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四萬~合宿編[菅崎雀]~

 どうして、僕はここにいるのだろう…?


 僕こと『菅崎雀』はそう思った――なぜなら、僕の周りには女性だらけだったからだ。


「きゃー! この子、ちょー可愛い!」


「え、えっと…?」


 僕の傍には『麻當高校』の麻雀部員が集まって、ぬいぐるみに触れるかのように僕のことをひたすら撫で回していた…。 だ、だれか助けて!


「あなたたち、やめなさい!」


「マ、マリアさん…!」


 普段、温厚な庭白マリアさんが、僕が他校の女子たちにおもちゃにされているのを目撃して一喝してくれた――と思っていた。


「雀ちゃんは、わたしのものです!!」


 えー!? そう言ったマリアさんは、他校の手を除け払い、僕の頭を胸に押し付けながら抱いていた。 独占がしたかっただけ!?


 僕はマリアさんの豊満な胸に溺れながらも、なんとかこの場を変えようと必死に抗いながら口を開く――。


「あ、あの…! 麻雀、しましょうよ…!」


 この際、僕が竜伍と離れ離れになって女性グループに入れられたことは忘れよう…! 僕たちは、麻雀が強くなるために合宿に来ているのだから。


「――それもそうね…。 うん、雀ちゃんの意思は伝わったわ…!」


 ほっ、これでひとまず安心――。


「麻雀で負けた人は『恋バナ』をしましょう!」


 できなかった。 何一つ、僕の思いはマリアさんに届いてなかった。


「あ、あの、マリアさん…?」


 僕が困った表情を浮かべながら、マリアさんの顔を覗くと、彼女はぱぁっと花が綻ぶような笑顔を浮かべている。


「――もし雀ちゃんが負けたら、竜伍くんとの関係について教えてね♡」


 片目をつむってウィンクするマリアさんの顔は、男性ならば一瞬で虜にされてしまいそうなほど可愛らしかった。 ――てか、竜伍と僕の関係って…! と、友達に決まっているじゃないか…!?


「えー、なになに? 『りゅうご』くんって、この子の彼氏なのー?」「やばっ! その話、ちょー聞きたいんですけど! くわしく!」


 麻當高校の部員たちが、『りゅうご』という男の名前に敏感に反応して、さらに状況が悪化した気がする――項垂れている僕とは真反対に、マリアさんは満足そうに頷いていた…。


「じゃあ、わたしたちは7人いるから、ひとまず2組に別れましょ」


 そう言って、女性皆でグーとパーで別れる――結果は、僕とマリアさんと麻當高校の部員2人がパーで、眼鏡先輩はグーで3人組の方に振り分けられた。


 ほっ…、ひとまず眼鏡先輩と同じグループにならなくてよかった――僕は、そんな甘い考えで勝負に挑んでしまった。 マリアさんの実力も知らずに。


「……えっ?」


 勝負は一瞬だった。


 僕とマリアさんの差は4万点ほどついていた――そして、僕はこの勝負、一回もアガれなかった…! 唯一、マリアさん以外でアガれたのは、麻當高校の代表者の人だけだった――。


「…はぁ。 相変わらず『聖母マリア』は健在か…」


 なにその通り名!? 麻當高校の代表者は、あらかじめマリアさんの実力を知っていたらしく、力が衰えていないことを公言していた。


「うふふ…。 じゃあ、最下位の雀ちゃん――竜伍くんとの関係について詳しく教えてもらえる?」


 柔らかい笑顔を作りながら優しい口調で喋るマリアさんだが、彼女からこの場から逃げることは許さないという、プレッシャーを感じる――僕にとって、『聖母』ではなく『悪魔』のように感じられた…。


「…僕と竜伍は、ただの友達ですよ。」


「え~、本当にそれだけなの…? じゃあ、出会いはどんなだった?」


 マリアさんが、僕と竜伍の関係がただの友達と聞いて落胆したと思ったら、次に出会い方について訊いてくる――どうして、女性ってこうも恋愛と結びつけたがるのだろうか…?


 でも聞かれたならば、負けた罰として僕は答えなくちゃいけない――僕と竜伍の最低最悪な出会い方を――。



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