四萬~合宿編[庭白マリア]~
私は庭白マリア――最近、気になることがあります。
それは『橋本竜伍』という男について――別に、好きとか好意があるわけではない。 ただ、彼の実態が知りたい…それだけだった。
彼の麻雀に対する『運』は、正直異常だ。 私たち麻雀部で、放課後に対局しているときでもそうだ――1日に一回のペースで『国士無双』の『地和』、そしてまれに『天和』も起こる。
彼は一体、何者なの――?
私は、彼についてどんな些細なことでもいいから知りたい――だから、この合宿で雀ちゃんから話を聞きたいと思っていた。
それで思いついた考えが、勝負で負けたものに『恋バナ』をさせるということ。 雀ちゃんが、竜伍くんに少なからず、好意に似た感情を抱いているのが分かっていた――それを利用するわけではないけど、少しでもいいから彼について知っていることを教えて欲しかった。
だから、私は全力を出した。
『天使の囁き(エンジェルナンバー)』――ふと目についた数字の組み合わせが、未来予知のような占いのもの。
私はそれを、麻雀で利用できる。
配牌時に、必ず私の手牌には『萬』がやってくる――そのマンズに書かれている数字が私にとっての『天使の囁き(エンジェルナンバー)』であり、アガるために最短のルートを教えてくれるものだった。
これに勝てる者はいない――はずだった。 けど、敵わない相手が1人…否。 2人いる。
1人は言わずもがな、高校麻雀の最強と謳われている『順』ちゃんだった。 彼女と対局するときだけ、『天使の囁き(エンジェルナンバー)』の効力は半減してしまう。 ツモる順序をポンやカンで狂わせられたり、先読みをされてしまうのだった――。
そしてもう1人の敵わない相手――いや、今はまだ取るに足りない相手かもしれないが、いずれ『適わなくなる相手』だった。
その人の名前が『橋本竜伍』――彼は麻雀に愛されている。
今はまだ、麻雀の初心者でおぼつかないが、いずれ高校最強の『国枝順』と対等に戦える相手だと、私は信じている――。




