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二萬~麻雀部結成⑭~

 生徒会長の『親』が終わって、次の『親』である石岡くんの局では、雀が6巡目でツモアガリして「3900」点獲得。 その際に俺の持ち点は1000マイナス。


 雀がアガったので、また親が入れ替わる――待ちに待った俺の『親』番になった。


 アガリの得点が1.5倍になる上に、勝ち続ければ300点のボーナスが2倍、3倍ずつ増えていくので、トップとの差1万2千点を埋めるためには、チャンスはここしかない…!


 よし、と意気込んだ俺は勢いよく山から牌を取る――だが配牌時の手牌の状態は、アガリまで必要な牌が4つだった。


 だが、手牌に「中」の三元牌が2つ…、誰かが「中」を河に捨てればポンやチーをし放題なわけで、早くアガれることも可能なはず!


 俺は決して諦めない――! ……そう思っていたが、結局誰も「中」を河に捨てることはなく、最後まで誰もアガることはできなかった。


「この場合、親はどうなるんだ…?」


『親』がアガれば継続、しかし皆引き分けの場合は――?


「ふむ、そこは私が説明しよう。 誰もアガることはできなかった局を『流局りゅうきょく』と言って、ここで肝心なのは『テンパイ』してるかどうかが重要だ――この4人の中で、テンパイしている者はいるか?」


 俺は改めて手牌の確認をする――「中」「中」「一萬」「二萬」「六萬」「七萬」「八萬」「リャンソー」「サンソー」「ヨンソー」「ななぴん」「はちぴん」「はちぴん」。


 アガリまで必要な牌が2つだった――つまり、テンパイはしていなかった。


「あ、あの僕…テンパイしてます」


 俺がガックリと項垂れていると、右の席に座っている雀がおずおずといった具合で右手を挙げていた。


「ふむ、テンパイしているのは菅崎だけか…。 この場合、『ノーテン罰符』と言って、ノーテン――つまりテンパイできていない者は、テンパイしている人物に点数を渡さなければならない」


「えっ!? アガってないのに、点数もらえるんですか?」


「そうだ」


 なんてこった! じゃあ、雀はアガってもいないのに点数が貰えるのかよ、ずりぃな!


「ところで…、点数はいくらぐらいですか?」


「うむ、テンパイしている者が一人なので、他3名が一人1000点ずつ菅崎に譲渡しなければならない」


 ってことは、雀のやつ3000点も貰えるのかよ!?


「そして、親がノーテンだった場合、交替することになっている」


 なんだよ、ちくしょー! 俺にとっていいこと一つもないじゃねぇか!


 今現在4人の点数――生徒会長「35800」、菅崎雀「30900」、橋本竜伍「24000」、石岡ペス「9100」。


 俺と生徒会長との差は1万2千点で変わらないが、雀が順調に点を増やしていき残り6千点まで追い詰めていた。


 この賭けの勝負は、残り一局のみ――俺が1万2千点の差を詰めるより、雀のサポートをした方が最も勝算があるんじゃないか…?


 俺は自分が情けなかった。 勝負を受けると言ったのは俺自身なのに、敵に勝つためには仲間を頼るしかないなんて……。


「――勝ちたいか?」


 えっ? 俺は声のする方へと振り返る――そこには眼鏡先輩が凛として立っていた。


「こ、この状況でも俺に勝目があるんですか……?」


「勝てるか勝てないじゃない――勝ちたいかどうかだ」


 眼鏡先輩の純粋な瞳に吸い込まれ、ごくり、と唾を飲む音がした――俺の奥底に眠る想いが湧き上がってくる。


「勝ちたいです!」


 俺が純粋な想いを伝えると、眼鏡先輩はにっと白い歯を覗かせて笑った。


「よし、その意気だ。 …正直、この状況で勝つ方法は無いに等しい――だが、麻雀には逆転一発が存在する。 もし、その細い糸をたぐり寄せて勝つことができたら――」


 できたら――?


「私に『ツンツン』していい権利を与えてやろう」


 ツ、ツンツン!? それってつまり…眼鏡先輩の2つの丘の頂点に君臨している、さくらんぼに行使してもいいってことですか!?


「…一回だけだぞ」


 頬を朱に染めて照れながら了承する眼鏡先輩。 その姿は、いつもの凛とした姿とギャップがあって物凄く可愛かった。


 俺の時代がキタ…!! 今なら、ロシアンルーレットでこめかみに銃を突きつけて、5回引き金を引いても死なない自信が俺にはある!


 オーラス(最後の局)がついに始まる――!



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