四萬~合宿編[国枝順]~
好敵手――私にはそれがいない。
切磋琢磨し、己の力を磨ける人材はいない――なぜなら、誰も私に敵わないからだ。
今年の三月に行われた『麻雀最強戦』――私はその大会で優勝した。 決勝にも関わらず、2位と3万点ほど差を広げた圧倒的な勝利だった。
優勝した暁には、麻雀の日本一を決定する『アモスグランドチャンピオンシップ』に出場する権利を与えられた。
そこに私の求めているものは、見つかるだろうか――?
全国各地から『麻雀甲子園』、『青雀旗杯』、『オンライン麻雀フェスティバル』、『全国麻雀ランキング』――という大会を勝ち抜いた猛者だけが出場できる。
今年の10月に行われる『麻雀甲子園』――その大会に桐竜高等学校の麻雀部が参戦する…私を除いて(『麻雀最強戦』で優勝を果たした私は、出場することができない)。
参戦する仲間の面々をそれぞれに見てみる――。
『庭白マリア』――彼女は、唯一私の親友といってもいいほど仲のいい友人だ。 麻雀の実力も、折り紙つきで申し分ない……だが彼女には、勝つために足りないものがある。 それは、勝利への『執念』――それがない。 彼女はとても優しい性格で、誰かを蹴落としてまで勝者になろうという気迫がない――そのせいで、私の好敵手になれないのが非情に残念だ。
『菅崎雀』――彼…否、彼女は実に正しい麻雀の打ち方をする。 だが、それが時と場合により自分を苦しめている部分でもある。 『正しい』ということは、『読まれやすい』ということでもあるからだ――彼女には麻雀の経験を沢山積んでもらい、正しさを駆け引きとして有効に使える雀士にぜひなってもらいたい。
そして最後に――『橋本竜伍』。 彼だけは謎に包まれている。 異常に強かったり、極端に弱かったりする――その振れ幅の要因とは、一体なんだ? その謎さえ解明できれば、唯一私と対等に戦える相手になるのだろうか――? 私は、そう期待するだけで胸が熱くなる。
もっと、もっと、もっと――強くなれ。
麻雀最強高校生と謳われている私――『国枝順』は想う。
「これから、男性グループと女性グループを混ぜてトーナメントを行う」
いつかきっと、私を倒してくれる相手が現れることを――。




