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三萬~新生雀士現る④~

「そして10月に『麻雀甲子園』という4人1組で戦う大会がある――それまでには、お前らに強くなってもらう必要がある。」


 麻雀甲子園って…、麻雀にも野球みたいに甲子園っていう舞台があったのか!? その事実を知って驚愕した俺は、4人1組でどうやって競い合うのか眼鏡先輩に聞いてみる。


「ふむ。 麻雀は本来、25000の持ち点で競い合うが、この『麻雀甲子園』では100000点あり、それを削り合って勝敗を決する。 最初に先鋒、次鋒といった具合で各チームの順番を決めて、各局で失われた得点などは引き継がれる」


 なるほど。 つまり、4人の内1人だけが強くても試合には勝てないってことか…。 だから、眼鏡先輩は俺たちにも強くなってもらおうとしているわけか。


「分かりました――じゃあ、俺たちは先輩の足を引っ張らないように強くなります!」


「あー…、それと実はだな…」


 俺が拳を握って頑張ります!というアピールをしたのだが、それを見た眼鏡先輩は申し訳なさそうに後頭部に手を当てていた。


「――私は『麻雀甲子園』に出られない」


「「はぁ!?」」


 再び、雀と俺の驚愕した声が重なり合う。 よかった、どうやら今回のは同じ事で驚いたようだった。 って、そんな事はどうでもいい!


「え? 麻雀甲子園って『4人1組』なんですよね? 先輩が抜けちゃったら、大会に出られないんじゃ…」


「まぁ、そうだな」


 そうだな、って軽いなこの人!? てか眼鏡先輩が大会に出られない理由って、実は暴力沙汰で運営の人に出場停止を喰らったんじゃ…。


 十分にあり得る。 俺に『ご褒美』をくれた後、俺を投げ飛ばして気絶させた眼鏡先輩ならば。


「まぁ、あまり気にするな。 一応、1人だけ心当たりのある人物がいる。」


 なんだ、候補の人がいるのか…なら安心――はできないな。 なんて言ったって、少なからずこの桐竜高等学校で麻雀が一番強いはずの眼鏡先輩が出場しないのである。


 それにど素人の俺――正直、不安でいっぱいだ。


「今からそんな不安そうな顔をするな、竜伍。 まだ6ヶ月もある――沢山対局して、麻雀の経験を積み、一歩ずつ強くなればいい。 私が強くしてやるから、安心しろ」


 眼鏡先輩は、心強く優しい口調で俺に助言をしてくれた。 頼もしい部長に、俺は尊敬の意を抱きながら、必死にこの人へついていこうと決意するのだった。


「よし、いい面構えだ! 日曜日の交流試合だが、場所については後日話す――だから今日は、交流試合で恥をかかないよう徹底的にしごいてやる――特に竜伍!」


「は、はい!」


 し、しごくってナニをですかね…?


 俺はハァハァと息を荒げながら興奮していたのだが、この後、別の意味で息を荒げることになり落胆した事は、語るまでもない――。





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