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三萬~新生雀士現る③~

「……」


 むすっ、とした表情で唇を尖せている雀――俺が勘違いでクロスチョップをおみまいしたせいで、先程からずっと不機嫌だった。


「なぁ、雀……。 俺が悪かったから、もう機嫌を直してくれよ」


「…本当に悪いと思ってる?」


「当たり前だろ? だから、こうして謝っているじゃねえか」


 俺は反省として、雀のカバンを持ちながら謝ってた。


「ふーん…。 じ、じゃあさ、今度の日曜日になにか食べ物奢ってよ」


「…まぁ、別にいいけどよ」


 俺が承諾すると、雀の態度は一変してぱあっと花が綻ぶような笑顔になっていた――こいつ、こんなに食い意地が張ってる奴だっけ…?


 さっきはあんなに怒っていたのに、今は嘘のように喜んでいた。 どんだけ食べ物に目がないんだ、と言いたかったがグッと堪える。 また怒らせたら面倒くさいからな…。


 そうこうしている内に、麻雀部の部室へと辿り着く。


「おう、ようやく来たな」


「どぞどぞ~」


 俺たちが部室の扉を開けると、眼鏡先輩とマリアさんが歓迎してくれた。 眼鏡先輩は腕を組みながら、ホワイトボードの前に直立しており、マリアさんは俺たちの分のお茶を用意するために急須からコップへと注いでいた。 ぜひ、俺と結婚してほしい。


 てか、未だに眼鏡先輩の名前が謎である。 一度聞いてみたのだが、はぐらかされてしまい結局分からずじまいだった。


「よし、全員集まったな…ではこれから緊急ミーティングを始める!」


 眼鏡先輩はホワイトボードをバン、と叩きながら皆の視線を集める――そして、ホワイトボードに表記されている文字を見てみると、『特訓!!』とデカでかと書かれていた。


「今週の日曜――つまり三日後だが、私たちは他校との交流試合をする!」


「「ええっ!?」」


 俺と雀が驚きの声をあげる。 三日後に交流試合なんて、急すぎるにも程がある…! 心の準備ができていない…きっと雀も同じ気持ちだろうと思っていたが、


「そ、そんな…日曜日は竜伍と二人で食事する予定だったのに…!?」


 うん、こいつどんだけ食い意地張ってるんだよ? 俺とは違うところに驚いている雀を見て、さらに驚く。


「まあ、そう慌てるな――これは公式戦ではない、もっと肩の力を抜いて勝負に挑んで欲しい。 ホワイトボードにも書いてあるが、これは『特訓』だ――お前たちを強くするためだ」


 ドクン、眼鏡先輩の『強くする』と言った言葉に反応して自身の胸が熱くなるのを感じる。




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