を承諾してしまった――だが後悔はない。 男ならば、裸が見れる道がたとえ茨の道であろうとも突き進む……それが漢だ!
「ふふ…。 お前は実に期待を裏切らない男だな」
そう言って順先輩は、全自動卓の準備をし始める――だが、ふと思った。
「ところで…どうやって2人で麻雀をするんですか?」
先程、順先輩が一騎打ちをしようと言っていたが、普通麻雀は四人対戦が基本なので勝手がわからない――。
「ああ、二人打ちの場合は、東と南の席に別れて親番は一局ごとに交代する。 もちろん、親番の時に連荘すれば親は継続だ」
どうやら勝負内容は『半荘戦』で、通常の4人打ちならば全8局あるが、2人だと最短4局という短期決戦だった。
そしてお待ちかねの『点棒』による『下着』の相場についてだが――制服やニーソなどは『千点棒』、そして下着などは『万点棒』と準ずられた。
この相場だと下着の奪取は難しいが、一回のアガリだけで先輩の白い肌が露出されるところを拝むことができるのである……はぁはぁ。
「始める前からそんな息を荒げるな……さすがは、『女喰らい(ガールイーター)』と言ったところか?」
「……ハァ」
さっきまでの「はぁ」とは全く別の、恥ずかしさと悲しさが入り混じったなんとも悲惨なため息をついてしまう――そう、俺こと橋本竜伍は『女性』相手に『国士無双』を酷使していたら、国士無双が異名になるのではなく、女性相手だと真の実力を発揮できる変態野郎…という異名になってしまったのだ。
「そう落ち込むな……私はお前が『女喰らい(ガールイーター)』で良かったと心底思っているぞ――なぜなら、私も『女』だからな」
にっと白い歯を覗かせて笑う順先輩――そうだった……この人は、自分と対等に戦える強者を常に求めているんだった――。
「…分かりました。 ならこちらも全力でいかせてもらいます!」
先輩の身ぐるみ全部剥がすつもりじゃないと、到底この人に太刀打ちできないと思った俺は全力で挑む――。
こうして始まった――熾烈で過酷な、最初で最後の激闘の大勝負が。




