三萬~新生雀士現る⑤~
翌日――金曜日。
いつもと変わらぬ朝を迎え、普段と変わらない退屈な授業が終わり、今日もまた放課後がやってくる――。 そこで、俺はふと妙案を思いついた。
「なぁ、雀…、先に部室へ行っててくれないか?」
「えっ、いきなりどうしたの竜伍…? トイレなら待っててあげるから、早く行ってきなよ」
「ばっか、ちげえよ! 俺は子供かっ!」
大をしている音が聞かれたくない思春期は、もう過ぎているんだよ!
「じゃあ、一体何の用があるの…?」
不安そうな表情を浮かべる雀――そんな顔をされると、こっちが困る…。
「――実はさ、麻雀部に入部してくれそうな奴に心当たりがあるんだよ。 だからさ、先輩にも部活勧誘で遅れるって伝えといてくれ!」
雀の疑問を解消するために、俺はそう言い残して、その場を離れた――向かった先は、自分の教室である1ーCクラスへと足を運ぶ。
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「――よし、じゃあ始めますか…」
1―C教室へと着いた俺は、まず自身のスマフォを取り出して麻雀アプリのゲームを立ち上げる――クラスには誰も居ない。
「またいるかな、アイツ…」
俺は顔も知らない人物を思い浮かべながら、麻雀ゲームの対戦画面を開いて「近くのプレイヤーを探す」ボタンを押していた。
10秒、1分…、5分――と時が流れて、『アイツ』はもう帰っているのかと思い始めた頃、スマフォ画面に現れる。
『☆ゼロ★』が入室しました――という文字が。
「やっぱり、来たな…!」
釣りで獲物がかかったような高揚感がした俺は、ニヤリと白い歯を覗かせながら笑った。 そして、次に俺がするべき行動は――。
麻雀ではなく、歩きスマフォだった。 ※良い子はしてはいけません!
なぜ、麻雀ゲームのアプリを立ち上げているのに、麻雀をしないかだって…? 理由は簡単――今この瞬間にスマフォ画面に集中している奴が『☆ゼロ★』に違いないからだ!
じっちゃんの名にかけて、俺の名推理が正しい事を証明してみせる! ――まぁ、俺のじっちゃんはただの農家で、キャベツとレタスの見分け方しかできないのだけれども。
俺は自分の考えが正しい事を信じて、ひたすら歩き回る――1年教室はもちろん、2年、3年の教室へと躊躇なく入る。
だが、俺の推理は諸刃の剣だった――ようやく2ーBクラスに居た先輩がスマフォをいじっていたから、プライバシーのへったくれもなく画面を覗き込んだ俺は、タコ殴りにされたのである。
そりゃあそうだ。 誰だって、知らないやつにスマフォののぞき見なんてされたくない――だが、俺は諦めない…!
ここまで来たら、なんとしてでも犯人を捕まえてやる! という固い意志を抱いた俺は、先輩だろうが女だろうが容赦なく画面を覗き込む!
「てめぇ! なに人の、LI○Eのやり取り見てんだよ!?」「きゃー、変態!?」「ハァハァ、どうだい僕の、前川先生に蔑まされた画像のフォルダは?」「おっ、君もモン○トするのかい?」
などなど、散々な目にあった――途中、石岡くんが居たような…。
そうこうしている内に、『☆ゼロ★』は見つからないまま、麻雀の局は東3局となり、オーラス(最後の局)まで残りわずかとなってしまった。(点数はもちろん、ぶっちぎりの最下位である)




