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三萬~新生雀士現る⑨~

「――おい、竜伍。 貴様、どうやらお仕置きがされたいようだな…?」


 俺は重々しい足取りで部室へ赴くと、眼鏡先輩が定規をムチのように手をペシペシと叩きながら怒りを露わにしていた。


「貴様は、新入部員を連れてくるという事で部活に遅れた…、なのに、今私の目の前には貴様一人しかいないんだが、これは私の目の節穴か? んん?」


「え、えーと…」


 麻雀部の入部を賭けて勝負を挑んだら、こっぴどくやられました――なんて言えるはずもなく、俺はただ額に青筋を立てながら頬をかいていた。


「――お仕置きだ」


 理由を告げない俺に呆れた眼鏡先輩は、手に持っていた定規の先端をぐにっと曲げて、俺の額に狙いを定めていた――。


「いったっ!?」


 バチン、という音が部室内に響き渡り、俺は目元に涙を浮かべる。


「ふん、これに懲りたら、今後私を待たせることはしないことだ」


「そうよ~。 順ちゃんったら、『竜伍のやつはまだかー』って寂しがっていたんだから」


「おい、マリー! 話を誇張するなと、いつも言ってるだろ!」


 マリアさんが茶化すと、眼鏡先輩は頬を赤く染めながら怒っていた。 それを微笑ましく見てた俺に気付いた眼鏡先輩は、威厳を保とうと「んん!」と咳払いをして場の空気を一変させる――てか、眼鏡先輩の下の名前は『じゅん』って言うのか…。


「あー…その、なんだ。 情報を伝達する際に、部員が欠けてたら面倒だ――だから、これからは時間を厳守しろ…いいな、竜伍?」


「は、はい」


「よし――じゃあ、昨日言っていた日曜日に開催される『交流試合』についてだが…」


 そういえば、他校との練習試合をするって言ってたな――できれば、海が近い他校へと赴いて交流試合をしたいな……。 そして、海にいるビキニの綺麗なお姉さんとも交流を――。


 先程怒られたばかりだというのに、つい妄想が膨らんでしまった俺は、口元をだらしなく緩めながら眼鏡先輩の話を聞いていた――この時までは。


「開催場所は、ウチの学校に決定した」


 あばばばば。


 俺は受け入れたくない現実を拒絶するかのように、壊れかけたロボットみたいに全身が痙攣しながら脳内がショートしていた。


 なんで、こんな山奥で坂道が多いウチの学校で、わざわざ麻雀するんだよ!? 麻雀なんて、海でもできるだろ! ←?


「なかなか『全自動卓』が置いてある学校って少ないらしい――ということで、『全自動卓』のある桐竜高校が選ばれたってわけだ。 お前らには味気ないかもしれないが、日曜日は学校に集合ということだ」


 ビキニの…お姉さんが……。


 俺は、顔も知らぬ肌が白くてスタイルのいい美人の女性が、流砂のごとくサラサラと脳内から消え去っていく。



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